Since 2018.09.12
 
 

◆241116 #322 too late
◆241109 #321 16時半 ◆241102 #320 順番 ◆241026 #319 明け方
◆241019 #318 また明日 ◆241012 #317 親孝行 ◆241005 #316 学生街の喫茶店
◆240928 #315 泥酔 ◆240921 #314 遅い夏 ◆240914 #313 稽古時間
◆240907 #312 命綱 ◆240831 #311 御御御付 ◆240824 #310 忘れかけていたもの
◆240817 #309 午後のアトリエ ◆240810 #308 真夏の読書 ◆240803 #307 灰色の男たち
◆240727 #306 その他 ◆240720 #305 夏祭り ◆240713 #304 偶然と必然
◆240706 #303 青春のたまり場 ◆240702 #302 まだあの頃は ◆240622 #301 紙飛行機の謎
◆240615 #300 マーマレードの蓋 ◆240608 #299 いま そして今後 ◆240601 #298 校歌
◆240525 #297 最近の若い奴らは(笑) ◆240518 #296 理想 ◆240511 #295 対比 グラデーション
◆240504 #294 モチーフ 今描きたいもの ◆240427 #293 後悔 ◆240420 #292 自薦3曲
◆240413 #291 早稲田大学 ◆240406 #290 吹奏楽 ◆240330 #289 曲作りのこだわり
◆240324 #288 茅ヶ崎 ◆240316 #287 ファンクラブWORDS'WORTH PROJECT ◆240309 #286 夜
◆240302 #285 死生観 ◆240225 #284 ロータリークラブ ◆240218 #283 テレビ ラジオ
◆240212 #282 ロングインタビュー後半開始 かわもとひろのぶバンド ◆240203 #281 明日は晴れるだろう
◆240128 #280 ただ川を見に行く ◆240121 #279 CD制作 ◆240114 #278 コロナの間
◆240106 #277 転換点 ◆231230 #276 兎に角とんがってた ◆231223 #275 啄木の影響
◆231216 #274 一番の幸せ ◆231209 #273 頓挫 ◆231202 #272 抒情フォーク研究会
◆231125 #271 ライブハウスデビュー ◆231119 #270 自主コンサート ◆231111 #269 転回
◆231104 #268 雑誌「明星」 ◆231028 #267 楽曲の世界観 ◆231021 #266 夕焼けニャンニャン
◆231014 #265 女性アイドル ◆231007 #264 10週連続第1位 ◆230930 #263 初めて買ったレコード
◆230923 #262 日本語は残酷 ◆230916 #261 大阪弁 ◆230909 #260 AXIA ミュージック オーディション
◆230902 #259 雪解け ◆230826 #258 母からの手紙 ◆230819 #257 中間テスト
◆230812 #256 大学芋 ◆230808 #255 心象風景 ◆230730 #254 終バス
◆230723 #253 句読点 ◆230716 #252 薄ら日から ◆230708 #251 笑顔同封
◆230702 #250 停車駅 ◆230625 #249 Ten thousand miles ◆230618 #248 窓にあかりが灯る頃
◆230610 #247 自由帳 ◆230604 #246 昨夜の雨 ◆230527 #245 風の記憶
◆230520 #244 蔓棚のひとりごと ◆230513 #243 無色の貨物列車 ◆230506 #242 休み時間 
◆230429 #241 町へゆく道 ◆230424 #240 寄港 ◆230417 #239 文字に降る寂静
◆230408 #238 It’s show time ◆230401 #237 休日 ◆230325 #236 夕暮れのカフェ
◆230318 #235 登園バス ◆230312 #234 時の名残り ◆230305 #233 早春賦
◆230226 #232 花の静寂 ◆230219 #231 異国食堂 ◆230212 #230 また明日
◆230204 #229 ライオンの夢 ◆230130 #228 千曲川 ◆230122 #227 新しい景色
◆230114 #226 マクワウリの話 ◆230108 #225 散歩道 ◆221231 #224 星影さやかに
◆221225 #223 静かな冬の一日 ◆221218 #222 また新しい朝 ◆221211 #221 引き潮
◆221204 #220 無人駅 ◆221027 #219 各大さじ1 ◆221120 #218 いま
◆221113 #217 ひとり ◆221106 #216 見果てぬ夢 ◆221030 #215 願いごと
◆221022 #214 普段着 ◆221015 #213 知らず知らずのうちに ◆221010 #212 There are a lot of reasons
◆221002 #211 経る時 ◆220925 #210 作品 ◆220918 #209 薄手の長袖
◆220911 #208 風の静黙 ◆220904 #207 小雨の朝 ◆220828 #206 晩夏 
◆220821 #205 ゆるやかな弧 ◆220814 #204 第2楽章 ◆220807 #203 パズル
◆220801 #202 夜 ◆220724 #201 浮雲 ◆220717 #200 カヴァティーナ
◆220710 #199 雨の降る日に ◆220703 #198 夏の通り雨 ◆220626 #197 待ちぼうけ
◆200619 #196 夕焼け ◆220612 #195 THE TOBACCO SHOP ◆220605 #194 夏の素描
◆220528 #193 ソラシド ◆220522 #192 ふたり ◆220515 #191 未開封
◆220508 #190 花は咲いてる ◆220501 #189 麻薬色の空 ◆220425 #188 晴れた日のこと
◆220417 #187 ジャカランダ ◆220410 #186 大丈夫 ◆220403 #185 恋人同士
◆220327 #184 最後の恋文 ◆220320 #183 ホットミルク ◆220313 #182 想い
◆220306 #181 消灯時間 ◆220227 #180 紅雀 ◆220220 #179 少し遠回り
◆220213 #178 長距離電話 ◆220206 #177 そのまま ◆220130 #176 大阪という時間
◆220123 #175 ライブハウス ◆220116 #174 忘れもの ◆220109 #173 星の王子さま
◆220101 #172 いのち ◆211226 #171 昨日今日明日 ◆211219 #170 In other words
◆211212 #169 時代 ◆211205 #168 心の旅 ◆211128 #167 太陽の沈んだ町
◆211121 #166 Agua mineral con gas ◆211114 #165 サボテンの話 ◆211107 #164 白の色彩
◆211031 #163 過ぎた日のこと ◆211024 #162 I had to be you ◆211017 #161 太陽のある場所
◆211010 #160 緩やかな坂道 ◆211003 #159 完成 ◆210926 #158 花祭り
◆210919 #157 ただの曇り空 ◆210912 #156 Even if time goes by ◆210905 #155 さがしもの
◆210828 #154 八月の裏側 ◆210822 #153 Conversation ◆210815 #152 時の輪郭
◆210808 #151 幸せについて ◆210801 #150 病葉 ◆210725 #149 晴れた一日
◆210718 #148 帆を畳む舟 ◆210711 #147 夜更け ◆210704 #146 梅雨の波紋
◆210627 #145 約束 ◆210620 #144 夏の本棚 ◆210613 #143 旅の途中 
◆210606 #142 せせらぎ ◆210530 #141 余白 ◆210523 #140 yours
◆210516 #139 ジューンベリー ◆210509 #138 針のない時計 ◆210502 #137 待ち時間
◆210425 #136 歳月の残照 ◆210418 #135 夜間飛行 ◆210411 #134 時を経た色彩
◆210404 #133 その駅 ◆210328 #132 君の友達 ◆210321 #131 夢見る頃を過ぎても
◆210314 #130 聖なる悩み ◆210307 #129 ラブソング ◆210228 #128 10年前のこと
◆210221 #127 唐菖蒲 ◆210214 #126 水曜の午後 ◆210207 #125 昨日のことのように
◆210131 #124 駅前通り ◆210124 #123 話し相手 ◆210118 #122 春まだ遠く
◆210110 #121 風の時代 ◆210103 #120 時の仕掛け ◆201228 #119 薄曇り
◆201221 #118 静けさの巡礼 ◆201213 #117 乗り継ぎ便 ◆201206 #116 楽譜 もしくは地図
◆201128 #115 もうひとつの朝 ◆201122 #114 車窓 ◆201114 #113 空の青さだけが
◆201108 #112 再会 ◆201101 #111 とりとめのない話 ◆201025 #110 小春日和
◆201018 #109 ひかり あかり ◆201011 #108 東京にも空がある ◆201004 #107 四畳半抄録
◆200927 #106 時として ◆200920 #105 時間と水と言語 ◆200913 #104 優しさについて
◆200906 #103 思い出ばなし ◆200830 #102 草枕 ◆200823 #101 A day
◆200816 #100 廻送列車 ◆200809 #99 The Way We Were ◆200802 #98 強がり
◆200726 #97 フランドルの海 ◆200719 #96 質感の喪失 ◆200712 #95 出会い
◆200705 #94 国境の町 ◆200628 #93 一輪挿しの花 ◆200621 #92 徂徠豆腐
◆200614 #91 尊きもの ◆200606 #90 What do you want ? ◆200531 #89 島影
◆200524 #88 色鉛筆 ◆200517 #87 心潤う時間 ◆200510 #86 漂泊の想い 
◆200503 #85 Ave Maria  ◆200426 #84 紅茶時間 ◆200419 #83 ゆく船 
◆200412 #82 きっとまた ◆200405 #81 すぐ近くに思えた季節  ◆200328 #80 かわもとひろのぶ 
◆200322 #79 Forza Italia ◆200315 #78 雨の街を ◆200308 #77 時間と場所
◆200229 #76 解毒剤 ◆200222 #75 昔日の残響 ◆200216 #74 神様の悪戯 
◆200209 #73 海辺の町  ◆200201 #72 あるスケッチ ◆200126 #71 遠い昔のこと 
◆200119 #70 静寂   ◆200111 #69 帰りたい場所  ◆200105 #68 春までのあいだ 
◆191229 #67 思いの丈 ◆191222 #66 冬空の手紙 ◆191215 #65 弾き語り
◆191208 #64 旅の記憶 ◆191201 #63 ある日の夕暮れ ◆191124 特別寄稿 ライブ#12プチレポート
◆191124 #62 冬の読書 ◆191117 #61 香港という時間 ◆191110 #60 愛について
◆191103 #59 白い花  ◆191027 #58 天平の甍 ◆191020 #57 夜行列車 
◆191013 #56 大切なひと  ◆191006 #55 表現力との邂逅 ◆190928 #54 昼下がりの呟き 
◆190922 #53 がんばろう  ◆190915 #52 As you are ◆190908 #51 百年 一日 
◆190901 #50 午後3時 蝉時雨  ◆190825 #49 遠い朝の本たち ◆190818 #48 かくも長き不在 
◆190811 #47 美しく優しく  ◆190804 #46 訳者あとがき ◆190728 #45 風の行方 
◆190721 #44 ゆらゆら ◆190715 #43 濡れた心  ◆190706 #42 海ガラスの夏 
◆190630 #41 空 ◆190623 #40 旅 ◆190616 #39 後悔なき航海
◆190609 #38 シェルブールの雨傘 ◆190603 #37 小さな子供のように ◆190526 #36 夏は来ぬ
◆190519 #35 錯覚の中で  ◆190512 特別寄稿 ライブ#11プチレポート◆190512 #34 何もしない時間
◆190505 #33 いつも手遅れ ◆190428 #32 実現しない夢の価値 ◆190421 #31 Nothing but everything
◆190414 #30 For a moment ◆190407 #29 春の歩道 ◆190331 #28 遠い旅人 
◆190324 #27 東京という時間  ◆190316 #26 エンジェルアイズ ◆190310 #25 ひだまり 
◆190303 #24 費やした時間 ◆190224 #23 ありがとう  ◆190217 #22 巡る季節 
◆190210 #21 雪の朝 ◆190203 #20 空っぽ ◆190127 #19 待つということ
◆190120 #18 ずっと後になって ◆190112 #17 青い花 ◆190106 #16 リメイク 
◆181230 #15 祈り  ◆181224 #14 冬の午後3時 ◆181216 #13 変わらないもの 
◆181209 #12 それぞれの時間  ◆181202 #11 見上げてごらん ◆181125 #10 心のバランス 
◆181121 #9 美術館 ◆181112 特別編「ライブレポート」   ◆181105 #8 メダル オブ ドリーム 
◆181027 #7 中森明菜 ◆181022 #6 ただ海を見に行く ◆181014 #5 フォトグラフ
◆181008 #4 心の距離 ◆180929 #3 秋の訪れ ◆180921 #2 ブラタメリ 
◆180912 #1 祝 かわもとひろのぶ.com スタート

 



too late
 
2024.11.16up
 
春は菜の花の黄色 夏は雑草の緑

川の土手の斜面に西日がさして
もう淡い金色の芒が揺れている

ごめんなさい


“時々僕のことを思い出して 君が眠れない夜には
さよなら 約束の歌 心突き刺せ 響け 君に届け”

〜 約束の歌(2017年作品) ♪ 〜

 
 


16時半
 
2024.11.09up
 
じっと見つめている

ゴシゴシゴシ

ムギュ

少し迷惑そう

嬉しそうに また歩きだす


“髪を切った君は涼しさそのもの
西日を背に受け君の輪郭は茜色
水を噴き上げることもない老いた噴水
その淵に腰掛け遠くを見つめた”

〜 落葉前線(1978年作品) ♪ 〜

 
 


順番
 
2024.11.02up
 
親にバカヤロウと叫ぶ
上司からバカヤロウと言われる
世の中にバカヤロウと叫ぶ
諸人からバカヤロウと言われる

“ 降り出した雨が君の髪を濡らし
 怯える仔犬のように見えるよ
 抱き寄せてしまえば全て壊れそうだから
 何も言わずここで手を振ろう”

〜 東京通信其の参 (2024年作品)♪ 〜

 
 


明け方
 
2024.10.26up
 
新聞配達のバイクが通り
街灯の明かりが消え
ゴミ収集車の音が聴こえる

古い手紙を読み返す


“ 潮風けむる港の午後3時 
 赤い靴の少女の前で私は思い出す 
 山手の白い小さな教会を指でさして
 あなたは少し照れたように私を見た”

〜 赤い靴(1982年作品) ♪ 〜

 
 


また明日
 
2024.10.19up
 
じゃーな また明日な

じゃーね また明日ね


“川崎・大森・蒲田・大井町ギャンブルの町
ツキのない奴ぁ裸にされる
馬もあるよ船もあるよチャリンコもあるよ
選り取り見取り遊んでおくれ”

〜 京浜賭博地帯(1988年作品)♪ 〜

 
 


親孝行
 
2024.10.12up
 
元気でいればそれでいい

ほんとうだなぁ


“ It doesn’t matter much to me
 君のせいじゃない 
 終わると知っていて 始めたのさ
 It doesn’t matter much to me
 僕なら平気
 黄昏のこの部屋で 少し泣けば”

〜 Strawberry Fields  (2024年作品)♪ 〜

 
 


学生街の喫茶店
 
2024.10.05up
 
角砂糖いくつ? なんて訊かれたかったな

なんで?


5つって答えたかった

・・・


“マリー笑えば片えくぼ 豊かな胸には夢がいっぱい 
マリーおまえの歌声が 淋しい俺の心に沁みる”

〜  Marigold (1981年作品)♪ 〜

 
 


泥酔
 
2024.09.28up
 
人生で得たものと失ったものを秤にかけると
どちらに傾くかという話題らしかった

下がりきってるからもうこれ以上傾かないとか
死ぬときは清算されて均衡を保つとか


“壊れたガレージで 僕が歌った
あの歌今も覚えてるかい?
優しいモデラート 君を泣かせて
得意な顔の愚かな男”

〜 モデラート(1987年作品)♪ 〜

 
 


遅い夏
 
2024.09.21up
 
初老のマスターは 
実はヴァンヘイレンが好きなんですよ と笑った

河岸段丘の小さなカフェで見つけた遅い夏


“長い間君は妹でいてくれたけれども今日限り 明日からあの人の腕の中 優しく抱かれて眠る 
恋人を気取って砂浜で抱きしめてくちづけしたことも 今では素敵な思い出だね あぁ時は流れてゆく”

〜古いラブソングは似合わない(1982年作品)♪〜

 
 


稽古時間
 
2024.09.14up
 
当日はオマケ 晴れ舞台は稽古時間

幕引き後 きっと誰もがそう思う


“愛をさえぎるもの それは昔傷ついた心だね
夢を見ても あの日には帰れない
ほんの少しでいい 勇気を出してその場所から
まっすぐに あぁ まっすぐに走ってくればいい”

〜 夏の終りに(1983年作品)♪ 〜

 
 


命綱
 
2024.09.07up
 
見ようとして目を凝らせば凝らすほど
視界は狭くなる  過ぎたる拘りが招く闇

名戯曲 グレンギャリー・グレンロスが伝えようとしたものは何だったのか

“ 愚か者 オロオロ 丘の上
 老いらくの思い 抑えられず
 堪え切れぬ 声が こみ上げて
 今宵 恋 焦がれ”

〜 愚か者のバラード(2016年作品)♪ 〜

 
 


御御御付
 
2024.08.31up
 
いりどうふの豆腐は
前の日の御御御付の残りでちょうどいい

葱とか人参の余りも少しあるしバッチリ

 
 

“ 立ち止まりたい時 思い出すのは
 僕とよく似ている単線列車
 仕事に行く人や学生たちに
 紛れて僕だけが旅人気分”

〜 相模線旅情 (2017年作品)♪ 〜

 


忘れかけていたもの
 
2024.08.24up
 
ありがとうの言葉を大人は子供に教えた

ありがとうの伝えかたを大人は子供に教わった


“お腹を空かせた学生が大隈通りに吐き出され
楽しみは昼ご飯 今日は何を食べようか
都会に慣れない僕たちを優しく迎えるレストラン
相席も構わない 僕も優しくなれる”

〜 キッチン馬鈴薯(2015年作品)♪ 〜

 
 


午後のアトリエ
 
2024.08.17up
 
湘南茅ヶ崎から信州小諸へ移されたアトリエ

静かな時間と空間に戯れる小雨の午後の光と影

何を見つめていたのだろう
何が見えていたのだろう


”拒み続けた唇に 今鮮やかに紅を引き
ごめんなさいね昨日までは忘れられない人がいた
茅ヶ崎から横浜まで揺れる電車を乗りつなぎ
港間近の公園で暗くなるまで船を見た”

〜 港で歌う子守唄 (1981年作品)♪ 〜

 
 


真夏の読書
 
2024.08.10up
 
チグリス・ユーフラテス川の広大な湿地帯

紙の上の文字が宿す静けさと豊かさ

そこはパスポートの要らない心の旅


“Twenty One 新しい扉
My Lonely Lady あなた一人で開いてゆくんだ
One Side Love 愛されなくても
あなたのために歌い続けていたい”

〜 Twenty One ( 1982年作品) ♪ 〜

 
 


灰色の男たち
 
2024.08.03up
 
現代社会自体の麻痺

ミヒャエル・エンデの警鐘から既に半世紀
僅かな自覚症状を救えるものは何だろう


“踞る若者は鉛の靴を履いて旅をしてたのさ
悲しい過去を捨てる場所を探して長い旅をしてたのさ”

〜 鉛の靴と銀の夢(1983年作品)♪〜

 
 


その他
 
2024.07.27up
 
 
主役でも脇役でもない その他

石の上にも何年とか言うじゃん
居心地なんてそんなもんかもな


“故郷へ帰る地図を破り捨てて
この街で生きてみようと誓った
失くすものなんて最初から持ってない
あとはこの手に入れるだけのこと”

〜 東京通信其の壱(1986年作品)♪ 〜

 
 


夏祭り
 
2024.07.20up
 
 
賑やかさと静けさのコントラスト

おもしろかなしずむ と言ったのは椎名誠

今年も通り過ぎて行く 夏祭り


“ 長い坂道を君が駈けて来る
 髪を揺らし肌に夏の名残を見せて
 小脇に啄木の本を抱えている
 君の青春に僕より早く勇気与えた人”

〜 大いなる坂道 (1982年作品) ♪ 〜

 
 
 


偶然と必然
 
2024.07.13up
 
 
伝えようとして伝わるもの
結果として伝わるもの

縁のないガラス板から溢れない水


“遅れてきた少年の名前はB・B・ジョーン
恋をした罪におののくTeenage Boy
平和な村の暮らしを捨ててもフルーティ・ ルー
愛す人と街へ出るシャイな娘”

 
〜  賢者の贈り物(1986年作品)♪ 〜

 
 
 


青春のたまり場
 
2024.07.07up
 
 
青春のたまり場は時を経て聖地に

博多 ライブ喫茶 照和

井上陽水 長渕剛 武田鉄矢
チューリップ 甲斐バンド、、、

ロサンゼルス ライブハウス トルバドール

ジェームス・テイラー キャロル・キング イーグルス リンダ・ロンシュタット ブルース・スプリングスティーン、、、

たとえいまはもうなくても 記憶の中で

“ 早稲田通り沿いの しけたライブハウス
狭い客席が 埋まらない日もある
ギターケースの中 夢を詰め込んでさ
ここへ来たんだ 今は帰れないよ”

〜 いとでんわ(2016年作品) ♪ 〜

 
 
 


まだあの頃は
 
2024.07.02up
 
ベランダでゆらゆら揺れる洗濯物のシルエット

お気に入りのレコードジャケットを抱えてソファで寝転ぶ時間の優雅さ大切さなんて あの頃は


“ いつかビートルズがクラシックと呼ばれるようになるまで 
二人で聴き続けようと レコードを抱えてソファに寝転んだね 
時間のレールを過去から走る電車に乗って終着駅まで行くはずだったのに 
君は一人で僕を残して降りてゆくんだね
ビートルズさえも卒業したんだと 
誰かが乗っては降りてゆく 悲しいYesterday 物語”

〜 Yesterday 物語 (1977年作品) 作詞かわもとひろのぶ 作曲岩佐敏哉 ♪〜

 
 
 
〜つづく〜
 


紙飛行機の謎
 
 
2024.06.22up
 
「紙飛行機のラブレター」(1983年作品)の謎

そもそもこの歌はどういう経緯で出来たのか

かわもとひろのぶ曰く

“春のうららかな午後 教室の窓越しの絶妙に温かい日射しに眠気を誘われる16歳の少年の夢。
まだ出会うことのない未来の恋人がいったい誰なのかを空中遊泳しながら探すという図です。

持て余す熱情、自分が何者であるのかわからない恍惚と不安。思春期特有の形容し難い非論理の形而上学。

それでも、かわもと楽曲の中ではかなり爽やかな部類に入りますが(^^”

AKB48が歌う「365日の紙飛行機」に先駆けること32年。だいぶ時代の前を歩いていたようです(笑)”

そんな楽曲の1番の歌詞の中で
言葉にすれば笑われるから いつも僕は心を閉ざしてた にきびだらけの初恋の頃も まだ奇蹟を信じてた

2番では
まだ遅くない間に合うはずさ 心縛る紐を解き放せば 自由になれる身軽になれる もう一度奇蹟は起こる

1番ではまだ奇蹟が起こった気配はなく奇蹟が起こることを待ち望んでいる様子

と・こ・ろ・が、、、

2番で “もう一度”奇蹟は起こる

???

え、奇蹟はいつの間に起きていたの??

1回目の奇蹟とは??


そうか、もしかして、

君がいるだけで、、君がいること自体、、、
巡り逢えただけで、、巡り逢えたこと自体、、、

え、それとも、、?? 


1983年の制作時にそういう深?い伏線があったのか なかったのか(= 単なる矛盾) ?

いつか作者が直接語る日がありやなしや^ ^


届けよ 憧れの君に紙飛行機のラブレター♪

 
 


マーマレードの蓋

 
 
2024.06.15up
 
「桜の花が咲く頃に」(2016年作品)という歌は単なる春の歌にあらず

四季の移ろいと中学生時代の甘酸っぱい思い出

映画「ノッティングヒルの恋人」で
恋に悩む主人公が歩く青空市場の背景が春夏秋冬変わってゆく場面が重なる

“雨が続くと校庭は使用禁止の水浸し
若い力を持て余し 傷つけたりられたり”

今年ももうすぐ夏至を過ぎると なんだもう日に日に明るい昼間が短くなっちゃうのか、、と

早稲田駅近く 穴八幡宮の御札・御守りでも有名な「一陽来復」という言葉は
よくない事の続いた後にいい事がめぐって来るという意味で 冬至を境にまた徐々に太陽が出る時間が長くなることがそもそもの言われらしい

夏至、冬至、季節はめぐり  そしてまた、、

そういえば泉谷しげるのかの「春夏秋冬」

“今日ですべてが終わるさ”
と言いながら
“今日ですべてが始まるさ”
で結ぶ

明けない夜はない
いま開かないのはマーマレードの蓋だけ

 

〜つづく〜
 


ロングインタビュー41 いま そして今後
 
 
2024.06.08up
 
親父が去年の12月28日に退院してきたんだけど
全然クチから物を食えない

仕方がないから救急病棟に連れて行って点滴をしてもらう  点滴をしてもグタッとして ただ連れて帰ってまたベッドに寝かすだけみたいな それがもう1週間くらいずっと続いたんだよ

だけど粘り強くマッサージしてみたり 妹がスプーンで口元まで持っていったりするうちに 段々だんだんちょっと食欲が湧いてきたらしくて 

で、気力が戻ってくるんだろうね、”病人病人してられんわ” って何度も口にするようになって
それでまぁ最初は温泉玉子くらいしか食えなかったんだけど 遂にお粥を完食、固形物も食べられるようになって体調が回復してきたことが最近一番感動したことかな

生きてることが旅なんだよね

旅行に行くと いいところに泊まって 必ず鉄板焼きを食べる

旅行じゃなくて旅というと、、
結婚式ソング、「希望の船出」とかがそうなんだけど 船が港を出て行った後 どこに到着して行くのかがわからないような絵で終わる曲が意外と好きなんだね、きっとね
たぶん「Marigold II」とかもそうだし、、

確かに多くの曲が平戸荘の時代に出来た
あの部屋の中で 歌をうたうということは まぁ出来ないわけで、
あんな環境でよく音楽を続けてたっていうか、、
あの時代だったからあそこで生きていられたけど
いまもう一回同じ環境で暮らしてみろって言われたらなかなか厳しいかな
だって冷暖房ない、網戸がないのもまた厳しかったね 雨戸がないくらいならまだいいけど網戸がない 何が一番恐ろしかったかというとゴキブリが外から飛んでくる マジでスゲーおっかなかったよ 壁が白いからさ、寝てる間に、、 (編注:
詳細割愛^ ^)

平戸荘の時代がなかったら自分の音楽も変わってたんじゃないかって言われるんだけどタラレバだから よくわかんないんだよ

今後の音楽活動、、
やって行くけど いま現在 ほんとにね、親父のことでね、、

俺個人としては粛々とというか、アイディアはいっぱいあるんで、続けていきたい

特殊なことをやることはないと思うけど とにかく今出来ることのクオリティを上げたい

ただとにかく音楽をほんとにちゃんと出来るのかどうかが、、ライブの日程決めてお客さん呼んじゃってるけど、、ほんとにやれんのか、、俺もそうだけど妹も、、

これまでのワンマンライブもあの形式っていうか
あの回数だから続けてこられた あれもっと頻度高かったら途中で倒れてたと思うよ

年2回をベースにして 例えばプラス夏とかお正月に特別にもう一回やっちゃおうかなーは出来るけど レギュラーで月イチでやろうかっていうのはやっぱり大変だと思うね

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー40 校歌
 
2024.06.01up
 
校歌は その場所とそこにいた生徒と時代を接着させるアタッチメント

同じ高校を出ていればたぶん何十回かは一緒に校歌を歌ってる

時代と場所と人を接着させる役割っていうかね

去年の11月に平塚江南高校の学年同窓会があった

うちの高校は当時応援団っていうのがあって その応援団のやつらが指揮をして いつも校歌を歌ったりしてたんだけど 今回もその応援団のやつらが実際にステージの前に出てきて指揮をして音楽に合わせて歌ったらかなり盛り上がった

校歌がなかったら ああは行かなかった

早稲田大学だってあの校歌がなかったら それほど卒業生とか除籍者も含め(笑) 愛着は浮かばないんじゃないかな

だって早稲田に行くやつはあの校歌に全く影響されないで でも早稲田に行きたいってやつは少数派じゃないかと、、今でも、、

小中高、大学 校歌はそれぞれちゃんとした人が作ってるから すごい作りがしっかりしてる
小学校の校歌 すごくよく出来てる記憶がある 変奏部があるんだよね 

歳をとっていって校歌って何であるかがちょっとずつわかっていったときの方が印象は強く残るんじゃないかと思う

早稲田大学の校歌って校歌が好きだから上智じゃなくて早稲田を選ぶって ひとつの動機になってるくらいだからね

小学校の時の校歌 茅ヶ崎の小学校は1年しか行ってないけどよく覚えてる  音楽に目覚めたからなかなぁ 1番、2番と 変奏部だった


天に富士あり ひかりあり
地に歴史あり ほまれあり、、、

われらの われらの 鶴嶺小学校

最後の変奏部が独立してあるような感じでちょっとカッコよかった

 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー39 最近の若い奴らは(笑)
 
2024.05.25up
 
最近の若い奴らは、、
俺の触れている奴らだけなのかもしれないけど
善きにつけ悪しきにつけ心の波の動きが小さい

ほら、コンプライアンスのことなんかも生徒たちも凄く考えてるのよ 女の子がいる前でこういう言葉を言っちゃダメだとか 、、、なんか 面白くないんじゃないですかそれは、、って言いたいんだよね、、なんか、こうねぇ、、この辺が痒くなるっていうの、、まぁ昭和が良かったとは言い難いけど なんかこう、、、もうちょっと開いてていい、、そういったことも含めて自分の可能性っていうのをわかると そこを突破口にしていけるんではないかと

とにかく少なくとも尖っている部分って皆んなあると思うんだけど その尖っているのを針を寝かせて見せないようにしている感はあるよね

お互いつまらない気を遣ってなきゃいけないみたいなところがある 特に男の子が女の子に対して

ほんと何か言っちゃいけない言葉なんかを頭の中で繰り返し練習してるのかと思うくらい(笑)

日本人はそもそも特徴的に 出る杭は打たれる みたいな、、 自分は出る杭になりたくない 目立った言動をすることによって何か自分が所属する集団・コミュニティの中で叩かれることを避けようとする 、、、だから積極的にいろんなことに動かない感じがするね
だから叱るときも ほんとに気を遣って叱るもん(笑)

日本の受験制度、そのもとでの中学・高校の教育

俺はいいと思ってる

まず小中の義務教育  あれって皆んなあんまり言及しないけど凄く良く出来たシステムだと思う

なかなか世界でも類を見ない、、日本って全都道府県で根本的には同じカリキュラムで授業をして
小学校1年ならこういうことを学び、2年ならこういうことを学び、、あれが面白くはないんだよ、面白くはないんだけれども、多くの子たちが小中で学んだこと、例えば算数、数学の四則計算とか分数とか小数とか、三角形の面積の出し方とか、それを学ぶことによって最低限社会に出ても生きてゆく能力、それをおそらく95%以上の子は身につけていく、、、で、高校はどうでもいいんじゃない、、というのは、そもそも義務教育でもないし、、だから中学生に対してもっと言うべきことは、高校は行かなくてもいいんだと もっと強く進言すべきかなぁ、と  ただし、それ行かないとしたらどういう選択肢があって 君はどういう道を選ぶのかっていうのを示してやる必要がある

だから小中は今の義務教育の大きな目で見れば大変良く出来ている

大学なんて もっと行きたいやつらが行けばよいところ  お金が無くて勉強する機会を奪われている子は確かにかわいそうなんだけど 多くはそうじゃないと思うんだよ

英会話なんかは学校とか時期によってALT(Assistant Language Teacher)なんて人が来てやるんだけど なんかイベントみたいなんだよ、常日頃やらないから、、、なので学校の中で出来るようにさせるのは まぁ無理だよね、俺の予想では

今後英会話能力とかいるのかなって半分くらい疑念があるんだよ AIがいればそんなに必要じゃないんじゃないのって意見もあるし、半分は俺も賛成なんだけど でも直接スムーズにやり取り出来たらいろんなことが発展的に進んでいくから 話せないより話せた方がいいんじゃないの?って聞くと 皆んなそう思うって  
で、それでもそんなにやりたくない人はやらなくていいんじゃないの 

とにかく自分で選べっていうことを言いたいわけよ 
他人にやらされてると思うからやらない

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー38 理想
 
2024.05.18up
 
音楽の理想ね、、、

究極的には音楽の理想っていうか 俺は音は波だと思っているので、、 声も波だと思っている

結果さ 日本語だと意味がわかったりするけど
外国語で歌われていても感動する曲ってあるよね

それはたぶん音が波として あるいは声が波として伝わってくるんだと思ってる

自分はすごく言葉にこだわってるけど言葉がない音楽もある

なので音楽って一括りにすると ざっくり言えば波が聴く人の心を震わせる、、そういう音楽、やっぱり音楽として持つべき最低限の条件がコレ

聴いている人が気がついたら泣いてるのがいいね

それはずっと俺が言い続けている “あなたの心に突き刺さりたい” ということなので

学習塾で新高校1年生に自己紹介をするとき 自分は何という名前で何を教えててなんて言うんだけど そのときに必ず言う言葉が “俺はTeacherじゃない”ってこと  “俺はEducator でありたいんだ” と

Educate の日本語訳がおかしい 教育って訳してるけど それが間違ってるから まず元の意味を知ろうと  

Educate のEは ほんとはExと書くところだけど音の関係でエックスが落ちちゃった 
Exは元々 外(そと)の意  Import Export
荷物を中に運び入れるから輸入 荷物を外に運び出すから輸出、、、って言うと好奇心のあるやつはそこだけで爛々と食い付いてくる

で、duc、、、これはまぁわかんないだろうけど
Introduceって知ってるか?って聞くと皆んな知ってる 何? 意味は? 紹介する、、 うん、
だけど元は紹介するって意味じゃないんだよ

Introって何? って聞くと え、曲の始まり、、
何でIntroって言うの? 知らなーい(笑)
普通中学生だからそうじゃん

Introっていうのは実はIntoのこと
そこでペットボトルを用意して、、こうして水を注いでいって器の中に水が入っていくことだと

In というのは枠の中っていう意味でtoというのは
目指す、、最終到達点 、、で 入った状態のこともIntoって言うよ 、、と
それが あ、そうか 中に入って行くってことね

duceっていうのは導くっていう意味なんでIntroduceっていうのは外側にあったものを中に入れていって導くっていう意味

だから楽曲の本編が始まる前にIntroって流れるけど あれは本編に入るのをスムーズにさせたりとかビックリさせたりするための仕掛けなんだと

そうするとまた音楽で食い付いてきてくれる
知的好奇心ね

で、Educate は Eはさっき言ったようにExで外(そと)っていう意味、duc は導く、、外に向けて導き出す、、、それは何かと言ったら、
君らの中に埋まっている可能性に手を突っ込んでググググーっと外に導き出すのが俺の役割だ
、と
そういつも言ってる

だからteach するわけじゃない、、もちろん中には教えなきゃならないこともあるけど それでも
教えたことを使ってどう自分の可能性を広げて行くか考えなさい、、ということを言う

それが受験であろうが何であろうが それが出来ない子は 少なくとも勉強はあまり得意にはなれないね 最初に釘を刺しておく意味でもそれは言ってる

出来るやつは勝手に伸びる それに応えてやれるかどうかっていうのが先生の腕  そこを履き違えちゃうとちょっと問題がある  試験にはこういう問題が出ます だからこれを覚えましょう的な、、それをやるくらいなら もうこの仕事辞めます(笑)

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー37 対比 グラデーション
 
2024.05.11up
 
都会と田舎あるいは故郷、、それを対比させた楽曲、作風が少なからずある

アイコン、象徴だよね
都会と田舎というよりも故郷

「ふるさと」っていう歌あるじゃん
小学生の時はもちろん うさぎを喰ってる人の歌だと思ってたわけだけど(笑) ちょっと歳をとってからあれをフルコーラス聴くと もう涙が止まらなくなった  3番の歌詞知ってる?

“志を果たして いつの日にか 帰らん”

いやー、あれね、、すごい、、、

まぁだから 都会と田舎っていうのはちょっとわかりづらいけど故郷っていうのは対比上、精神的にもアイコンの役割りだね

「片田舎のロマンス」っていうあのタイトルが出来たのも ほんとに田舎で そこにカップルふうの高校生がいて こいつらがやがて喧嘩とかして
冷めていって別れて 一方は都会に出て 一方は故郷に残っている、、そうすると二人の距離の乖離っていう、、だから別に都会が東京じゃなくてもいいし 田舎が岐阜じゃなくてもいいんだけど
そういう距離感というか濃淡を出すのには都合がいい存在っていうのかな

早稲田と茅ヶ崎だと そんなに都会対田舎って感じもしないけど、、でも それですらもやっぱり距離感とかグラデーションがあるというか、、

完全な白対黒ではないと思うんだよね
その間にグレー、、薄いグレーもあるし かなり濃いグレーもあると思うんだけど、、、だから特に都会と田舎だけじゃなくても 晴れと雨とか
空と大地とかでもいいんだけど 対比を表すのにはほんとに都合がいい存在っていうのかね

ね、ほら、都会っていうと一般的な人が抱くイメージでは 人がたくさんいてガヤガヤしてて 田舎は人があまりいなくて年寄り多くてみたいな、
あくまで一般的なイメージだけど その一般的なイメージを利用して また脳内に楔を打ち込んで行く作業を、、

まさしくもって「東京通信」はその代表的な例だね

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー36 モチーフ 今描きたいもの
 

2024.05.04up
 

楽曲のモチーフには自者と他者がある

例えば「No one else」
自分だったらこうだけれど その人だったらこうなんじゃないかって  自分のことだけ歌う曲ってあんまりない  明確なモデルじゃないにしても必ず歌の設定上のモデルみたいのがいて その人に憑依して どういう歌の内容にするか、、

特によくあるのは結婚式で歌を作ってくださいと言われたときに その人とパートナーが どうやって知り合ったのかとか どうやって愛を紡いできたのかって まぁ一応取材として 酒飲みながら聞くわけなんだけど 将来的にどうしたいのかということも含めて聞いて 自分目線とモデル目線、、それを楽曲を作る時の最初のモチーフとして、、

「No one else」も 現実を悲しいとか寂しいとかっていう状況のものだけ歌ったら 聴いてる人も苦しくなっちゃうし 歌ってる方も歌ってる高揚感みたいなものが残念ながらないから 想像は外れてるかもしれないけれども 自分の歌おうとする対象者の心に憑依して、、

他者と自分の対比があってほとんどのものが初めてできる  すごく他者と自分が近い場合と ちょっと距離がある場合はあるけど 自分一人 あるいは他者だけってことは まぁないかな
それをモチーフと言っていいのかどうかわからないけど、、対象者は必ずいる、自分の歌の中では

いま描きたいものは どちらかといえば ちょっとドライなもの
作ろうとしている楽曲は幾つもあるんだけど、何か天気を中心に話題が転換する、、それをひとつの軸にして それが恋だったり 仕事だったりを
何か歌えるんではないかって、、

頭の中に既に “北からの張り出した高気圧”というところだけ歌詞とメロディーが出来てる
だけど その”北からの張り出した高気圧”ってどんなんだろ?ってわかんないで(笑) 言葉が先に出てきてるから どうしようかな、と

それさえわかれば、、チャットGPTを使ってそれをわかろうとしたんだけど上手く行かず、、かといって理科をゼロから勉強することも今更考え難く、、 なんかこう、よくわかってる人に訊きたいなぁ、、

“北からの張り出した高気圧”って言葉を変えるのにはちょっと忍びない
なんでその言葉を思いついたかといえば テレビの天気予報で言ってたんだよ

それが晴れになる場合と雨になる場合では歌の内容も変わるので、、そこはちゃんと知っておかないと(笑) 理科の先生ってすごいよな

もう一曲別に 雨が降り始めるた、、そこでウェットに別れる っていう全然別の曲

そのふたつを作りたいんだけど 何か行き詰まるんだよね

知識的に論理的に合ってない可能性もあるんだよね、その言葉が、、
”北からの張り出した高気圧”って俺には聞こえたけど ほんとはそんなのないかもしれないんだよ

「愛の定理」って曲を作った時は 数学用語が間違ってないか すごくキッチリ調べた

 
 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー35 後悔
 
2024.04.27up
 
音楽的には別に後悔はない

俺の人生訓の中のひとつに
反省はしても後悔はするなっていうのがある

小学生から中学生にかけて野球が自他共にかなり評価の高い少年だった  将来もちろんプロ野球の選手になろうと これは多くの少年が夢見ることかもしれないけど

野球がやりたくてやりたくて いつもいつも
それで小学生のときに自分でチームを作ってやってたんだけど チームメイトがあんまり上手くないので満足がいかなかった

でもどうやったら強いチームに入れるのかとか全然わからなかった しょうがないから自分の出来ることでやってたんだけど 中学に入ったら野球部があると聞いていたので野球部に入部した

上手かったんだよ結構 やっぱり、、

そしたらね、先輩たちに妬まれて 休み時間とかに人目につかないところに連れて行かれてボコられたんだよ お前は生意気だとか もう部活辞めろとか とにかく殴るわけよ

まだ12歳で そんなに精神的に強いわけじゃないから ただ野球がやりたいだけで野球部の練習に参加してるのに なんでそんなことされなきゃいけないのか、、って

で、ある日 意を決して野球部の顧問の先生に言いに行った
先生、実は上級生の人たちにこういうことされて、、、野球は好きなんだけど 辞めようと思います、、と

俺はね その先生が引き留めてくれると思ってたんだよ

そしたらね あっさりと 
そうか じゃあ 他の部員には言っとくな
って

え??、、、(笑)

俺 生意気なところ あったかもしれないけど
そんな殴られるようなことしてないと思って、、

なんだけど状況が状況 恐ろしかった

引き留めてくれると思ってた その時まで大人をちょっと信じてるところもあった

引き留めてもくれないんだ、、と思って
人前で泣くような人間じゃなかったけど
家に帰ってきてからとめどなく涙が出てきて、、

どうだろう、ほら、今みたいにネットとかあったら シニアリーグだとか そういうのあるじゃん 中学生が入れるような、、、そんなのわかんないから 野球を辞めるしかなくなっちゃった

思うに 高校で三段跳びでファール3回したなんていうのは まぁ笑い話でいいんだけど 野球は
辞めなきゃいけなくなったあの状況に戻って、、
やっぱりもう一回やり直せるんだとしたら あの場面で それでも野球をやります 先輩たちをプレーで見返してやります って言える、、そういうような別の人生ってなかったのかなぁ、、って

それがね、唯一の後悔だね

その後 中学時代はバスケット部に入って適当に楽しく過ごした

俺のいない野球部は弱くて ざまあみろ と思ってた(笑) 俺がいたら絶対優勝できるのにな って
ひどい自信家だったんだね ピッチャーで めっちゃボールとかも速かったし 、、だから余計に、、

だからといって中学時代に悪い印象はない
めっちゃ女の子にモテたし(笑) 信じなくてもいいよ 事実だから(笑)

後悔っていうかさ、、野球をやっている自分がどうだったかって知りたい 限界までやったらどこまでいけたのか、、 バスケットや陸上では叶えられないことだったから、、

高校入ったときに野球部入ろうかなって思った瞬間はあったんだけね でもウチの高校は所詮軟式だし、、、甲子園出られないし、、だから辞めたんだけど 野球部入るんだったら そもそも平塚江南高校に行ってない

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー34 自薦3曲
 
2024.04.20up
 
俺の中で自分No.1は「禁じられた距離(ディスタンス)」

2020年にコロナが流行って いろんな活動がなくなって まぁそれが2021年と続いたけど 実際に2020年って 先行きがよくわからないっていうか 今までの世界観がバタバタバタバタ倒れていっちゃうような、、

でもいつか霧が晴れる、、って言い方ヘンかもしれないけど いまモヤモヤっとしているものが段々だんだんきれいになっていって、世界が元に戻るというよりも別のものに生まれ変わるんじゃないかと、、
その生まれ変わり方が全然わからないから すごくね、曲を作っていても歌詞が全然出来ない
そこに自分の弱さがあるのかもしれないけどね

あの曲は実は一番曲の最後の
“気まぐれで抱きしめてゴメンと言ったけど”
あそこだけが最初に出来た

なんでそんな歌詞を思いついたのかなぁと思ったんだけど、、 あの時 塾の対面授業が出来なくて、緊急事態宣言、、授業をやるにしてもZoomの画面越し、、リアルで生徒に全然会えない、、学校が始まった時にみんなマスクをして通う、、これから先 世の中がどうなるのか全然わからない中で 何か歌をうたうというか この状況の中で恋愛関係になってるやつらって どういう恋心の育て方とか保ち方とか、、、

みんながスマホを持ってる時代だから その現代性だとか、、 学校に行けない期間 外に行くのも憚れるような期間、、でも好きな人がいて、、じゃ その好きな人とどうやって会うかっていったらコレ(スマホ)しかないんじゃない、、って

まぁこれから変わって行く世界の中でもスマホっていうのは一大役割りを果たすっていうのかな

実際にはスマホっていう言葉は全く出てこないんだけどその世界を歌って 尚且つ自分の評価だけど あの楽曲のイントロだとか 曲調が変わる変奏部だとか これ以上は出来ないくらいアレンジが自分の中ではよく出来ている 世間の評価はまた別だけど自分ではあれをなかなか超えられない

とにかく歌詞を吐いて それを聴いた人が この人どんな絵面を歌おうとしているのか、、伝えたいけど あんまり直接的な言葉は使いたくない

まさしくもって ”マスクだらけの街で”
それだけで どのくらいの人がどういうことを思い起こしてくれるか、、 一発で表現する言葉をずっと考えてその言葉に到達した

それをあの時期にどうにかギリギリ作れたというか 2020年、実際には完成したのは2021年、平塚江南高校の創立百周年用に作った楽曲「乙女たちの伝言」と「禁じられた距離(ディスタンス)」だけが その2年間に出来た曲なんだよ

まぁ思い入れもあるし 曲としてもよく出来ていると俺は思ってるんだけど 作った本人がそれを言っても仕方ないから難しいところだね

それがまず一曲としてはあるかな、、
うーん、あと2曲ねぇ、、、

何をもって自薦というかにもよるけど
もしかしたら「覇気あれ我がクラブ」かな

「禁じられた距離(ディスタンス)」は自分の思い入れだとか、あの頃ヒマで時間があったからアレンジとかコーラスとかにも結構時間が使えて 自分の中では楽曲値が偏差値的に75くらいある曲

だからそういう観点で選べば「禁じられた距離(ディスタンス)」だけど みんなに一番歌ってもらってるのは たぶん 「覇気あれ我がクラブ」(1997年作)なんだよ 作ってから26、7年経ってるけど ずーっと必ず月に一回はみんなで合唱、場合によっては もうちょっと別のイベントとかでも歌ってもらってる、、カネもらってないけど(笑) そういう意味合いでは「京浜賭博地帯」とか「覇気あれ我がクラブ」は ちょっとしたエポックメイキングな曲かもしれない

もう一曲、、なんだろうなぁ、、、
たぶん答える時期によって答えが変わるような気がするけど 確かに「僕等について」とか作ってライブとかでも毎回激しく歌ってたからもちろんいいとは思っているが、、、、10曲なら言い易いけど、、、うーーん、、、、、、
まぁ でも 「キッチン馬鈴薯」(2015年作)かな

というのもだね、いま頭の中でものすごくスピーディーにいろんな曲を比較してみたんだけど(笑)
あの曲を作って あぁこれで俺音楽を続けて行っても平気そうだって気持ちになったかな

もちろんほぼ全ての曲を自分では気に入ってるけど 何が自分の精神的に影響を与えたかっていうと今挙げた3曲かなぁ  あくまでも本日時点でのはなしです 明日になったら変わる可能性がある 3曲とも(笑)

 

〜つづく〜
 


ロングインタビュー33 早稲田大学
 
2024.04.13up
 
今更ながら、、うーん、、、

10代の拗れたものを 早稲田に行くことによって
だいぶ昇華したというか、、

それ、何かっていうと、、こう見えても中学時代
たいへん成績が優秀だった 学校で1番の成績で卒業して 高校に入る時は上から2番、出る時は下から2番だった 
東大、早慶に行くの当たり前のような学校だった

自分はどこにも受からず、、現役のとき 早稲田、東大しか受けてない なぜかといえば、、
受験のことなんかあんまりわかってなかったんだけど周りのやつの受験校を見たり聞いたりするとさ、たいがい皆んなそういうとこ受けてるんだよ

それで自分の中での最低限のプライドを保持できる学校っていうのが まぁ早慶上智くらいしかなくて、、結果慶応は受けなかったんだけど上智と早稲田に受かって どっちに行くかなぁって、、

上智の合格発表見に行った時に なんか学校が狭いような気がした、、ほんとはどうかわからないけど

それでやっぱり早稲田か、と
早稲田は校歌も知ってるし
それって結構デカかったんだよ、日本の多くの人が一校の校歌を知ってるって滅多にないんじゃないかと  俺が知ってたのは早稲田大学とPL学園だけだったもんね(笑)

だから早稲田 割とブランドあるんじゃないのかね、って

で、だからまず入って そこでちょっと安心したかったっていうのがあるんだな、きっと

浪人までしたから  浪人すると もう一回浪人は絶対嫌だと思うよね

それで早稲田に入って少し安住してたってところがあるんだけど でも俺が別に早稲田を出て その学歴をひけらかして何とかしたいとは全く思ってなかった

早稲田に入ったら とにかく大学に居る間 に執行猶予期間だと思って 遊ぶこともそうだし 音楽がやれるんだったら音楽もやりたいし、、といろいろ思って 最初に麻雀を覚えた(笑)

これ順番的に(笑)、、これ面白いなと思ったのよ
将棋と違って運も結構左右するし、だから初心者でも勝っちゃうこともある

最初の1年くらいは麻雀をほんとによくやった
徹夜も厭わず
徹夜で麻雀やりすぎて家庭教師のバイト先でよく寝てた(笑) その教え子が志望校に受かったからすごかったけどね

当時大学生のステイタスみたいなところがあったけど 俺は根本的に麻雀が好きだった

ただ音楽をやるのにどういう形でやったらいいのかっていうのがちょっとわからなかったんだよね

音楽サークルとかいっぱいあったけど入りそびれちゃって 2年になるときにさすがにどっか入んなきゃいけないと思って抒情フォーク研究会に入った(註: ロングインタビュー17参照)

抒情フォークは茅ヶ崎という土地やロータリークラブと同じように 受け入れてくれた

愛着があるところっていうのは自分とか自分の周りにあるものを受け入れてくれるところ

抒情フォークはサークルのレベルとしては最低限のレベルだったんじゃないかって(笑)、、いま思うとね 中には光る才能も何人かいたけど

とにかくね、居心地が悪くなかったんだよ
だから大学自体には行ってないけどサークル活動には行ってた

それが早稲田ってところを自分の人生の中で捨て去るものではないって置いておける状況

その早稲田を足がかりにして いとでんわ とかもあったわけなんで、、

早稲田大学、、ちょっとした郷愁があるよね

いまだって箱根駅伝観てて 青学強ぇ? とか駒澤強ぇ?とか、早稲田何位だかわかんねーな、、って時々観るもんね 早稲田何位なんだよって

そういううっすらした愛校心っていうの、、
これ愛校心って言っていいのかなぁ、、

よくロータリークラブの後輩とかでも早稲田出身のやつとかがいて “先輩” とか言われて それはちょっとどうかなぁ、、って思ったりもするんだけど、、(笑)

これが上智とかに行ってたら そんなこと思ってなかったんだろうね きっと
上智だったら速攻でもう辞めてたんじゃないかと
早稲田 辞めるのに5年とか6年かかったもんね
まさしくもって優秀な成績で除籍されました(笑)
単位取ったのは1年時と5年時だけなんだよ

ある意味でほんとに郷愁の地
二十代の自分の人生と早稲田っていう街が一緒くたになってて その中に大学もあったし キッチン馬鈴薯もあったし いとでんわもあったし、、
そういうことなんだろうね

ここで何かすごいことを学んでそれが後に学習塾の経営に影響したかっていうと全く、、(笑)

学問的なことは全く学んでないからね

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー32 吹奏楽
 
2024.04.06up
 
吹奏楽に詳しいわけじゃないんだけど生徒に吹奏楽部員が結構いて 先生 定期演奏会があるから観に来てとか よく言われてたんだよ

実際に何回か行ったことがあるんだけど
そうするとね 塾で見ている顔と部活動をやってる顔が明らかに違う、、まぁ当たり前だろうけど

なんか高揚した表情 、それは運動部の子もそう

少なくとも彼らには最低でも二面があるな、と
三面、四面あるのかもしれないけど

それを公教育の先生たちと生徒を共有できないかと思って 2003年くらいから部活レポートをやり始めたんだよね

それからいま20年くらい経ってるけど 実際にはコロナ前くらいでほぼ止まっちゃってる
吹奏楽のコンクールそのものが出来なかったり
客を入れない状況だったりとかで いろんなものが頓挫していった

音楽に携わってきたけど吹奏楽はよく分かってないから新鮮なんだよ

音を聴いて どんな絵が思い浮かぶか

記事に起こす 音を言葉にするっていうのはすごく難しい  それを伝えるためには脳内で一回絵に変えなければ、、 その絵を伝えることだったら少しは出来やすいんじゃないか、と

やってるうちに結構はまっていって 吹奏楽の関係者といろいろ仲良くなったりとか、、
自分がいま音楽を回帰してやるのにも吹奏楽との関係はかなり重要な役割を果たしたと思うんだよね  金管楽器が あぁ こういうふうにすると優しく聴こえるんだとか 木管って柔らかい感じがするんだけど 強く吹いて 刺さるような木管楽器もあるな、って、、
いつのまにか それで勉強してた

いまウインドシンセを吹いていることとも関係ある もともとウインドシンセになる前にピアニカっていうかさ、鍵盤ハーモニカを吹いてた なんでそれをやりはじめたかっていうと ある学校の吹奏楽部の定期演奏会を聴きに行った その学校は部員の数がすごく少なくて 指揮の先生が指揮をしながらピアニカを吹いてた
エッ、これ結構カッコよくね っと思って、、

それから自分でもこっそりと使うようになって(笑)

ウインドシンセにしたのはピアニカは鍵盤”ハーモニカ”の音しか出ないんだよね だからもうちょっとサックスっぽい音だとか オカリナに近い音だとか そういうのを鍵盤ではなくて吹いてやると ちょっと見た目も良くね、って

なので 音楽のバラエティを作るって意味で それをやってる それは間違いなく吹奏楽から影響を受けてる、、ナンチャッテ(笑)

吹奏楽は大人数でやるのもあるんだけど
アンサンブルコンテストってのがあって
これが泣けるんだよね

木管と金管合わせて8人 全部違う楽器で
作っている、、
それを聴いたときに 俺もこのアンコンに出る曲を作曲したいなって思ったよ

 
 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー31 曲作りのこだわり
 
2024.03.30up
 
曲作りのこだわりとして ひとつあげるとすれば
聴く人の脳のどこかにフックされる、、キャッチー、、キャッチーじゃなくても 俺の中ではちょっとした文学的な、、、なんていうのかなぁ、、歌詞をただ漫然と書いて音数だけ合ってればいいということは一切ない  全曲について言えるんだけどね

どんな曲にもいろんなことを仕込んでいる
例えば「約束の歌」で1番のAメロが
”僕の歌聴いてくれた 始まりはただそれだけ”
で、2番の冒頭では
”同じ時代に生まれて 繋がりはただそれだけ”

ただそれだけっていう言葉  
ほんとワンフレーズだけど そこを揃えることによってちょっと2センチくらい釘を脳内に打ち込むっていう、、 それ 至るところでやっている

曲作りって言い方かどうかわからないけど
楽曲の世界観を構成する言葉 それにはものすごく配慮している

二十代の頃は配慮をあまりしてなかった
配慮してなかったにもかかわらず才能があるもんだから(笑) 配慮したかのような歌詞になっている曲もある

「てんびん座の女」 よくあんな歌詞書けたなぁって、、今考えたら、、
“愛を秤にかければ やがて傾く哀しさ 皮肉にもならないね 君はてんびん座の女”
って、、

もうなんだか、よくほんとあんな歌詞が書けた、あれはだから何も考えないで書いてた、、
一応記憶としては こう書いてやろうっていうのじゃなかった

当時いとでんわに出入りする大人たちに時々歌詞だとかを批難されることがあったけど 一応 自分が良いと思って世に出した曲だと それよりいい歌詞があるなら教えてくれよって、、何回か楯突いたことがあった

やっぱり考えてみると歌詞をどう構成して伝えるか  好きだとか 愛してるとか かなりダイレクトな言葉はなるべく使いたくない

情景描写で愛が伝わる
それが俺が意図していること

さだまさし「僕にまかせてください」
あの歌詞なんかはすごく参考になる

それが届かなかったら駄目だからほんとに微妙なんだけど 届くようにそれを書く

みんながみんな同じように感じないから それはそれで仕方がないけど こちら側としては可能な限りの匙加減でそれを書いていく 今もそうなんだけどね

自分が納得しない歌詞だと出したくないんで
メロディが全部出来てるのに歌詞が出来ないから没になっている曲もたくさんある

それが惜しいような、、(笑)
他の人が歌詞書けばもっと世に出る曲はいっぱいあるのかもしれないけど、、

とにかく聴く人の脳の内部に 仕掛けをちゃんとして 曲を聴いたときに そこから何かシュッと出て来るような(笑) そして脳内に引っかかって忘れられないような、、

詞が先か曲が先か、、あぁいいことを訊いてくれたね   同時です 

全部を作るわけじゃないよ 楽曲の一部のメロディと歌詞はほぼ同時に生まれてくる

例えば「相模線旅情」を思いついた時は俺は風呂場の前で素っ裸だったんだよね、マジで
それも2月のすごく寒い夜  ICレコーダーの前に走って行って “相模線は走る ラーララララー” そこだけ しかも相模線は走るのあとの歌詞は出来てないんだよ(笑) そこだけ収録して あまりにも寒いので風呂に入って 風呂から上がって そこから他の全ての絵面を作って、、歌詞どうしたらいいか、、しかもさっき言ったように ちゃんと脳の中にフックされるように歌詞を作っていくとしたらどうなのか、、ってやって出来たのがあの曲だった

それはあくまで極端な例なんだけど ほとんどの曲が それがAメロだったりBメロだったりサビだったり変奏部だったりするけど どっか一部のメロディと歌詞が同時に誕生して そこからガーって広がって行く

そうじゃなく作った曲なんてあったかなぁ、、
ちょっと記憶がないねぇ

高校時代は全部詞を先に書いてた
そうしないと岩佐が曲を作れないから

自分は曲を作る才能なんて そんなないんじゃないかと遠慮がちに思ってた

大学に入る前のあたりから 曲もいけるかもしれないって(笑)思うようになってから 一番最初に作ったのが 「二十歳の階段」

高校の時も「駅前伝言」とか 曲は作ってたけど さしたる才能じゃないと思ってたんだよ

“二十歳の階段のぼり詰め 早く駈けてこい 駈けてこい” そこだけが先に出来て そこからAメロ、Bメロを作っていった

あれが意識してそうやって作った最初だったかもしれない

いままで作った曲の中でいうと「京浜賭博地帯」「異国の友」の2曲だけは ものすごいスピードで曲が出来た

「京浜賭博地帯」も “賭博地帯は〜”のところが最初に出来たんだけど 前後の世界観も一発で組み上がって歌詞も最初に作ったときと今歌ってるのもほぼ同じ

「異国の友」もそうなんだけどね

世界観が出来上がってワンフレーズあったら いくらでもいける感じがするね

なのである意味俺の中にはまだ無限大の可能性があるのではないかと信じるようにしてるんだけど
(笑) まぁ無いかもしれないけどね、、

曲が先に、、例えばAメロあってBメロあってサビがあってみたいな全部出来てから歌詞を載せるとか 歌詞先に書いてから曲をそれに合わせて作って行くって作業は 少なくとも21世紀になってからは1回もないと思う

「片田舎のロマンス」がたぶん詞を先に全部書いた最後だと思う

よくあんな歌詞全部書いたなぁ、、
たぶんそのとき楽器持ってなかったんで、、

揖斐川を見ていたら 揖斐高校のカップルが(笑)
揖斐なんだよ、おじいちゃん、おばあちゃんの家が、、

 
 
〜つづく〜


ロングインタビュー30 茅ヶ崎
 
2024.03.24up
 
 
茅ヶ崎、、うーん、、、

住んでいるところではあるけど 帰るところっていうイメージかな

ほんとは大阪生まれなわけだから大阪に帰ればいいのかもしれないけど、、兄貴はそうなんだ

兄貴は関西方面の方が、、たぶんそれは引越して来た年齢によって少し違うのかもしれない

茅ヶ崎に受け入れてもらったんだ、たぶん

大阪で受け入れてもらえてなかったわけじゃないけど(笑)

小学校5年が終わって6年になるときに引越してきて 当然のことながら自分の中でも様々な壁を感じるわけだよね

引越してきたはいいけれど もちろんそこに友達は全くいないわけで  そっから新しい生活を構築していかなきゃいけなくて

で、初めて転校初日に行ったときにクラスメイトが喋っている言葉を聞いて、、 あ、この話はしたかもしれないけど( 註 ロングインタビューE) 、大阪弁ではいかない方がいいみたいな(笑)、子供心ながらに判断をして 彼らの言葉をよく聞いて それとほぼ同じように喋ろうとした

まあ そのときにクラスの中に可愛い女の子もいたし 悪くない場所かもしれないと思ってね

そしたらなんだかんだ、、
大学時代に早稲田に住んでて非常に孤独だったけど 最悪 茅ヶ崎に帰れることは出来るって心の奥底では思ってた

親父とは完全に断絶していた時代だったんだけど
時々、3ヶ月とか4ヶ月とかに一回 お袋が現金書留でもないような茶封筒でお金、1万円を送ってくれた  そういうこともあって線を全部切ることはなかった

それがあったから早稲田の部屋を引き払ったときに茅ヶ崎に戻って茅ヶ崎で職を探して それでどうにかこうにか生きていくという方針を固めたわけだよね

なので そうなって戻っても とりあえず受け入れてくれた場所、、いまだにそうだけど

俺 ほら 行動範囲が日頃も狭いから茅ヶ崎から出ること そんなにないんだけど それで割と快適にやれるっていうのは 悪くはない場所なんではないかと思ったりするんだが でもそれ以上の
ものでもないような気がする

茅ヶ崎、、、ちょっと鼻につくっていうか、、
何でもかんでもサザンなんちゃらとか 辞めてほしいんだよね あれを(笑)
あと駅前の通りのことを雄三通りとかいうんだけど それも辞めてほしい(笑)
なんかそんなのに依存しないでくれよって言いたいよね  かわもと通りってついたら まぁいいでしょう って(笑)

茅ヶ崎駅の北口を出て左側に向かって行くとね
昔 銀座通りっていう名前だった道がいまエメロードっていう名前になってて、そこにスピーカーが付いていて 俺が二十代くらいのときには そこの道をギターを持ってトボトボと歩いていると
しばしばサザンの曲とかがかかるんだよ
まぁ茅ヶ崎出身だからということでかかるんだろうけど ここに俺の曲が流れないかなぁ って
いつもそうやって思って歩いてた
もちろん流れないわけだが(笑)

茅ヶ崎っていうと どうしても 尾崎紀世彦、加山雄三、そしてサザン そういう有名人が輩出されてるじゃん  尾崎紀世彦とかレコード大賞でしょ 加山雄三は若大将だし、、 それがね、どうも先人たちは凄いと思うんだけど なんか非常にやりづらいっていうか 痛し痒しというところがあるかな

俺にとっては別にアンタがたそこの出身ってだけでしょって思うんだけども ものすごくイメージっていうか その訴求力があるから 俺が多少頑張ったところで桑田には勝てないなって感じはもちろんずっとしてるわけで(笑)

うーん、そこはだから 受け入れてはくれてるけど 全部が全部いいとも思ってない

俺も 茅ヶ崎っていう地名とかを歌の中に織り込んだりすることも時々はあるから 嫌いじゃないんだよ ほんとは

俺なんか ほら割と一個のことに対してグッと掘り下げて行くいうか、、だから地名とか そんなにたくさん出てこないんだよ 歌の中に

なので茅ヶ崎がたぶん最多出場回数じゃないでしょうかねぇ

「港で歌う子守唄」とかね

まぁ早稲田とか割とローカルな名前も含めて
住んだことがあるとか しばしば行くとかっていうところじゃないと なかなか

だから茅ヶ崎はね ちょっと変な感じがする(笑)

 

 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー29 ファンクラブWORDS'WORTH PROJECT
 
2024.03.16up
 
懐かしいねぇ、 WORDS'WORTH PROJECT っていうのを作ってタメがその時にファンクラブの会長を名乗り出てくれた(註 1984年頃)

ワーズワースはイギリスの詩人の名前、ほんと
この綴りなんだよね  それ知らなかったんだよ
俺は   

これはなんでそうしたのかって言ったら やっぱり作詞家になりたかったんだよ もとはね

北山修 阿久悠

この二人には中学高校時代相当影響を受けた

北山修の何が凄いかっていうと「戦争を知らない子供たち」っていう あのタイトルとか世界観は
俺の中に北山修という名前を楔のように打ち付けた  その後に「あの素晴らしい愛をもう一度」 さらに言うと由紀さおりの「初恋の丘」という歌も彼が作詞をしているとわかった日に
エッ、ちょっとバラエティあるの書くね この人は、、って


だからそれで北山修っていうのは俺の中では外せない人、、もちろん会ったこともないけど

北山修や加藤和彦たちのザ・フォーク・クルセダーズはかなり斬新だった   テープ早回しにするとか  どうやってあんな声出してんのかなぁって、、 「帰って来たヨッパライ」

ウチのおかんが スター千一夜だったかな、、フォーククルセダーズが出てきて歌うってんで当時のカセットレコーダーでマイクで録音する、、そのマイクをテレビのところにくっ付けて 歌ってる人が動くたんびに こうやってマイクもおんなじように動かして、、(笑)

おかん、そこからこら声出てるわけじゃないからって(笑)
スピーカーあるだろ、、子供心にも 何やってんの? って思ったわけよ

北山修は京都府立医科大学を出た精神科医

だからそこからなんだよ
メロディとかアレンジももちろん大事だけど 
言葉がね、、っていうのが俺の中ではずっと  いまもそうだけど

それがたまたま ワーズワースって言ったらカッコいいよねって 詩人の名前でもあるし、、っていうんでこの名前をつけた

綴りはほんとにこれでいいのかよって思ってた 当時ネットとかないからさ 調べるのも大変だったんだけど偶然当たってた

ハンコ作ったもんね
(註 かわもとひろのぶファンクラブ WORDS'WORTH PROJECT のハンコ)
いまだにあのハンコあるよ、押せるし(笑)

ワーズワースの詩にインスパイアされたわけじゃなく まさしくもって名前だけ だってどんな詩を書いた人なのかわかってない(笑)

 
 

〜つづく〜
 


ロングインタビュー28 夜
 
2024.03.09up
 
俺は夜の方が 何かものを考えたりとか自分の中からアウトプットすることが出来る

インプットするのは昼間でも出来るけど それを消化してアウトプットする作業は昼間はやっぱりなかなか出来ないなぁ 時間が寸断される

連続している出来るだけ長い時間を確保したい
その時間がないと たぶん 何というか、、アウトプットして行くための素材を組み立てられないというのかなぁ

時間が分断されると音楽が出来ない症候群になる

仕事だけなら慣れてるんだけど仕事以外のところでもまた時間を切り取られて行くので、、
切り取った残りで何とかすればいいじゃないかとか、切り取った残りを合わせたら結構あるじゃないかとか言う人がいるかもしれないけど それがやっぱりなかなか出来ないんだな

出来れば夜 それを爛々とやりたい(笑)
でも それがなかなかうまく行かない

プロで楽曲を製造するっていうような、、いっぱい曲を書く人なんかは 細切れの時間でもいろんなことやるのかもしれないけど 俺はなかなかそれは出来ない  困っている次第

ずっと睡眠をとって6時間とか7時間連続で眠るなんて経験はここ数年全然ない
必ずどっか途中で目覚めてちょっと起きちゃう

まぁとりあえず仕事はね、、仕事がなくなったらたぶんメチャクチャになる可能性があるけど 仕事があるからギリギリ人間らしい生活を送れてる
しかもカネくれるんだからね(笑)

俺にとっては 何か 少しずつ少しずつ気持ちが高まってきて その高まってくる途中で 脳内で
インプットしたものが いろいろな形で組み合わさって行ってアウトプットされる、、歌詞を作るなんていうのは ほんとそうなんだよ あとアレンジするのもそうだけど

虐げられてる感 特に早稲田後期、、誰も同級生も訪ねて来てくれない、みたいな、、超孤独なときっていうのは 絶対に俺には才能があるはずだと思いながら どうして誰もその才能を見出してくれないのか ちょっと自分の努力不足を棚に上げて(笑) そう思ってたこともあった まぁ年齢もあると思うけど

ある意味 塾の先生やりはじめて ここでも駄目だったら俺どうしようもない奴じゃんってことにもなるからね(笑)

楽曲を作るときに必ずしも自分を投影するとは限らないから 当然いろんな楽曲が出来てくる

「風に揺れても」って曲はまさしくもって そういう曲だから  ただ自分個人の話ではないんで
それほど何か切先鋭く あぁ かわもとは傷ついているんだって感じにはなってないかもしれないけど、、 うん、、まぁ、ちょっと何とも言えないな、そこは、、

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー27 死生観
 
2024.03.02up
 
とにかく最近思うのは人は死ぬということ
人だけじゃないけど いずれ死ぬ

俺も実家に行って母親のマッサージをして
“じゃまた明日ね” って言ったら 母親がベッドの中から”じゃ明日ね” って、、こうやって手を振ったのが最後の会話だったんだけど 人はいつか、
ある意味 突然死ぬわけだよね

自分も当然、自分だけ特別なわけじゃないから
いずれ死ぬ  死はある意味で一番平等っていうか誰にでも訪れるから 前は死ぬのがちょっと怖いところもあったけど いま死そのものはそんな怖くない  けど痛いと苦しいは嫌なんだよ

俺の場合 別に子供がいるわけじゃないから
自分が生きてきた痕跡って何だろうと考えたとき
うーん、、やっぱり音楽しかないかなぁ、、と

いま作ろうとしている曲がもしかしたら俺が作る最後の曲になるかもしれないし、、作りかけたものが作り終わらないで死ぬかもしれないとも思うから、、 死んだときに音楽をやってるかわもと、或いはかわもとの作った音楽が人の記憶に残る、、そのことを考えて音楽をやるようにしてる

人が死ぬ曲って最近多い  多いけど ある意味自然の流れだと思ってる

例えば「黄昏」(2022年作)っていう曲
親父と(病に伏していた)お袋 、、もうあんまり言葉も交わさないんだな お袋が喋れないわけじゃないんだけど 喋りかけるのは俺か妹で 親父は同じ部屋の中に居るんだけど あまり喋りかけようとしない  ふたりのときは喋るのかなぁと思ったりもするけど たぶんそんなに喋ってない

だけど長らく夫婦をやってきて、、60年以上も一緒に暮らしてるわけじゃん、、そのパートナーがいつ亡くなってもおかしくない状況で 親父は何を思うのかなぁ、、っていうのがあの曲の世界観

変奏部、、つまり曲のAメロ、Bメロ、サビとか以外に曲調が変わったりするところ、、例えば「キッチン馬鈴薯」だと”神田川の水面に?” のとこ、
あれはAメロでもBメロでもない、、、で、「黄昏」って曲の中にも意識して取り込んだのが その変奏部のところの歌詞で
“それは必ず訪れるけど?”

岡田監督よりも前に”ソレ”って言ってたんだよ、
俺は(笑) (註:岡田監督は”アレ”)

死という言葉を入れるかどうか すごい悩んだんだけど、、入れなくて “それ”って言葉にしておいた   “それは必ず訪れるけど 僕ら明日の話をするんだ”

あれだね、たぶん究極は 
死ぬかもしれないんだけど 少し残された未来に対して、、何か、、、言葉も交わさなくていいのかもしれないけど 思いを馳せるというかね、、

その後の曲も 死とは直接関係ない曲も そういう死生観というか 人間は最終的には死ぬって言うことを意識しながらずっと作ってる

復帰した直後くらいに作った曲、「キッチン馬鈴薯」(2015年作)とか「追憶」(2019年作)とか「桜の花が咲く頃に」(2016年作)とか「相模線旅情」(2017年作)は恋愛の曲じゃなくて、紙芝居仕立ての曲  いろいろ技巧も必要なんだけど それを作って自分にとってもう違和感がなかった

「桜の花が咲く頃に」は別に死とは関係ないかもしれないけど 中学校に入学するときから今まで、、久しぶりに同窓会やりました的なシチュエーションで時系列を追って歌詞が書かれてるけど
恋愛に相当する部分は3番の中で ”目立たぬ人で穏やかで” “奥手な僕も恋をして そして敗れ去ったよ?” って サラッと書かれてる

恋っていうのが まぁもちろん重要なファクターだけど そこにばかりは焦点を当てない 例えば5つスポットがあるとすると 1つは恋かもしれないけど1つだけ   そういうふうに自分の曲の作り方は明らかに変わった

昔は良かったということは一切なくて 受け入れられるだけの、悪言い方をすれば経験があって
受け入れられるようになった  本来であれば そんなの受け入れなくていいんじゃない、、例えば自分が年老いて行くことを受け入れて、、かつてあったやんちゃな時代も受け入れて、、恋もしました、、いろんな社会的なチャレンジもしました、、失敗に終わりました、成功に終わりましたっていうのを まぁ悟っては全然ないけど これからもしかしたら 明日もっといいことあるかもしれない、、ほんと受容力がついてる、、それが悪い意味にもなっちゃうかもしれないけど もう年老いたから仕方がないじゃないかって、、そういうふうにはあんまりなりたくないけど でも現実的にいろんなことを受け入れてきて、、、
二十歳の頃はこういうことが出来たけど 今は出来ない、、例えば陸上競技場で全速力で走って ハイ、三段跳びで、、いまやったらホップ・ステップ・ジャンプのホップの段階で骨折してるじゃないですか(笑) だから現実的には いまもうこれは無理じゃね? って、、 でもまぁ じゃぁ
それに成り代わって 自分がアイデンティティ持って出来ることは何なのかってことを考えると やっぱりそんなに残ってないんだよね

だから要は残存機能を如何に充実して使えるようにしておくかみたいな、、 死生観みたいなのと直接繋がってるのかどうかわからないけど

まぁ歌を作る中にも そういうのって必ず溶け込んでる

だから必然的に時系列で局面が変わって行くような歌も、、昔はほぼ作ったことがないと思うんだよ 21世紀になってから というかここ10年くらいの間に、、

「僕らについて」(1986年作) という恋歌に “年老いても君と暮らしていたい”という歌詞が出てきている  あれはなんでそうなったかと言ったら結婚ということがあったからその歌詞になったわけで、、 

あの頃 結婚式用によく歌を作ってた
「宴の前夜」もそうだし 俺はほんとは「Yes , I will」って曲が自分では好きなんだけどね

結婚式の2次会でピアノを弾いてYes I will を歌ってくださいって、、早稲田の混声合唱団の人がすごい人数でコーラスつけてくれて マジでスゲーって思ったけど キーが低くて大変だった(笑)

自分が結婚してないんだけど 結婚するって結構な覚悟がいるよね
良きにつけ悪しきにつけ どんな覚悟がいるのかなとか、、
結婚って社会的に縛られている感じあるじゃん
、、一応契約しているわけだがから簡単にそれをビリって破ることは難しいでしょ

そうするとやっぱりなんらかの覚悟が要って、、
マリッジブルーって言葉もあるじゃん、、わかる気がするわけよ(笑)

結婚ってめでたいんだけどブルーな気持ちにもなるよねって

それを歌として表現したときに ちょっとこう苦い味みたいのもほんとは歌の中に入れておきたい

だから ただただおめでとうという曲は一曲も作ったことがない 結婚式の曲であってもね

それはどうなんでしょうね いいことなのかどうなのかわからないけど(笑)
死生観とはだいぶ違うかもしれないけど

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー26 ロータリークラブ
 
2024.02.25up
 
ロータリークラブとか 全く興味なかったんだけど 親父が入ってたわけなんだよ
そもそも親父が何で入ったかってことだけどね、、

思い起こせば1972年、かわもと家が大阪から神奈川県の茅ヶ崎へ何故引っ越しして来たかというと
親父が大阪で勤めていた会社が外資に吸収される時期だったんだよ  その時に関東に拠点となる工場を作ることになって その工場建設の候補地を親父が探すことになった

いろいろ紆余曲折あったらしいけど結果的に神奈川県の大磯に良いところが見つかって、2年くらいの準備期間を経て、大阪で勤めてた人達の多くが茅ヶ崎に引っ越してきた

かなりデカい工場だったので 当時は公害の話なんかもあったから地元住民で反対する人もいた

だから地元住民と融和するために何かやれることはないかを模索する中で 大磯のロータリークラブの人達と会い、入会した 

ロータリークラブの中にも反対する人はいたので最初は嫌だったらしいけど会社をオープンに開示したり いろいろ説得したりする中で 段々信用されるようになって、、 最初は少し苦労したみたいだけど やってるうちに面白くなったんだろうね 結構精を出してやるようになって 1996年にガバナー、つまり神奈川県のロータリークラブの中で一番偉い人になった

ガバナーは神奈川県の全てのロータリークラブを廻って方針や課題を聞くガバナー公式訪問ということをするんだけど その公式訪問で茅ヶ崎ロータリークラブに来たときに 思わず口が滑って
“うちの息子も茅ヶ崎で学習塾をやってます”って言っちゃったらしいんだよ 俺はもちろん言ってくれなんて頼んでない(笑)

あらゆる会合はそうなんだろうけど新会員を獲得することは必須のことなもんだから、、
俺の塾にロータリークラブの人がゴンと来てさ、、拉致されるかのように(笑) “入会しますよね”、、って最初から入会することを前提のように来られちゃって それはそれは恐ろしかったけど(笑) まぁ入ったわけだよ  だから親父がいなかったら入ってなかった

で、入ったけど馴染めなかったんだよ、俺は

茅ヶ崎の重鎮の人達だから 誰を見ても偉そうな感じがするわけ  当時俺はまだ36歳くらいだから、、いろいろ気圧されて、、ここに来て俺何かいいことあんのかなぁ?? と いつも辞めようと思ってた

で、入会して1年ちょっと、いよいよ辞めようとしたとき ただ辞めるのは面白くないから 歌を作って辞めようと思った  そこで作ったのが「覇気あれ我がクラブ」(1998年)で 最大のベストセラー(笑)

その曲を作ったら ちょうどそれと同じタイミングで神奈川県ロータリークラブの親睦野球大会っていうのが始まったんだよ

そしたら茅ヶ崎ロータリークラブでめ野球をやりたいっていう人が何人かいて この大会に出て 勝ったらこの歌 うたおうよ、、っていうことになって なんかちょっと盛り上がりを感じて辞められなくなっちゃったわけさ(笑)

ところが その後一回も勝ってない、、しかも去年久しぶり、、20年ぶりくらいに野球同好会を復活させて大会に出た、、で、一応 ポータブルのCDプレーヤー持って行って 勝ったらコレで歌うぞ! って言ってたんだけど もちろん?勝たず(笑) 優勝したらじゃなくて 甲子園と同じように1勝したらなんだけど 勝たなかったんだな、
結構惜しかったんだけど、、 まぁ一生歌わねーほうがいいのかもしれないけど(笑)

ロータリークラブって最初はほんとに辞めたかったけど やってるうちに面白いこともあるってことが その野球のことでわかってきて、、
歌を作ったら 皆んなが一目置いてくれた 
よくこんな曲出来るねぇ しかもタダで って(笑)

まぁ結局 自分のことを輪の中に迎え入れてくれる人達がいるってことにようやく気がついた
1年半か2年経って、、

じゃぁ これだったら続けてもいいかもしれない、、と思ってたら今になっちゃった 
だからもう26、7年やってることになるんだよ

2005年に幹事、2010年に会長になったんだけど
ロータリークラブの歴史とかを学ぶ中でポールハリス(註:1905年 シカゴに最初のロータリークラブを設立)という人が何をしようとしてたのか 文字で知るというよりも感覚的にわかるようになった

たぶんこの人寂しかったんじゃないかな、、と

田舎からシカゴに出て来て シカゴに友達もいなくて、、 でもそこで生きてゆくしかなくて、、そこから気持ちを支える友達、仲間を集めて、、
最初は親睦、そして地域に還元しようと動いた

世界で最初に公衆便所を作ったらしいんだよ
住民たちは喜んでも実は反対者もいた 当時のシカゴでは大きなデパートとかはトイレを提供することで集客もしてたわけで  当然のことながら初めて何かをやるときはいろいろ起こる

ポールハリスは 初めての人 なんだ
俺 初めての人大好きだから ディック・フォスベリー(註:世界で初めて背面跳びをした陸上競技選手) とか ガリレオとか、、

だんだん俺の好みの人物だと気づいて、、
ロータリークラブの中には皆んながうたう歌がいっぱいあるのにポールハリスの歌が一曲もないから 俺が「ポールハリスの手紙」(2016年)という曲を勝手に作った

あの曲があったから いろんなところからイベントで歌ってくれませんかと引き合いが来た

ロータリークラブって 物事をちゃんと考えてる人が多いから 入ってなかったら聞けなかった話も結構ある

単なる親睦団体はいろいろあるだろうけど社会貢献だから、、これからも続けて行こうと思ってる

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー25 テレビ ラジオ
 
2024.02.18up
 
いまでこそライブにお客さん割とたくさん来てくれるけど そもそもこれ続けられるのか 自分の中でも怪しさを感じながらやってた

2015年に茅ヶ崎のレストランなんどき牧場でライブをやった時にロータリークラブに入会したばかりのJ-COMの局長さんが何の気なしに聴きに来てくれた なんどき牧場になんのきなしに(笑)

それをキッカケにラジオで曲を流してくれたり
地域のイベントを紹介するコーナーを持ってる
デイリーニュースっていうテレビ番組に出させてもらったり、、 一回出てみませんか?って 

テレビだから相当緊張したけど そこで「キッチン馬鈴薯」をショートバージョンだけど歌えたし
それからライブを企画するたびに宣伝に出させてもらったり、その後代替わりする局長さんもずっとライブの後援をしてくれてる 

そのおかげである意味続けられた J-COMがサポートしてるからロータリークラブの中でもかわもとライブに行こうっていう大きな流れが出来ていて、、だからJ-COM様さまなんだよ

ロータリークラブに入ったタイミングで偶々ライブがあることを知って、、だから偶然って大事だよね  それでちょっと広く聴いてもらえるチャンスを貰った  だからJ-COMさんには感謝してる

茅ヶ崎テレビとはちょっと違う出会いだった
ちょっと視点が違うというか、、

大将の藤川さんが俺と同い年、茅ヶ崎の人なんだけどフェイスブックの投稿とか見てて 髪型とかなんか変な人(笑)いるなぁ、、でも面白いことやってんなぁと思ってた 

それでたまたまロータリークラブのイベントで茅ヶ崎駅前のペデストリアンデッキというところに 市政70周年とハワイホノルル市と茅ヶ崎市との姉妹都市締結3周年を記念したモニュメントを設置することがあった時に藤川さんが取材に来てて、、 髪型と髪の色で一発でわかった あ、この人 藤川さんだ!って(笑)

イベントそっちのけで “スミマセン、茅ヶ崎テレビの藤川さんですよね?”って言ったら 凄い驚いた顔で “なぜご存知ですか?”って(笑)

“いやいや実はフェイスブックとかでよく拝見してます” 、、と俺の方からアプローチした

実は僕は歌を歌っていてって話をしたら
実は僕も元はミュージシャンだったんだって

1980年代、日本では最先端のコンピュータミュージックを取り入れ、年収も数千万、、でも肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまったらしい

当時メールのアドレスを取得するって簡単な作業じゃなかったんだけど 初めてパソコンを持った時に どんなドメインがいいかと いろいろ見ていたら @M78ドットコム っていう、、ウルトラマンの、、この会社面白いな、と思って、一番最初に持ったアドレスがKawamoto@m78.comだった

で、あるときM78ドットコムが移管されることになってそこを離れたんだけど 実はそのドメインを取得して運営していたのが藤川さんだったんだよね、、後になってから分かったんだけど、、
この人とは縁があるなと思って その後いろいろ付き合うようになった

楽曲のアレンジとかも上手いし、更に言うとミキシングとかも本職だから大変上手  だけど凄く忙しい人だから機材の使い方なんかをじっくり教わるようなことは出来ない 

だけど短期的に何月何日の何時からここでライブをやりますから、、と言うとちゃんとライブの配信もやってくれる だから相当いい酒を贈ってる(笑)

茅ヶ崎テレビ総帥の藤川さんが かわもとひろのぶっていうシンガーソングライターをかなり推してくれ支えてくれている

茅ヶ崎テレビっていう名前でネットではいろんなことを配信したりしてるけど 藤川さんのほんとうの凄さはそこじゃない、と思ってる

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー後半開始24 かわもとひろのぶバンド
 
2024.02.12up
 
復帰ライブ第一弾(2014年4月@江の島虎丸座)では7、8割の曲が弾き語りだった

基本ピアノ弾き語りでいいと思ってたんだけど
少しバラエティーがあった方がいいから楽曲によってはギターやシンセのサポートを入れた

だんだん飽き足らなくなって本格的にシンセをいれ、カホンも入れ、、

俺と充代は初回からずっとやってるけどギターの土田遼太郎は1回目しか出てない

2回目、平塚のカナフのときは俺と充代だけで
ギターのマーチンが加わったのが確か3回目のライブ  シンセは小貫娘母(ちひろ・ますみ)のリレー  音大出の娘が仕事で忙しくなって代わりに紹介してくれたのがお母さん 娘は元々塾の教え子だったから、面談とかでお母さんにも会って知ってたんだけどね(笑)

娘が出ていた始めの頃は客として聴きに来てくれていたから俺の曲もよくわかってくれてるし、何より気心が知れてて俺がどんな人間かわかってくれてる

だからバンドとしては少しずつ少しずつ足していった感じ

シンセ担当は変わったにしても 途中からバイオリンが加わって、、

自分の頭の中で常に弦が鳴ってるから 人を増やすんだったら まず弦でしょって

で クラッシック畑の充代が紹介してくれたのが
仁多理恵だった 確か2016年だったか

岩佐は始めギター&ボーカルで参加してたんだけど ちょっとした打楽器あった方がいいよねって話になって、、 ただ打楽器をやりながら歌えるかどうか、、 でも派手なことやるわけじゃないし 割とリズムも狂わないし じゃこれで行こうと

ドラムを入れたら編成が劇的に変わる
ドラムを入れたらベースも居ないとうまくないし
リハーサルの仕方も頭から変わっちゃう
完成にスタジオに入ってやるようになるから
細かいことが打ち合わせし難い

家の音楽部屋でやってる分には生の音で聴いてるから音外したら そこはこうだからって、、それもやり易いし、、そもそもそんなに派手派手しく
ドラムが入んなきゃいけないかっていうと ドラムを小さく叩くことは出来るかもしれないけど、
例えば「京浜賭博地帯」とか「紙飛行機のラブレター」とか、、そういった曲はもしかしたらフルバンドでやったら聴き映えするのかもしれないけど、、いろいろなメリット、デメリット考えていまの形に到達してる、、自分の楽曲に合わせて

ドラムを入れると他のものが死ぬ可能性もある
ちょっとわかんないけど ドラム、ベース、エレキギターがガッツリ入って それでバイオリンを活かせるほど自信がないっていうか、、カッコいい言い方をするとアコースティックを目指した究極の結果いまのバンドの形になってる

ドラムがどうしても必要なら入れてただろうし
、、あるとしたらベースはあってもいいかな、、
今までシンセで代用してたけどシンセには別の活かし方があるし、、 ドラムを入れると入れないとでは180度くらい変わっちゃうからね

割と室内楽という感じのところにドラムだけ足すのは難しいから 例えばひとつのステージを三部とかに分けて 第二部はドラムが入ってるとか、、やるのはいいかもしれないけどリハーサルが大変、、録音上は出来ても実際のステージでやるとなると相当の覚悟が必要だからなかなか踏み切れない  ドラムを考えた時期もあったけどね

これからはよりアコースティックな方向かな、、って今は思ってるけど 半年経ったらまたわからない(笑)

だからこれからもちょっとしたマイナーチェンジを繰り返しつつ、でもまぁ最終的に自分の作った楽曲の世界観が一番出易い形でやって行こうとは思ってる

 
 
〜つづく〜
 


明日は晴れるだろう
 
2024.02.03up
 
揺れる電車を乗り繋ぎ
港間近の公園で 暗くなるまで船を見た

まだ元町中華街駅は無かった頃

1971年赤い鳥「竹田の子守唄」
1980年サザンオールスターズ「松田の子守唄」
1981年かわもとひろのぶ「港で歌う子守唄」

若さにまかせた愛がいい
明日は晴れるだろう

 
 

 
ただ川を見に行く
 
2024.01.28up
 
西へ向かえば木曽川 長良川 揖斐川の順で
木曽三川を渡る

「片田舎のロマンス」
静かな川面に平たい石を投げたのは揖斐川

土手一面にアブラナ カラシナの
黄色い花が咲く早春を今年も待ち侘びている

 
 


ロングインタビュー23 CD制作

 

2024.01.21up
 
CDを作るっていうのは 新曲が出来たらまずは録音をする、これはほぼ鉄則 

で、録音しただけはそれで終われない
その後 例えばYouTubeで流すとか、、

まぁ或いは CDを作るっていうのは あくまで
ライブがあるので そのライブの中で演る楽曲、特に新曲を中心に、日頃のライブではCD化して
聴きたい人がいたら是非聴いて欲しいっていうのと、、 もうたぶん買う人っていうのは、楽曲が気に入っているから買うっていうのもあるかもしれないけど、まぁ半分くらいかな
あとは楽曲を聴くというよりも折角かわもとが頑張ってるからといういわばお布施

CDを作る意図は当然のことながら”新しい曲が出来たので聴いてください”
で、”実際には聴かなくてもいいから買ってください” って言い方はちょっと汚いかもしれないけど “ミュージシャンを助けると思って買ってください”って、、

千円、2千円ならたいしたことないかもしれないけど 10枚売れたら1万円なり2万円なり、、そのお金がもしかしたら次の楽曲を作ったりライブの会場を借りたりするのに使えるかもしれない、、

ほんとはそんな深刻に考えてはないけど、CDを作るっていうことは 楽曲を作ったら必然録音をする、録音をすれば それをCD化して聴いてもらう手段を増やす、アンドお布施を払ってくれる人を増やしたい

CDじゃなくてもそれが出来るんだったらいいかもしれないけど、、

例えばライブで4曲入りのパッケージで売るCDは
新しい曲を作ったので聴いてくださいっていうことだけど(セレクトアルバム)Early かわもとI & II とかは設定が違う

1980年代に作った楽曲に これでもう歌い納めなのか それとも新しく命を吹き込んで 、
あ、こういう歌い方 この曲出来るかもな、、
例えばほんとに「Marigold」とか「東京通信其の壱」とか、自分の作った曲だけど、オッ こんな歌い方あったか、、と
そう思う曲はまた歌う可能性がある、

それの取捨選択をする、、録音しながら、、録音にも至らない曲は残念ながらもう歌う機会はもうほぼないのかなぁって

録音した曲の中でも半分くらいはもう歌う機会はほぼないんじゃないかって

「Just an only love song」とか「心象風景」とかEarly かわもとに あれが入るとは思ってなかった そんな曲をリクエストをする人がいるからまだその曲が生き残れる可能性はあるけど そこにも登場しない曲は残念だけど終わっちゃうのかなぁ

自分の中での見切り、、過去の自分の中の こういう作品は作って可愛げもあるけど 人前で歌うことは まぁちょっともうないかなぁって
それを決定する儀式だったんだよね

だからEarly かわもとIIまで作ったので20世紀楽曲についてはそれがほぼ終了したかな

なんとも言えないけどね
もしかしたら何かの拍子でまた誰かが
この曲良かったからまた演ってくださいよ、、
なんてことを言えば、、
自分のファンなんて数えるほどしかいないし
YouTubeだって百数十名しかチャンネル登録者数がいないわけだから その中の1人の意見って結局デカい

このあいだ「鉛の靴と銀の夢」っていい曲ですよね、って言われて、、 あ、選に漏れてるなぁと思ったけど(笑) なのでそういうふうなことを誰かが言えば触発はされるのでわからないけどね

ただそう簡単に浮上してライブでレギュラーソングみたいになるかっていうとなかなか難しい

だから新しい曲を作って作るCDと過去の楽曲を集めて整理して出すCDとではかなり違いはあると思う

新曲を作るっていう気持ちは常にあるけど
出来るかどうかは全く別物

ライブをやらないと存在を忘れられるから
ライブは少なくとも半年に一回
そのライブにテーマとかもあるから そのテーマに合ったもので4曲とか 半年に10曲とかはなかなか俺には無理なんで

新しい楽曲をなるべくなら聴いて欲しいという気持ちだね

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー23 コロナの間
 
2024.01.14up
 
確かにコロナの間は苦しかったね
丸2年間全くライブ出来なかったわけだから

でもこの頃には音楽を声が出る限りは絶対やるって気持ちになってた

なるべくなら多くの人に聴いてもらいたいから
最小限のネットとかSNSの運用もします、と

いまもそうだけどほんとうに最小限しかしてない
YouTubeも知ってもらう入り口として、、

ほんとはライブに来てもらうのが一番いいけど
みんながライブに来られるわけでもなく
のちのライブのために潜在的顧客を作っていく、
そういった意味でもYouTubeも まぁ悪くはない

最高の手段とか最高の音質で作れてるわけじゃないからなんとも言えないけど、他に楽曲を最初に聴いてもらうっていうのが非常に難しい
YouTubeでなくてもいいんだけど、それが出来るんであれば、、

少なくともYouTubeだったら聴きたくなった人が聴きたいと思った曲を聴きたいときに聴けるでしょ  だから例えばSNSでライブで演奏しているのを流して聴いてもらうのとかよりは入り易いのかなぁって

これから先 どういう戦術戦略があるのか、これも俺ひとりで考えてもよくわからない

ライブも義理で来るというよりは聴きたいから来るんだよって人に来てもらいたい

そのためにも何か世の中と繋がる手段がないといけないから、、Web だとかも どれだけの人が読んでるんだよって話なんだろうけど、何も発信基地がないと結果伝わらないわけだから

口コミだけでは近所のめし屋じゃないけどなかなかそれを広げていけない
それをどうするのか、戦略はちゃんと考えなくちゃいけないかなぁって気はしてる

Webの”だいたい週刊かわもとひろのぶ”も
あそこに書くっていうことは かなり気持ちを整えて時間を使って書かないと もうねぇ 読んでても何も関心を惹かないよいな文章になっちゃうんだよね

だから小出しに出来るものはFacebook でやるようにして、で、ライブの直近とか、新曲が出来た直後とか、そういうところで厚くやるので 日頃は構わないでくださいって感じかな それを読んでもらうためには結局またSNSを使わなきゃいけない

だからWebもYouTubeもSNSも結果ネットの繋がりの中で相互に結びついて少しでも見てくれる人、聴いてくれる人を増やす、、ここにもしかするとお金を投下すると、なんか上手く行くのかもしれないけどやってないからわからない

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー22 転換点
 
2024.01.06up
 
影響を受けた作家はたぶん遠藤周作太宰治かな
重松清には影響受けてない(笑)

太宰治の人間失格読んだとき ちょっと気持ち悪くなったもんね  こんなこと書ける人いるんだって 17歳ながらちょっと恐怖を覚えたね

太宰と石川啄木は結構セットになる
そうやって言われたくないからどっちかひとつ隠すようにしてる(笑)

あの人間失格は凄いけど短編集はめっちゃ面白い
面白いって笑うわけじゃないけどね 
太宰治って今読んでも絶対新しい

(話題変わって)

2014年4月27日 江の島虎丸座 復活ライブ

ずっと音楽がやりたいという気持ちが沸々と湧いていたけど、その間たぶん21世紀になってから作った楽曲ってものすごく少なくって、、実際には20世紀だけどロータリークラブ用の歌を作って
(編註:1997年作「覇気あれ我がクラブ」)いまだに毎月歌ってるから最大のヒット曲、YouTubeにはアップしてないけどね(笑)

その後、大学のサークルのライブが2005年にあった(編註:@銀座TACT) 2005年は自分の経営していた塾の経営状態が真綿で首を締められるくらい数値が徐々に下がって行って このまま放っておいたらあと1、2年で死に体になるな、って、、だから身売り先を考えて、、とか いろいろ変化が起こった年だった

だから何か希望が欲しいっていう状況になって
「希望の船出」という曲を作った
21世紀になってはじめて作ったまともな曲だった

よくある話だけどサークルのライブのある前日に仕上がって歌った

そこから先また全然曲作らなくて、、
会社の経営権を売って自分がその後どうしなきゃいけないかとか いろいろスッタモンダあったから、、だから音楽やりたいと思ってもなかなか音楽に復帰出来ない状況があって、、

だけどまた2013年にサークルのライブがあったんだよ(編註:@新橋さんろす) その時に やっぱり古い曲ばっかりじゃ駄目だろうと思って 一作なんか作って行こうと

それが「早稲田駅午前3時」って曲だった
あの一回しか歌ってない

あれが曲をもう一回作るっていうキッカケになって、じゃぁそろそろライブやってみようかなって

で、その翌年にライブを再開した
正直いうと 自分で演ってて 声が出てないとか
ピアノも相当下手になってるとかヘタレだなぁと思ったんだけど1回で辞めてやっぱり駄目だったは
悔しいから、、2回目をやらないと3回目は出来ないし(笑)

会場も変えて2回目を開いてみたんだけど
1回目がなければ当然2回目以降はないから1回目をやるには相当決断が要ったんだよね

それを支えてくれたのはサークルのライブ
新しい曲が作れるかどうかをいろいろチャレンジしてた

いまほんとに音楽をこうやって復活してある程度やれるようになってるのはサークルの影響がかなりあったんだね

虎丸座のライブが終わった後のライブレポートをファンクラブ会長はすごく良く書いてくれてたけど 自分の中では死んだ方がいいかもしれないって気持ちもあった(笑)

2013年のサークルのライブ、あの日のライブは自分の中で結構転換点だったね

半年毎にライブをやるなんてことは最初全く思ってなかったけどもう20回だもんね

最初のライブでロータリークラブの会員の人たちが来てくれて確か「モデラート」「片田舎のロマンス」だったか、、”いい曲あるんだからやれば” って、、たぶんその人はすごく気楽な気持ちで言ったんだと思うけど、、それってさ、乾いたスポンジに水を滴らすような感じ、、じゃぁもう
ちょっとやってみようかなって

で、2回目をやったときに またちょっと褒めてくれる人がいて、、 もうちょっとやってみようかなって(笑)

そのうち春秋だいたい半年毎にやるのがいいペースなのかなぁって

最初の何年間はその年間2回のライブしかやってなかった

だけどだんだんいろんな所でもライブをやるようになり、ただ歌ってるだけではなかなか新しいお客さんも開拓出来ないからWebを立ち上げ、その後コロナになったので仕方がないからYouTubeで楽曲を聴いてもらえるようにした

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビュー21 兎に角とんがってた
 
2023.12.30up
 
重松清は語り難いなぁ、、

うーん、そうねぇ、、 あいつはある意味で
根性がすごくあったんだと思うんだよね

何かモノを書くときに頭の中だけで考えるんじゃなくて実際に現場にいろいろ足を運ぶというか、小説家というよりはノンフィクションライターみたいな。。現場に行って何かを確認して、整理をして、何か問題点をあげていって、また次に現場に行ってそれを更に修正していくみたいな、、それをものすごくやったんじゃないかなって気がするんだよね、今やってるかどうかは別として、、

それが作品の中に滲み出てて、、
作家としてはって話ね

当時の重松は、兎に角やつも酷かった(笑)

俺も大学で会うことはなかった、、俺が大学行かなかったからかなぁ、、重松卒業したって言うからビックリするよね(笑)

兎に角 とんがってた
俺もとんがってたけど やつもとんがってた

最初 いとでんわでライブを偶然聴いたんだと
思うんだよね

いとでんわっていう店に時々は来てたみたい

で、ライブをやっているかわもとひろのぶっていうシンガーソングライターの曲を聴いて かなりショックを受けたらしい

そのときに直接聞いたわけじゃなくて 後になって重松が言ったことを言うと そういうことのようで、、

やつは岡山の出身で、俺は洗濯機で風呂に入ってたって貧乏自慢するから、オマエ毎日酒飲んでて貧しいってことがわかるのかって思ったけど(笑)

て、やつが俺の曲「古いラブソングは似合わない」を聴いて かわもとさんさぁ、、愛のことならもう何でもわかってるみたいな歌詞だよねぇ、あれでいいのかよって 、、そう言われても(笑)

兎に角 いろいろな楽曲に論えをするんだよ
「港で歌う子守唄」とか「片田舎のロマンス」とか 歌詞に対していろいろ文句を言う そのくせ
ライブやると必ず毎回来る、そして録音までしてる、キモチワルイだろ(笑)

実のところ かわもと楽曲が大好きだったらしい

送られて来た「暦ひとめぐり」の歌詞をみるとそれがわかるけど俺が二十世紀に作ったいろんな楽曲の歌詞の一部を貼り合わせてコラージュみたいに楽曲が作られてる

詞が長くなるからそれは辞めてくれって(笑)

本当か嘘かわからないけど重松曰くは 僕の作品に幾ばくかの抒情性があるとすれば それはかわもとひろのぶの影響である、と

いまとなっては東京で会った最初のものづくりをする人っていうことになってるけど それにしちゃ あの時の態度キミ悪かったよって言いたいね(笑)

吉川英治賞とか、、新聞に小説が連載されたり、どんどんいろんな作品が映画化されたりドラマ化されて、ついに直木賞を獲って、、
こりゃいかん、だいぶ先を越されてしまった、、
ちょっと今からなんとかならないものかと(笑)

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューS 啄木の影響
 
2023.12.23up
 
一番文学に嵌まってたのが高2、高3、浪人のとき

最初に嵌まったのが寺山修司だった

寺山修司の詩集で 故郷を捨てて東京に出ようっていうような、、 タイトル、そういうタイトルだったかなぁ、、(編註: 書を捨てよ、町へ出よう)
まぁ要は東京に出ればなんとかなるっていう、、
それを読んでちょっと感化されて、、

彼が作った短歌があって、それ、もう一個しか覚えてないんだけど

マッチ擦る
つかのま海に霧ふかし
身捨つるほどの祖国はありや

その短歌を読んで あれ、これ31音でも相当なんか気持ちに刺さるっていうか、、

それで短歌を詠む人の作品を読もうと思ったら
たまたま国語の授業かなんかで石川啄木が出てきたんだよね

たわむれに
母を背負ひてそのあまり
軽きに泣きて三歩あゆまず

これも刺さるなぁ、、と思って

石川啄木の詩の中で一番と思うのは

うすのろの
兄と不具の父もてる
三太はかなし夜も書読む

それを読んだときの衝撃は凄く強くて、、

石川啄木って26歳で死ぬんだよね
石川啄木の長女も結核になって茅ヶ崎の南湖院というサナトリウムで亡くなったということを聞いてちょっとした親近感を覚えた

石川啄木って深刻な詩ばっかり書いてるけど
実際は相当、、だったらしい(笑)

石川啄木は一時期 北海道新聞の記者をやってた時代があって 当時のエピソードなんかがいっぱい飾ってある記念館に昨年行ってきた

東海の
小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて蟹とたはむる

こんな有名な詩があるように石川啄木ってなにか悲壮感漂う、悲しい恋をうたうような人なんだって思うけど、そこの記念館で聞くと いゃー石川さんはそんな悲しげな人じゃありません、って
新聞記事時代ももう大変だったらしい
それを聞くとちょっと安心した(笑)

啄木の詩は今読んでも俺は泣ける

啄木は三行で短歌を書いた

若山牧水

白鳥は哀しからずや空の青
海のあをにも染まずただよふ

って二行で書いてた

そしたら啄木が三行で書くって(笑)

結構 商売人? アイデアマン? チャランポラン? 安心したよ(笑)

石川啄木には相当影響受けてると思う

歌に向かうものの見方というか
俺の中では石川啄木を超える歌人はいまのところいない

自分の歌の中に陰を作ろう、たとえ明るい歌でも陰を残そうとする、、そのきっかけを与えてくれたのが石川啄木だった

性格も真似してるかな(笑)

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューR 一番の幸せ
 
2023.12.16up
 

え、女性像? 理想ってこと?

コンプライアンス上とかいろいろあるけど
どんな子が好きですか? と訊かれれば
小さい子だね 身長がかなり大きい要素かな
ストライクゾーンは身長が152〜156cmくらい
背が高くても可愛い子は可愛いけどね

そういうとすぐにルッキズムとか言われちゃうから面倒くさい  じゃぁ みんな見てくれ主義じゃないのかよって思ったりするよ(笑)

しかし これを自分史というタイトルの中で語ってるのは あまりよくないね(笑)


幸せについてか。。

うーん、、、いろんな幸福感があるからね

いま俺が一番幸せになる時間帯を極論すると
新しい曲が出来る最初のキッカケ。だいたい小節数にして2小節、プラスその2小節に言葉が付いてくる、、それが最初になんかのキッカケで、、常に曲を作ろうとしてるから意識はしてるんだけど、、あるときひょんなキッカケでパッと。。

「愛の定理」とかの歌詞もそう。”交わらない僕達は互いに素” の”互いに素”っていう言葉を
数学の先生が隣りで喋っているのを聞いて タガイニソかって、、、響きが懐かしいわけだよね、自分にとっては  あぁ高校時代にそんなことやったな、互いに素ってなんでしたっけ?って

1以外の共通約数がない状況

これは歌に使える! と(笑)

それで それを含む一部分のメロディと歌詞が出来ると そこから次々と足していって最終的に、
まぁ 世界観とか 俺はよくヤスリにかけるなんて言うんだけど ちゃんと整えて、整合性があるように出来たとき、、たぶん一番幸せなのは そのときなんだよね

だから好きな女性と一緒にいるときも否定はしないけど、、幸せっていう感覚って高揚感と共にやって来る  で、いつ一番高揚するかっていうと
いま言ったシチュエーション

曲を作るのは自分の分身を作っていくイメージ

かつては女の子にモテるために音楽があった
いまは自分が作りたいものがあって それが偶々音楽で その作ったものを聴いてもらう機会を自分で作って、、それはYou-tubeでもライブでもいいんだけど そこで誰かが聴いてくれて その人のキモチに刺さる、、 たぶんそれに勝る幸せは無い   他のところはだいぶ枯れたけどそこだけが枯れないっていうか、、むしろ20歳代の頃よりも そこにグッとフォーカスしている感じ

それを幸せって言うかどうかは ちょっと人によって感覚が違うかもしれない  とにかく曲が出来るあのときのバクバク感とか脳汁が出るというか、、脳内に変な物質が放出されるイメージ 
まさしくもって心臓もバクバク、、それに勝てるものってなかなか、、、体内麻薬みたいな感じかもしれない


ストライクゾーンの可愛い子がいたら その子の気を惹きたいからその子用の曲を作るかもしれない で仲良くイチャイチャ出来たら嬉しいと思うかもしれない そういう時間帯もあるんだろうけど そうじゃない時間帯も。。
100回あったら100回ともというわけじゃない
あくまでもグラデーション


「かわいい女」の “出会うのが早すぎて”という歌詞を思いついたときは まさしくもって脳内物質が出て幸せを感じた

8割以上はフィクションだけど歌を作るという行為の中に自分の最高の幸せがある

歌を歌ってるときもかなりそれに近いものはある

ライブをやってて 「ローゼンダール」のサビに向かって行くところとか、、歌ってて自分がこのゾーンの音の声を出したい、、そこにキューっと行ってピタッと嵌まる、、歌が自分の思っている強さとか高さにズボッと嵌まることがある、、その嵌まったときもかなり衝撃的に脳汁が出る  あんまり嵌まり過ぎると感情移入し過ぎて声が出なくなっちゃうことがある

ずっと強く歌う習慣があった
寄る年波でずっと強く歌い続けるのも疲れる
それを柔らかく 声のボリュームを絞って絞って歌っていって段々段々デカくしていって最大出るところで ズボッと嵌まるとこんなにキモチいいことはない

いままで一番チャレンジしたのは「禁じられた距離(ディスタンス)」って曲

高い音を出し続けるんでライブで歌えるかどうかはその日のコンディション次第  だからライブで1回しかやってない  そのやった1回はあんま成功してない、、俺の中では(笑)
自分の中では一番好きな曲

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューQ 頓挫
 
2023.12.09up
 
 
21世紀になってから作った曲はともかくとして
1980年代に作った曲はもう歌わない曲もたぶん相当数ある

20世紀に100曲以上作ってて
それに新しい命を吹き込めるかどうか
それが出来る曲はいいけど
もう録音するチャンスやライブで歌うこともない曲とは別れをしていく、、お葬式? 
歌わない曲 相当あるよなぁ と思って

AXIAミュージックオーディションが1989年
学習塾に勤めだしたのが1988年、ソウルオリンピック、衝撃のベンジョンソンが失格になるレースの日が夏期講習の初日だった

だからまだ塾の先生をやりながら1年半か2年くらいは音楽もやってライブも、、Something else とかっていうところで たぶん2回くらいライブやった 京浜賭博地帯とかもやって

NYアンティノックとかLAアンティノックとかベッドパワーとか  女子大の学園祭とかも出て
男子トイレがないから大変だった 音楽仲間繋がりで1980年代は幾つか学園祭も出た

でも根城にするところがないから どこに出ても落ち着かなくてね
出たライブハウスの名前も忘れちゃったけど
気持ちが安まらなかった
いとでんわは凄かったね 包容力が凄かったと思う 他のライブハウスはただのライブハウスだよ

1988年に就職してから5年くらいして自分で独立して学習塾をやり始めて12年くらい会社を経営した  ただ少子化もあり先行きが厳しいかもしれないので死に体になる前に経営権を譲渡した それが確か2005年だったかな だからその間の12年間はひたすら仕事をしてた

経営はお金のやりくりとかいろいろあるから やっぱり精神的にも削られていく なので2005年に売っ払って そこから先はどちらかというと時間を大事にするようにして 音楽をなんかやれる方法はないかと探してた 2007年とか2008年頃かな 

ニッポン放送でナイスミドル音楽祭っていうのができたんだよ  要は40歳以上の人間で構成されているバンドで、まぁ最初に音源審査があってという、、だけど真面目に働いていたこともあって音源作るヒマがなかった

それで今まで作ってあった過去の音源を出して それで予選を通過したら新しい音源を作って、誰をメンバーにしてやるかみたいな話をしてたんだけど残念ながら予選も通らなかた

だから音楽に復帰しようかなと思ったけどそこで一度頓挫した

雀荘にはもう全然行ってないし まぁパチンコは時々行ったかもしれないけど 決してギャンブル時代ではなかったんだよ(笑)
 

 
〜つづく〜
 


ロングインタビューP 抒情フォーク研究会 
 
2023.12.02up
 
 
早稲田大学の音楽サークル 抒情フォーク研究会

ほんとは1年生の時に入ろうかなと思ったんだけど
なんかこう、、、なんだったんだろうね、、、
入らないなりの理由はあったんだろうね

最初の4月か5月くらい迄に入ると新人という感じがするけど、4月5月って よせばいいのに教育学部だったから 教育学部が中心になってる 教師を目指す会っていうのがあって そこに高校の時の同期生と入ろうかって新歓コンパに行った

同じ1年生のやつの家で麻雀やろうかということになって麻雀やって、なんとなく教師を目指す会でやって行くかって雰囲気になってたんだけど、、やっぱり教師にはならない、、って(笑)

だからそこで入り損ねたってこと
その後に夏とか冬とかに さだまさし研究会と抒情フォーク研究会がなんとなくあるなって看板とかが視界に入ってわかったんだけど、どういうタイミングで入ればいいかな、、と

で、2年になって この機を逃したらもう入るときはないと思って抒情フォーク研究会に入った

入って感じたのは “レベル低いな、、オリジナルやってるやつもそんなにいないし、俺ここに来るべきだったのかなぁ、、”って(笑)

さだ研に入らなかったのは さだまさしの歌をやんなきゃいけないって縛りみたいなものがある感じだったから そこはちょっと無理だったけど
抒情フォーク研究会はオリジナルが出来そうな感じだった

“オリジナル曲でもいいですか?”って 当時の幹事長のMさんに言ったら “そういう人を期待してたんだよ” って

凄い楽曲を作るやつが何人かいるんじゃないかと思ってたんだけど 初めての合宿に行ったときに
こりゃ そうでもねーな、、と(笑)

アレレ、どうしよう、、と思ったけど もう抜けるに抜けられなくなっちゃって(笑)

でも 縛りもきつくないし 好きに歌っていいような感じだったから 辞めようとは思わなかった

ただ このままここで埋もれていては本当に埋もれてしまうと思ったからライブハウスとかにも出るっていう方向にも行った

考えてみたら当時自分の歌も相当粗かったよね
歌い方とかも

それの方が荒々しくて良かったかもしれないけど
いま考えたら歌い方とか相当投げやりになってたような気がする  当時としては一所懸命やってたんだけどね

「背番号13」の女の子が大変優秀で 
高校1年生の時に既に 自分は障害があるような子供もちゃんと見られるような小学生の先生になりたいって言ってて 初心貫徹して国立大の教育学部に行って本当に小学校の先生になった

その話を聞いて俺も教師に、、と(笑)
ただ小学校じゃなくて やるとすれば中学か高校で英語の先生だよね と思って早稲田大学教育学部英文科を受けたらなんとなく受かっちゃった

社会科とか言っても凄い方向音痴だし、、
国語は古典とか大嫌いだったしね、国語の先生無理だろ、、(笑) そうすると英語しかないしね、まぁ英語はそこそこやれてたんで英文科にした

ただ続かないよね、、大学のいろんな授業が英語だけで行われるんで 大学1年のとき授業で”Mr. Kawamoto “って言われると 全然準備してなくて答えられないから ” I’m sorry , I don’t prepare “ ってオウム返しで言うようになった(笑)

そのうち日本人だけどずっと英語で授業をするT先生に授業のあと呼ばれて ”キミ、大学辞めたらどうだい? キミはいつ来ても I don’t prepare しか言わないじゃないか” って(笑)

大学辞めたらどうか?って 初めて真っ当な大人から言われて 、そうか、俺、大学辞めるレベルか、、と思って最終的には大学行かなくなった

そこで一念発起して そんなことありません、
頑張ってちゃんと卒業しますってやれればよかったかもしれないけど無理だった

(大学という進路を選ぶ時点で) そりゃ音楽もやりたかったし、多くの若者が悩むところだと思うけど、、まぁ浪人をしてる一年間っていうのは 早く浪人を辞めたいんだよね しかもたぶんほとんどの早稲田に行くやつの気持ちとしては最低限のブランドが欲しい それを叶えた上で その先を もうちょっと考えてみようかな、と

要するに 何のために大学へ行くのかと言ったら 時間を買いに行っただけっていうイメージだったから 、、 だから4年間は4年間で そこから先のことを考えるのは モラトリアムの時間としてね  音楽もやりたいから音楽も絶対やるんだけどどういう方向性でやって行くかも全然わからないわけだよね
ライブハウスに出るとかコンテストに出るとか、、それで選んだのが抒情フォークだったんだね、きっと

でも これはちょっと手ぬるい(笑)、もうちょっと厳しい世界に行こうと思ってライブハウスとかに出るようになった

抒情フォークはいま考えたら大学時代 唯一のオアシスだった
ちゃんと俺のことを居場所があるようにさせてくれた

抒情フォークってヌルいし音楽レベル低いような気もするけど(笑)、あの頃からちゃんと聴いてくれてた人がいて いま自分が音楽を続ける中のひとつの励みになっている

抒情フォークなかったら もう続けられなかったんじゃないかな
 

 
〜つづく〜
 


ロングインタビューO ライブハウスデビュー
 
2023.11.25up
 
 
平戸荘 あれから40年ほど経ってるけど変わってない  どうなんだって思うね(笑)

東京に出て初めはいとでんわのマスターの家とかに居たけど 働いて給料が入るようになって自分でアパートを借りた
平戸荘には1982年の秋から住んだ 

いとでんわは1983年の11月のケツか12月のアタマに潰れてる  自分が最後のライブをやったのが1983年の11月の何日かだった

だから平戸荘に住んで いとでんわもあったという期間は1年ちょっとくらいしかなかった

いとでんわに最初に行ったのは俺が大学2年の秋

当時ライブハウスとかにちゃんと行ったこともなかったから気になって入ったらライブやってて
聴いたら正直言って大したことないなって思った(笑)

終わったらマスターが “お客さんの中で誰か歌う人いませんか?” って

それって出演者に対して申し訳なくない?って思ったけど いまで言う オープンマイクだね

歌いたい人がいたら歌わせて その後も客として来てくれないか、あるいは出演者として出てみないか、、みたいな

そのとき 「片田舎のロマンス」と「港で歌う子守唄」を歌った

「港で歌う子守唄」を くそボロいローズピアノで演奏したら “お客様、うちのライブハウスでピアノを弾いて演奏した人初めてですよ” って言うから オイオイ、どんなライブハウスだよ、、って(笑)

あれが自分のライブハウスデビュー

ブレッド&バターって言うライブハウスが茅ヶ崎にあったんだけど 鬱蒼とした森の中にある感じだったから ちょっとおっかなくって行けなかった  高校生とかで普通ライブとか出られないよねと思ったから行かなかった ブレッド&バターは茅ヶ崎出身なんだよ

だからライブハウスって言うとどうしても いとでんわのイメージが。。

雑居ビルの2階、凄い急な階段でシニアの人だったらもう登れないでしょ、って感じだった

汚れた看板の横に今日の出演者誰々って紙が貼ってあって、、ライブハウスってこんなもんなんだって思ったけど いとでんわの方が特殊でした(笑)

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューN 自主コンサート
 
2023.11.19up
 
 
高1の時に音楽仲間を集めて”茅ヶ崎自己陶酔の会”っていうのを作った

当時いろんなところに 〜フォーク村、〜フォークヴィレッジみたいなのが沢山あって、
そういう名前じゃないやつをと考えて

茅ヶ崎にも茅ヶ崎フォーク村っていうのがあったんだけど それに入るのはちょっと癪だなと思って自分で作った

音楽の同好会みたいな感じで いろんな学校のやつがいたけど その中のひとつが”在日日本人”って岩佐、大竹まこと君ですね(笑) とはじめたグループだった  

最初は2人だけ その後ベースとかピアノとかエレキギターとか入れて最大5人になったけど 1981年に解散した

学校が違うから高校の文化祭とかは出られないから独自にコンサートを開いてた

近所の人も 音楽やるからちょっと来なさい って 音楽が全然わかんない人なんかも連れてきて無理矢理ファンにさせて 次回はいついつやるから来るように って(笑)

それに加えて江南高校陸上部、その傍ら毎週恋をしていたから(笑) 忙しかった

だから勉強がほんの少しだけ疎かになって浪人しちゃうことになった

自主的なコンサートは7、8回 やったのかな

名前忘れちゃったけど なんとか会館とかいう
市が運営している公民館的な会場で お金を出さないでもコンサートが出来る ただ機材とかは全部自分で持ち込まなければならないから 機材を買うのが大変
そのために致し方なくバイトとかもせざるを得ず

岩佐と もうひとり のちに中学校の校長先生になるK君 その3人でお金を出し合って機材を買う算段になってたんだけど 案の定 俺がバイトとかしても その金をパチンコとかに注ぎ込んでなくなるから その2人に払っててもらって 未だに頭が上がらない(笑)

そこで購入した機材をいとでんわに投入してた
投入というか寄付  デカいスピーカーとかミキサーとか だから俺がいなかったら いとでんわは成立していなかった 

茅ヶ崎自己陶酔の会のメンバーも時々いとでんわに聴きに来てた

在日日本人の時の曲作りはというと
基本 俺が先に詩を書く それで岩佐に丸投げ
1週間後くらいにはだいたい曲が出来てた

Yesterday 物語(かわもとひろのぶ作詞/岩佐敏哉作曲)なんか よく曲にまとまったと思うね
岩佐は17歳の時に才能を使い果たした(笑)
あれ以上の曲はひとつも書けないって言ってた

陸上部は やってましたよ って感じだけど
陸上やってたことと高校時代の恋は切り離せない(笑)

「背番号13」が生まれる、、、バスケット部の女の子、、、高校2年の夏合宿、、、合宿なんだけど学校の中で寝泊まりするんだよ

その時にもうたまらんのだよ 3泊4日なのにもう暑くって暑くって しかも朝と午後 2回練習しなきゃいけないし  

で、休みの時間に体育館の庇の陰の中に入って少し涼んでいると体育館の中が見える
すると体育館の中でバスケットボールをやっている女の子が凄く可愛いんだ(笑)

のちにKIって名前だってことがわかるんだけど
その子が背番号13をつけて試合に出てて それでまぁその歌を作ったわけ

陸上部では活躍したわけでもなんでもないから
三段跳びで3回ファールして記録なしになったこと以外あんまり語ることもないかな(笑)

それでも地区大会を突破して県大会に
俺は関東大会まで行けるんじゃないかと微かな希望を抱いてたんだけど ファールだと行けないらしいんだよね(笑)

でも陸上ってのはわかりやすくていいね

日本の110メートルハードルでもく泉谷くんって凄い選手が出てきた

陸上と水泳は記録でわかる
100年前の記録といまを比べてみて
いま俺が勝ってるとか勝ってないとか

日本一の女子の記録と比べて俺が勝ってるのか
勝っていないのかって 高校生の時に記録を見てよく言ってた たいがい勝ってないんだけど(笑)

陸上は何がいいかっていうと ヨーイドンで走って負けても昨日の自分には勝ってるかもしれない
それが陸上の良さ

高校のとき強豪校の秦野高校、山北高校と3校で合同合宿をするんだけど秦野高校から日本一になるやつが出るとか、山北高校で女の子でインターハイ3冠獲ってるとか、、そんなやつらとやるからもう惨めで  一緒にヨーイドンで走ったら絶対に勝てない  一応自分はキャプテンだったから一緒に走って毎回負けると段々辛くなってくる
後輩とかに合わせる顔がないみたいな

それってだから残酷な競技ではあるけど
でも一緒に走って負けることはあっても
少なくとも昨日よりは自分は速くなってるとか
遠くへ跳べるようになっているとか

だからスポーツの中では今でも陸上が一番好きだね  あ、女子バスケットもいいけどね(笑)

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューM 転回
 
2023.11.11up
 
 
ユーミンは女だから あんまり意識してなかった

ただ凄いソングライターだとは思ったよ

特に「いちご白書をもう一度」 ほら、結局それも他人に歌わせて、、バンバンが歌ってたでしょ

女が作って男に歌わせるような曲が出来るって
マジすげーなって思った

俺が中3の時 「僕にまかせてください」と同じ時代  あの頃って何年に何があってどんな歌が流行ってたかって覚えてるもんだね
自分でステージで歌ってるからだと思う
二十歳過ぎてからは全然わかんない

「Farewell to our tiny happiness 」
「翳りゆく部屋」の世界観にインスパイアされた部分があったのかもしれない

松任谷正隆のアレンジだったのかなぁ
教会音楽みたいで こんなふうに曲を作ることができるんだって思った記憶が凄く強い

ユーミンがまだかなり若い頃、荒井由美の時代に作った曲だよね
この曲はほんとにいい曲だと思う

影響を受けた曲というと 最大はやっぱり「心の旅」かな  なんでも初体験は大事だから(笑)

あと「結婚しようよ」
吉田拓郎の曲の中で圧倒的にあの曲が一番いい

曲の作りが凄くよく出来てる
“僕の髪が〜” で始まって 途中にさ “もうすぐ春がペンキを肩に〜” って そのメロディを挿入することが出来るんだって

「結婚しようよ」では変奏、「心の旅」では頭サビ 、確かに影響を受けた
こんなキャッチーなこと出来るんだって
悔しかったね

あの頃 いろんなことに悔しがってて 
最大一番悔しかったのは(陸上競技で)背面跳びを
アメリカのディック・フォスベリーが初めてやって なんでそれが俺じゃなかったのかなって
俺が世界で一番最初に背面跳びで跳びたかった(笑)

それは音楽とあまり関係ないけど、世界で初めて劇的に変化させることをやった人はほんとに凄い コペルニクスなんかもコペルニクス的転回って言葉があるくらいだから 
何をやったにしても世の中が180度変わるようなことをやった人ってやっぱり凄い

音楽でなんか出来ないかなぁって思うけどたいがいみんなやられてるよね いろんなことが

だからビートルズってそういう意味で凄かったんだよね

ビートルズも直接か間接かは別として
ベートーヴェンとかバッハとかモーツァルトとかも間接的には絶対影響を受けてるから

録音技術なんかもビートルズを境に劇的に変わってる

「A Day In The Life 」とか 「Strawberry Fields Forever 」とか そういう楽曲をいま聴いても  どうやって思いついてこれやったのかなぁって

だからそこから後に出て来た人は どうしてもビートルズの亜流、ポールの真似でしょ

ポールマッカートニー自身もビートルズのときにやっていたのをなかなか超えられていないと思うけどね

ポールは稀代のメロディメーカー
曲を作る才覚、口ずさんだらもうそれがヒット曲になるような人だからね

試みというかチャレンジとしてはウイングスの初期の頃はシンセサイザーとかを取り入れて、あと変奏のところを作ったりとか「死ぬのは奴らだ(Live and Let Die)」あれなんかは ほんとに劇的な転回をする これポールじゃなきゃ出来ない
組曲 しかも全部キャッチー そこが凄い

クイーン「ボヘミアンラプソディ」もはじめて
聴いた時は衝撃的だった

俺は組曲みたいになっている曲が割と好き
変奏部を小さくてもいいから
作れると面白い

影響を受けたミュージシャンという意味ではポールマッカートニーが1位

いやー、この曲思いついたときポールマッカートニー、痺れただろうね、自分で

そういう感動を自分でも味わいたい
 

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューL 雑誌「明星」
 
2023.11.04up
 
 
チェリッシュ「若草の髪飾り」
北山修のタッチと違う

北山修は割と精神面を前に出して歌詞を書く
「あの素晴らしい愛をもう一度」とか はしだのりひことクライマックス「花嫁」とかはグイグイ前に出る歌詞なんだけど「若草の髪飾り」は引いてる 引いて逆に世界を浮き彫りにさせるというか 作詞をした阿久悠も只者じゃねぇなと(笑)

いま聴くと音はスカスカなんだよね
でも可愛らしいの
ボーカルがこの人じゃないとね
阿久悠はチェリッシュにこの一曲しか書いてない
どうしてこの曲でやめてしまったんだろう

阿久悠に関しては重松清も本を出してる(「星をつくった男 阿久悠と、その時代」講談社文庫刊 )

この曲はいま聴いても名曲だね

この後に出た「避暑地の恋」って曲もすごく良かった   “赤い屋根の時計台が朝を告げて♪”
どっちも1973年の曲  よく俺も覚えてるよなぁ

俺の中ではチェリッシュの「若草の髪飾り」と「避暑地の恋」は沢田研二の「あなたへの愛」に
次ぐ第2位をずっと続けていたからね(笑)

チェリッシュの悦ちゃん 大好きだったんだよね
自分にとっての初めてのアイドルはもしかすると
悦ちゃんだったのかもしれない

あの頃 明星って雑誌に悦ちゃんの水着姿の写真が載って 切り取って置いておいたもん(笑)
あ、考えてみれば浅田美代子とかも


「てんとう虫のサンバ」が出たときに あ、これは何かまずい路線に行くんじゃないかと
あの曲ヒットしたけど 俺はあまり好きじゃなかった 

「避暑地の恋」のような曲を永遠に歌って欲しいと思った  ハーモニカやフルートの音がいっぱい出てくる曲が好きなんだ

チューイングガムって姉妹のグループ知ってる?
お姉ちゃんが俺よりいっこ上で 妹が俺よりいっこ下  大阪出身のグループ
彼女達がうたう歌もいまもって誰も凌駕出来ない

「リルケの詩集」という曲がヨーロッパの山岳地帯の民謡みたいなアレンジでやっぱり笛とかが入っててそれを聴くだけで泣きたくなる

チューイングガムのベストアルバム買ったらどうですか(笑)

疲れた時にはチューイングガムの「リルケの詩集」を聴くことにしてる
 

 
〜つづく〜
 


ロングインタビューK 楽曲の世界観
 
2023.10.28up
 
 
槇原敬之は、、俺の中ではライバル、
小田和正はライバルじゃない(笑)

槇原敬之の(AXIA ミュージックオーディションのグランプリ曲でありデビュー曲となった) 「NG」という曲が全然売れなかったから こいつに負けたのに、って悔しかった

その後「どんなときも」が売れて巻き返したけどね

初めて会ったときも変わったやつだった
こいつにこんな曲作れるんだ、って

あと録音も凄いんだ
従兄弟のローリー寺西から学んだらしいんだけど

すごく親しみのあるやつで
こいつに勝てないとは思ってない
現時点で全く勝ててないけど(笑)

悔しいけどいい曲もたくさん作るよね

いつか槇原敬之と共演したい

叶うことなんじゃないかなぁってちょっと思ったりもする

でも中森明菜との共演と どっちとりますか?
と言われれば 中森さんの方でお願いします、ということになるけどね(笑)
 

 
 
さだまさし

さだまさし本人というより クラフトというグループの「僕にまかせてください」という曲がめちゃめちゃ情景が浮かぶいい曲だなぁ、、って思って見たら さだまさし作だった

中学校3年生のときの文化祭でやったもん
“君はその手に花を抱えて♪”
アレ いい歌だった

他の人に楽曲を提供できる さだまさしのそのポジションがいいなぁと思った
自分がさだまさしに憧れた点は最初そこだった

吉田拓郎森進一「襟裳岬」を、、とか、、
ソングライターとして そういうふうになれたらいいなぁ、、と

でも その立場に居られるってことは自分の楽曲が売れなかったら出来ない

クラフトの「僕にまかせてください」は確かテレビ番組の主題歌だったはずだけど それで初めて聴いて  この曲を作るとは ただもんじゃないと思った  それが さだまさしだったから
「精霊流し」のように まずは自分でヒット曲を出さなきゃいけない、、ヒット曲を出した上で他の人に歌わせると 収入が倍になると(笑)

他人が自分の曲を歌ってくれるっていうのは
やっぱりちょっとした嬉しさがある

さだまさしは自分で歌ってるのもすごいけど
歌詞の世界観が特殊だからね

さだまさしが「案山子」や「精霊流し」を作ったりするのを10代の頃に聴いていて
恋愛をバンバン全面に出して歌う楽曲ばっかりじゃなくて「僕にまかせてください」もそうだけど
別の世界と融合させながら楽曲の世界観を構築するという、、

なので自分で21世紀に入ってから作ったラブソングが既に消えて行くさだめなのではないかと(笑)

普通のラブソングも10曲中 1曲2曲 たまには作りたいけど  そうじゃなくて いろんなものを接合していって作られる世界観というか、
10代、20代にはそれはあまり考えられなかったけど いまならこういう歌も作れるんじゃないかと

初めて聴く人が聴いても
あ、これ こういうことを歌いたいから作ったんじゃないかなって あまり直接的な言葉を使わずに伝わるといいな って

そう思って作ってるんだけどそれがすごく難しい

「愛の定理」とかは久しぶりにかなりストレートに歌詞を作った曲だった

この曲と「禁じられたディスタンス」の2曲は自分の中ではすごく良く出来た曲だと思ってる

歌詞もアレンジも技巧を相当凝らして作っだけどYouTube でも回転しないしライブでやっても好評を得ない

こういう曲って 死んで行くのかな、、って

〜つづく〜

 


ロングインタビューJ 夕焼けニャンニャン
 
2023.10.21up
 
 
(「心象風景」の歌のモデルになった)
高井麻巳子ほど嘘のないアイドルはいなかったんじゃないかって当時、、

フィクションが作れないやつはメジャーにはなれないと思ってた

そのフィクションもゼロから全部想像

するのは無理だから 女性アイドルやアスリートに世界観とかビジュアルを拝借して 詞も曲も作ってゆく

この子だったら こういうこと言いそうだって
高井麻巳子はほんとうにそれをすごく想像させた

どこにでもいるような だけど特別な人 って
まさに「Just an only love song」 の歌詞じゃないけど まさしくもってそういう感じの子に見えたんだ 夕焼けニャンニャンを見てただけだからわからないけど

夕焼けニャンニャンを見るために生きていた時代があった

学校に行かないで昼ごはんの時間帯から夜ごはん手間の時間帯までキッチン馬鈴薯で働く
まぁ11時から働いて4時頃に仕事が終わる
それで家に帰ると5時から夕焼けニャンニャンがやってるわけだよ 見るしかねーだろ(笑)

えっ、小田和正

いまは小田和正の曲を聴いても、、、

オフコース時代とか 小田和正の超初期まではこの人ほど胸に刺さる人はいなかった
抒情性もあって力強く歌うことが出来る
しかもハイトーンで
自分が目指したい方向性にこれくらい合っている人はいなかった

「秋の気配」って曲を初めて聴いたとき
歌の歌詞の中に 秋とか気配とかいう言葉は全く出てこないけれど この曲に対して 秋の気配というタイトルをつけるセンス 
この人ってもしかしたらすごいかもしれないって

小田和正は俺の中では超作詞家
もちろん曲もいいしボーカルもいいんだけど
この人この詞がかつて書けたのに いまどうしちゃったんだろうって

なんか語彙が少な過ぎちゃって
ライブとかも聴きに行ったんだけど
いまの歌 何聴きいても、、
だからもったいないなぁって

ただ彼も常に進化したいんだと思う
だからかつてやったこととは違うことを今やって
それを受け容れて欲しいっていうイメージなのかなぁって

自分がそう思ってるからそうやって勝手に想像するけど ものを作る人って一番いいのは最新曲だって自負があると思う

この人いつまで歌い続けるのかって関心はあるよね

「生まれ来る子供達のために」 とか 「Yes Yes Yes」とかの頃には 語彙がどんどん少なくなって
なんかね、もう形容詞が切ないしかないんじゃないかって思うくらい

削って行って削って行ってそうなったのかもしれないけど 削り過ぎじゃね? って思ったよ

でも小田和正には頑張ってもなかなか追いつけないね

 

〜つづく〜
 


ロングインタビューI 女性アイドル
 
2023.10.14up
 
 
ビートルズは文法的に正しい歌詞を歌ってる
いま英語の授業でそれを聴いてもちゃんと
わかるように出来てるし韻もちゃんと踏んでる
ビートルズで英語勉強してたもんね

え、最初に好きになった女性アイドル?
それは意外に難しい

大場久美子はビジュアルも確かに可愛いかった
みんなは反対するかもしれないけど
彼女ほど歌唱力のあるアイドルはいなかった

音程を外す外さないじゃなくて 伝える力は絶品
いま聴いても大場久美子に勝てるやつはいるのかなって思うよ

大場久美子シングルコレクションなんか当時の録音技術の粋を集めてる感じ 詩とか曲だけじゃなくて ものすごく力を入れてる

大場久美子は途中からはこうやって歌えば可愛いってわかって歌ってた気がするけど それがそんなに嫌味じゃなかった

南沙織とかも好きだけどアイドルとしてみてたわけじゃないかも

南沙織の「哀愁のページ」という曲がすごくよく出来ている曲でね  子供心に夏が終わって行く感がものすごく伝わってきた

でもアイドルというとちょっと違う、、
性を感じないと、、

当時 天地真理とか南沙織とか小柳ルミ子とか言われてたけど それではなくて もっとマイナーというか、、

好きだったのは鮎川由美 誰も知らないか(笑) 「私達」って歌を歌ってた

その子がしょうもない振りをつけて歌うのに
性を感じたし かなり印象に残ってる

ただその子が好きになったアイドル第一号だったかどうかは記憶が曖昧だなぁ

当時ベスト30歌謡曲ってテレビ番組があって
司会は愛川欽也と中村雅俊の嫁の五十嵐淳子
それにも出てたからアイドル中堅くらいだったのかなぁ

中森明菜は? と問われれば 勘違いされると困るけど 中森明菜のことがすごく好きだったわけではない

ただビジュアルはデビューしたての頃の中森明菜に敵うアイドルはいまのところいないと思う

スローモーションと少女Aは良かった その後は少し派手になった感があるのとちょっと痩せたし

いとでんわ界隈でよくアイドル誰が可愛いかみたいな話になって 中森明菜のことを 殴りたくなるくらい可愛い って言ってたくらいだから(笑)
ほんとにあの頃の中森明菜は可愛いかったんだよね 1982年とか83年とか

声を張らない ちょっと儚い歌い方で ちゃんと伝わってくるというか
「Goodbye Mr.スローバラード」は この人に
歌ってもらったらいいなぁと思って作ったことは確かなんだよ  未だに歌ってくれないけど(笑)

「少女A」があまりにも鮮烈だったけど中森明菜の歌自体は実はあまり知らない

「少女A」のちょっと後くらいに出したアルバムをパチンコ屋の景品で獲った

当時俺の中ではLPレコードはパチンコ屋の景品で獲るものだったけど きっと貸レコード屋で借りた方がコスパは良かったんだろうね(笑)

その中に「咲きほこる花に」って曲があって、、
いい曲です
 

 
〜つづく〜
 


ロングインタビューH 10週連続第1位
 
2023.10.07up
 

小柳ルミ子の「お祭りの夜」って曲が好きだった
当時ビジュアルも可愛いかった

若いけど歌っている内容は大人でちょっとエロい

「瀬戸の花嫁」より前だったのかなぁ
そんなに大ヒットじゃなかったかもしれないけど
曲がだんだん盛り上がって行くところが好きで


あと「漁火恋唄」って曲がかなりヒットして その曲もいいんだけど B面に入ってる「娘ざかり」って曲 それもよかったんだな
いま聴いたら泣くかもしれない

B面を知ってるってことはやっぱりレコードを買ったんだろうね  買って裏返しにして聴いたらよかったんだね

でも自分で最初に買ったレコードはチューリップの「心の旅」  
多分それより前だから小柳ルミ子のレコードは自分で買ってないのかもしれない
「お祭りの夜」とかは俺が小6の時に流行った歌だったから

小6から中1にかけてが今の自分の音楽の原点になっていると思う

チェリッシュの「若草の髪飾り」が凄くいいよって言ってるけど それが1973年の作品

沢田研二の「危険なふたり」ってメチャ売れた曲があったけど あの前に出している「あなたへの愛」って曲が俺は好きで好きで それもレコードを買った  自分の中では沢田研二の曲の中でいまだにこの曲が一番好き
でもいま聴くとサウンドがスッカスカなんだよ

大学時代の音楽サークルの仲間が かわもとひろのぶの曲って言うと いまだに「港で歌う子守唄」とか「大いなる坂道」って
あれ よくわかる  当時リアルタイムで聴いて脳内にフックがかかって置いてあるような曲だから それに21世紀になってから作った曲はなかなか勝てない

同じように沢田研二もその後いい曲をいっぱい出してるけど 俺の中ではその順位がひっくり返ることはない そういう感じかな

毎週毎週自分の中でベスト30の順位を決めてた「あなたへの愛」は10週以上連続で第1位
よくあんなことやってたよな  暇だったのかなぁ おかしいな 部活とかもちゃんとやってたし

しかも毎週恋もしてたし  
あ、毎週はおかしいか(笑)

中2になってビートルズを聴いてから多少変わった

 
 
〜つづく〜
 


ロングインタビューG #263 初めて買ったレコード
 
2023.09.30up
 
 
自分で音楽を聴いて この曲はどうだ というような感想をもう自分で持つようになった

中学の音楽の授業では どうやって音符を読むかとか これは何調かとか 移調とか転調とか そういうことを学んで 実はいま自分が音楽をやっている理論上の基礎は中学の音楽の授業で学んだ

和音とか どういう音を重ねたらどういうふうに聴こえるとかは 音楽の授業でやって 家で自分でギターのコード弾いて試してみた

あ、これをマイナーコードというのか、ラ・ド・ミ、これはちょっと暗めか、、とか

少なくともテストに出る

教科書に1の和音、4の和音、5の和音と載っていて それが要するにCとFとGみたいな関係じゃん

だからそれでテレビとかで実際に流れる音楽と音楽の教科書に出ている基本の理論とはだいたい合致しているもんなんだなぁって

ちょっと早熟な少年だったかも
当時 北山修を尊敬してた

フォーククルセダーズではしだのりひことか加藤和彦とかとやってた人
精神科医でもある彼の書く詩を なかなかやるなぁ、と

兄貴が2級上で よく洋楽のシングルレコードを購入してた

白い恋人たちとか、悲しき鉄道員とか、、

当時レコードをかけるのにすごいデカいステレオがあって 無駄にデカいスピーカーがついてて
ビクターの犬が乗っていて、、
それで何遍も何遍も同じ曲を聴くんだよね 

それが耳に入ってきて なんか日本語の曲とは
ちょっとノリが違うな、って それとなく学んだ

初めて買ったレコードは「心の旅」

レコードを買うという行為は当時の中学生にとってはかなりの冒険

当時レコードが400円か500円
中学生になって月のお小遣いが1000円
その半分をレコードに費やすのは相当なリスク

ラジオの深夜放送でこの心の旅が流れて来たとき気持ちを鷲掴みにされた
歌い出しもちょっとカッコ良かった

2回聴いたら これぜったい家で何遍も聴きたいと思って

LPを買うことは残念ながら出来なかったので
シングル盤で我慢した

この心の旅が転機になった
それまでは歌謡曲が大好きだった

 

〜つづく〜
 


ロングインタビューF #262
日本語は残酷
 
2023.09.23up
 
 
その子が卒業近くの2月くらいに風邪をひいて休んだ3日間 どうにもこうにも落ちつかなくて この辺に焦燥感があって

もしかするとその子が休んでるからこんな気持ちになるのかな、、このことを世間では恋と言っているのかな、と

で、小学校卒業するときに 思い切って告白した
中学で同じクラスになれるとも限らないし

校舎の裏手で 非常に彼女は戸惑ってたけど

彼女からとても小さい声で返ってきた言葉は

「わたし かわもとくんのこと すき・・・」

飛び上がるような気持ちになったんだけど 
え、もう一回ちゃんと言って って確認したら

「すきじゃない」

否定文だから 言いにくかったんだね

そのとき俺は初めて 日本語は切ないなと思った

肯定文なのか否定文なのか最後までわからない

のちに英語の教師になったとき外国人から
「日本語はちょっと卑怯な言語だ
肯定文か否定文かが最後までわからない
しかも最後まで聞いてもそれがわからないことがある」と言われた

ほんとうに日本語は残酷だなぁ、って

日本語と英語の語順の違いの話をするとき よくこのエピソードを紹介してる

中学に入ったとき別のクラスでよかった(笑)

なんであれその子がきっかけで大阪弁を使わないようになった

中学生になって次々に恋をしてた 恋の傷は次の恋をすることでしか治らない 
告って 破れて の繰り返し
自分が好きにならないとダメだった

声変わりする前は人前で歌うことが大嫌いだったのに小6で声変わりすると自分の声を発してもおかしくないと感じて それからは学校の音楽の授業は歌が歌えるから楽しくなった 

1972年、札幌オリンピックがあった年のことで
だから72年から73年にかけての歌謡曲とか異様に詳しいんだ(笑)

 

〜つづく〜
 


ロングインタビューE #261 大阪弁
 
2023.09.16up
 
 

大阪生まれで小学校6年になるとき茅ヶ崎に

大阪で人様に認知されようと思ったら
笑わせる力がないとダメなんだよ

人気のある少年はすごいイケメンか笑かすやつ

そのふたつで、俺はどちらかと言うと笑かす方に力を入れていた(笑)

小学生で土曜日半ドンで終わって家に帰るとテレビでお笑い番組をバーッとやっていて、みんなそれを観て育つ

どういうお笑いのエッセンスを予習して翌週実施するか、それを毎週毎週やってたんだ

今でも関西のやつと喋ると大阪弁が出る

小5が終わるまでだから、青春の初め、自我が芽生えるまで大阪にいた

6年生の1学期の初日に転校生として紹介され
自己紹介するわけだけど
地元茅ヶ崎の子供たちは 〜だべ とか、言葉が明らかに違ったから大阪弁で行くかどうか悩んだ

最初大阪弁で行ったらそこから先ずっと大阪弁、オモロいキャラで貫き通すしかないと思ったし 
11歳なりにいろいろ考えたんだよ
少年の苦悩があった

ある意味転校初日が運命の日だった

で、そのときどうするかを決定づけたのが
すごく可愛い女の子がクラスにいて、、
ビビビビっと(笑)

これはオモロいキャラで押し通すとこの子といい感じになりづらいんじゃないかと思って

茅ヶ崎の子たちの言葉を良く聞いて練習する必要があると 

だから初日は少し無口だったけど次の日からは彼らの言葉をほんとに聞いて真似をするようにした
彼女のために

みんなの前に立って 先生がいて 俺がいて

あ、この子可愛いな って

あの日の光景とか今でも思い出すことがある
小6の初日 初恋だった

 
 
〜 つづく 〜
 


ロングインタビューD #260 AXIA ミュージック オーディション
 
2023.09.09up
 
 

AXIA ミュージック オーディションっていう
コンテストに京浜賭博地帯で出て

俺はグランプリを獲れると確信してたんだけど
槇原敬之が立ちはだかって

そこでもうちょっと商業音楽を続けることは出来ないと思った
既に半分くらいは学習塾の先生として稼働してたからね
借金も相当あってブラックリスターだったし

だから致し方なくというより 
どこかで槇原敬之が出て来てよかった
これで自分も一旦身を引くことが出来るって

あの頃 京浜賭博地帯じゃなくて他のバラード曲で出たらグランプリを獲れてたんじゃないかと言ってた人もいたけどね

まぁグランプリを獲ってもあんなにメジャーにはなれなかっただろうけどね

で教育業に専念、独立、
塾の経営がある程度軌道にのったら
今度は家族に給料を支払うようになった

個人経営みたいなものだったけどそれを何年間かは続けたからおそらく何千万円かはかわもと家におとしたんだ

すると 親父も お前こんなこと出来るんやなと
だんだん俺を見る眼が変わってきた

ただ少子化等で塾もだんだん経営が難しくなってきたから営業権を売って

いまは唯の講師になったけど その代わりに時間を得て 音楽を出来るようになった
そうやってようやく落ち着いて音楽が出来るようになったのがちょうど10年前

その後半年に一度のペースでやってきたライブも今秋で20回目の記念ライブだから それで重松清に来てもらおうと

 

〜 つづく 〜
 


ロングインタビューC #259 雪解け
 
2023.09.02up
 
 
せっかく大学に行かせてやったのに卒業も出来ないでって

親父は一度早稲田のライブハウスいとでんわにも
来たことがあった

そこのマスターが息子を強奪して行ったと思ったのかな いろいろなことが噛み合ってなかったんだと思うけど

俺は最初はライブハウスに客として行って その後出演するようになったとき マスターに 本気で音楽やるんだったら東京に出てきた方がいいって言われて

東京に出ると言っても お金もないし
住むところ探すのも大変だから そんなに簡単じゃないし

で、21歳のときに マスターが 
じゃ、うちに来れば って言って
西武線の中村橋にあったマスターが借りてた家に住むようになった

もちろんそこにずっと住んでるわけに行かないから その後 転々としながらバイトもして ちょっとずつお金を貯めて 家賃が払えるようになって借りたのが早稲田のあの部屋だった

なので親父はマスターのことを
息子をたぶらかして音楽の道に行かせようとしている人なのではないかと あまり信用していなかった

いま考えれば親としてはあんまりおかしなことを
思ってたわけではないと思うけどね

まぁ 俺がやりたいことをやるのに父親はあまり賛成じゃなかったんだね

母親も賛成してなかったけど 時々お小遣いを
送ってくれたりしてた

25、26歳にもなってお小遣い貰うってどうなのかと思うけど そういう状況だった

父親はいまはもう 息子が音楽をやっていることに対して やってて良かった と思ってくれてる
ふしがある

ライブにも毎回来てくれて
どうして自分の息子がこんなことを出来るように
なってるんだろうと思ってるらしい

その雪解けの機会は1989年だったかな

 
 
〜 つづく 〜
 


ロングインタビューB #258 母からの手紙
 
2023.08.26up
 

あとは期末テストで1位になればギターを買って貰えるはずだった

ところが後に東大に行くK君に負けて2位

母親に2位だったけど買ってくれないか
って言ったら 駄目だと

駄目の理由を聞いたのは(昨年)お袋が亡くなる1週間くらい前で 

あんたにそんなものを持たせたら不良になると思ってこうてあげんかったんや 
悪いことしたなぁっていまでは思ってる って

それでウインドシンセを買ったという話をしたら そのお金いま出してあげるわ って言って
10万円くれた

音楽をやる イコール不良だ と思っているところがだいぶあって

当時フォークソングとかはヒッピーなんかとイメージが繋がってて クラッシックなら良かったんだろうけど 
流行りの音楽をやるのは宜しくないと思ってたんだな

親父は我関せずだから当時は何も言わなかった

高校を卒業して 早稲田大学に通うようになって
四畳半一間の下宿で 経済的にも精神的にも
どん底だったとき 母親から時々手紙が来た

封筒の中に1万円が1枚入ってて 

元気ですか ってちょろちょろっと短い言葉だけ

あれは感動的だった 
そんなに何回もあったわけじゃないけど

母親はある意味でおおらかな人だったし
無償の愛っていうけど そういうのもあったし やりたいことがあるなら少し援助してあげる 
そんな感じだった

一方で父親とは早稲田に住んでいた頃は
断絶してた
 

 
〜 つづく 〜
 


ロングインタビューA #257 中間テスト
 
2023.08.19up
 

【かわもとひろのぶロングインタビュー】

そもそも父親と母親は音楽で知り合ったんだ

親父が勤めてた名古屋に当時だから歌声喫茶みたいなのがあって親父が所属してたそこのコーラスグループに母親が入ったみたいで

親父は一目惚れをしたんだな
お袋の若い頃の写真みると確かに綺麗なんだ

親父は痛い失恋経験があったらしくて
母親に告白したときに 
嫌ならすぐに言ってくれ って(笑)

でも嫌って言わなかったから付き合いはじめた
かなり強引だったらしい
で 子供も生まれて

お袋は音楽が好きだったから子供に音楽をやらせたかったのに 兄貴も俺も ちょっとした拒絶反応、、妹だけは従順に聞いたんだ

茅ヶ崎に引っ越してきたのは俺が小学校6年生
妹が小学校に入学する時で
引っ越しと同時にアップライトピアノを買って据え付けた
妹にやらせることが前提みたいだった

それが長じて妹は音大のピアノ科に行くことに
俺が東京都民やってる間に部屋も防音になって
アップライトピアノがグランドピアノになって

一方で俺はそういう子供だったから親もまさか音楽をやるとは思ってなかったんだよ

なので親父はいまだに(俺が音楽をやっていることを)不思議に思ってるみたいなんだ 
親父はいま93歳なんだけどね

(昨年他界した)母親は おかあさん♪ って曲に出てくる だいたいあの通り

俺は中1の頃からオリジナルソングを作るような奴だったんだけど中3の時にどうしてもフォークギターを買って欲しかった

それとギターアンプ 
当時はギターの穴のところに外付けで小さなギターマイクを付けて それで中学校の文化祭に出たかったわけよ

で お袋に買ってくれって言ったら
簡単には行かなくて
2学期の中間テストと期末テストで連続1位だったら買ってあげるって

ところが中間テストでなんと1位だった

 

〜 つづく 〜
 


ロングインタビュー記事 掲載開始!

 

ロングインタビュー@ #256 大学芋
 
2023.08.12up
 
 
【かわもとひろのぶロングインタビュー】

母親の勧めで4歳の頃、ヤマハ音楽教室に
たぶん3回くらい行ったかな

自分で通いたかったわけじゃなくて
行ったら帰りに大学芋を買ってやるって
言われたんだよ

幼稚園の中に教室が設けられてて
そこの近くに大学芋屋さんがあった
いまそういうお店あまりないよね

甘いタレが美味しくて美味しくて
その大学芋食べたさに音楽教室に行った

でも40分間じっとしてられない
お宅のお子さんはとにかく落ち着きがない
みんなと一緒に行動できない
母親も先生からそう言われて

ほんとはそこで音楽の素養が得られる
最初のチャンスだったんだよね

川は呼んでいる♪って いまもタイトルは
覚えてるけど
ミドミドミドレっていうあの曲ね

それ以外やった覚えがないんだけど
とにかくみんなと合わない

幼稚園の先生も俺にはみんなと合わせる適性がないから鼓笛隊とかは指揮者をやれと

ただ当時珍しかった8ミリビデオで親父が撮ってたのを見ると俺の振ってる指揮棒と後ろの楽隊の足がまったく揃ってない 
音は入ってないけどそれがわかるんだよ

それを見て これはちょっと他人と一緒にやって行くのは難しいのかなと

他の人とやって合わなかったら面倒くさいみたいなところから弾き語りの道に繋がったのかもしれない 
いまだに弾き語りの方がしっくりくる

大阪に居た頃の話だけど卑しかったんだね  
甘いものが好きでそれが喰えるなら何かやる
対価をいただければやりますよ みたいな

そもそも音楽教室 全然楽しくなかった
みんなほんとに楽しいのかなって

ひろのぶに音楽をやらせても仕方がない

それに懲りて母親は 妹が生まれて 
俺にやらせられなかったものを 
全部妹にやらせたんだよ

 

〜 つづく 〜


#255 心象風景
 
2023.08.08up
 
まだ旅の途中
目に映る風景とは
在るものが見えているだけではないのでしょう

心を通して見える景色

 
 
過日 かわもとひろのぶ超ロングインタビュー
某音楽スタジオで行われました

日常出会う言葉を紡いできたこのページも 
その取材に基づき また新しい旅を続けましょう

 


#254 終バス
 
2023.07.30up
 
夜の暗い一本道
テールライトと窓の明かりだけ

空っぽのそのバスに
三叉路手前の停留所で二人の異邦人が乗り込んだ

 
 
【今日の切り絵】

懐しいものを見るような瞳で
泣き笑いしてる僕を見ないで
思わず抱きしめたくなるような気持ち
夕陽はいけない誘惑をするよ

〜 九月の空 ♪ 〜

 


#253 句読点
 
2023.07.23up
 
終わりでも 始まりでもない

きっとほんの一区切り  句読点

 
 
【今日の切り絵】

やせた体に小さな背
その背中いっぱいに夕陽を浴びて
綺麗な髪を風になびかせる
幼なじみの女の子に君はよく似てる

〜 ノスタルジア ♪ 〜

 


#252 薄ら日から
 
2023.07.16up
 
軒端の涼しげな風鈴
水滴を載せた鉄線葛の鉢植え

錆びたブリキの如雨露の脇を 
尻尾の長い三毛猫が 只眠たそうに通り過ぎる

 
 
【今日の切り絵】

今すぐに会いたい人は 遠い町にいる
故郷までの長距離電話 声だけでも聴きたい
温もりが途絶えた日々に いつか慣れてゆく
淋しさだけが僕の友だち 憐れんでおくれよ
志が折れそうだよ 見上げた月も曇る

〜 東京通信其の弐 ♪ 〜

 


#251 笑顔同封
 
2023.07.08up
 
キレイな便箋見つけたから

切手も可愛いでしょ

元気にしてる?

 
 
【今日の切り絵】

故郷へ帰る地図を破り捨てて
この街で生きてみようと誓った
失くすものなんて最初から持ってない
あとはこの手に入れるだけのこと

履き潰した靴を数えているより
明日履く靴を磨く方がいい
何かを始めなきゃ何も始まらない
そんなTokyo Cityに今日も陽が落ちる

〜 東京通信其の壱 ♪ 〜

 


#250 停車駅
 
2023.07.02up
 
がんばったね  楽しかったね

さぁ それじゃ また 遊ぼう

 
 
【今日の切り絵】

愛の定理 もしあるなら 教えて欲しいんだ
交わらない 僕たちは「互いに素」 せつなすぎる

静かに待ち続けた 君が僕の前に現れることを
好きになるのに理由は要らない 
でも気持ちが空回り

〜 愛の定理 ♪ 〜

 


#249 Ten thousand miles
 
2023.06.25up
 
アパートのベランダの赤い鬼灯
真新しい弦に張り替えた古いギター

今夜はもう眠りにつこう

You’ve been a friend to me

 
 
【今日の切り絵】

初恋の痛みさえ ふと遠く思えるわ
きっと誰も愛せないとあの日泣いた
振り向けばそこにいて 微笑みを投げる人
そっといつもこの私を見つめていたの
抱き締められ 名前を呼ばれ

〜 SA・YA・KA ♪ 〜

 


#248 窓にあかりが灯る頃
 
2023.06.18up
 
窓にあかりが灯りはじめる頃

線路沿いの紫陽花と風に揺れている黄色い花

梅雨の合間の空に 今年ももう夏が見える

 
 
【今日の切り絵】

19の君には似合うでしょうね
透き通るような真白なドレスが
慕いつづけた愛する人と
君が結ばれる朝が来ました
ああ教会の鐘は鳴り渡る
笑顔繕い空を見上げて僕は震えてた
あああ6月悲しい梅雨空の下

〜 6月のピエロ ♪ 〜

 


#247 自由帳
 
2023.06.10up
 
国語のノート 算数のノート 自由帳

休み時間  放課後

そうか 自由には先生がいないんだ

 
 
【今日の切り絵】

恋人は柔らかい髪を 風になびかせて待っている
ほら時計ばかり見て そわそわしているあの娘
愛しているとかいないとか 言葉欲しがる女より
いまのままの君がいい さぁ駈けておいで

〜 遅れて来た恋人 ♪ 〜

 


#246 昨夜の雨
 
2023.06.04up
 
ひどい降りだった昨夜の駅前ロータリー

レインコートをベランダに干す向こう側で

行って来まーす と 元気な声がする

 
 
【今日の切り絵】

少女たちはみんな その白い網に
数々の青春を投げてきた 
君も投げておゆき 
哀しみという名のフリースローを
涙が涸れるまで

〜 背番号13 ♪ 〜

 


#245 風の記憶
 
2023.05.27up
 
鶏と兎の餌を取り替える仕事は飼育係

芝生の上の百葉箱で毎日気温を測って
ノートに記す仕事は何係だったか

 
 
【今日の切り絵】

一人じゃ何にも出来ないで
ふたことめにはベソをかく
みんな遊んでる公園を
尻目に僕等は帰り道 

〜 泣き虫京子のかぞえ歌 ♪ 〜

 


#244 蔓棚のひとりごと
 
2023.05.20up
 
また元通りの壁と床だけの部屋になった

箒と塵取りと 


もうすぐ梅雨を迎える古びたパーゴラ

 
 
【今日の切り絵】

愛のうたを歌う前に
僕等は愛を知らなすぎたね
秋・冬・春を通りすぎたけど
僕等は何も知ってはいなかった
ねェ 君、コンクリートの海岸で日光浴しよう
ねェ 君、ヘドロの水の中を泳いでみよう
醜い青春の光と影 映し出す太陽は南の空高く
流れる汗とエゴイズム 今は赤銅色の季節

〜 赤銅色の季節 ♪ 〜

 


#243 無色の貨物列車
 
2023.05.13up
 
工業団地のはずれ
少し高台になった公園からは
貨物列車が通るのが見えた

おばあちゃんの膝の前で
まだ小さかったあの日
いつまでも手を振っていた

 
 
【今日の切り絵】

いくつもの季節が頼りなく過ぎても
記憶の糸を辿れば いつもあなたの笑顔がある
この星に生まれて この星で愛した
心優しい My Steady 今宵結ばれよう

〜 Yes, I will  ♪ 〜

 


#242 休み時間
 

2023.05.06up
 
万国旗が気持ちよさそうに風に揺れている

休み時間を告げる鐘の音  

ローゼ橋の下を積荷のない小さな艀が潜る

通り過ぎた場所  通り過ぎた時間

 
 
【今日の切り絵】

Yesterday morning you were born
君のパパ それは僕のことだよ

Open your eyes 君が生まれた朝
愛がひとつ芽生えて
Ocean my child 海のような娘 
手をひろげて I call your name

笑っておくれよ Give me smile
どうして泣くの Why you cry
何処まで行くの Where you fly
何がしたいの What you try
愛しいお前に One more kiss
誰にもあげない Beauty lips
大きくならずにいて欲しい

〜 Ocean, my child ♪ 〜
 



#241 町へゆく道
 
2023.04.29up
 
昨夜からの雨はすっかり上がり

窓いっぱいの光の中で
ナタリーア・ギンツブルグを開く

 
 
【今日の切り絵】

プラタナスの枯葉舞う 細い路地にも雪が降る
白く哀しい 僕にはそう思えるクリスマス

〜 ひとり寝のメリークリスマス ♪ 〜

 


#240 寄港
 
2023.04.24up
 
遠い日に旅に出た港に 
長い航海を終え 再び帰り着く船

大海原での出来事を語ることもなく

ただ静かに港へ入る

 
 
【今日の切り絵】

寂しすぎるね 真夜中にワンマンバンド
口ずさむフレーズ 闇を引き裂く
Oh my dear Oh my dear
Oh my darling help me now ?
今夜もひとりで勤しむよ Right Hand Job

〜 Right Hand Job ♪ 〜

 


#239 文字に降る寂静
 
2023.04.17up
 
残された文字に降る寂静

時間も蒼茫な空間も行き場を失い

地球がとまる

 
 
【今日の切り絵】

テニスラケットと教科書をかかえ
キャンパスを駈けてゆく姿 幾度か見送った
青空の下で白いシャツ着て輝くあなたを
うしろから いつも見つめてた
あなたへのまぎれない愛を伝えたい
嘘をつき誤魔化した日々よ さようなら

〜 愛を伝えたい ♪ 〜

 


#238 It’s show time
 
2023.04.08up
 
東の空 西の空

悪戯な魔女が絵の具パレットをひっくり返し

あっという間に居なくなる

また明日

 
 
【今日の切り絵】

優しさに飢えて暖かさに焦がれて
物欲しげな眼差しで おねだりばかり云わないで
擦り切れた靴のヒモをほどきながら
疲れた顔をして 眠い眠いと云わないで
あぁ敷きっぱなしの布団の上で
難しい本ばかり読んでいないで
光のシャワーを浴びたなら
取り戻せるだろう 優しさと夢を


〜  くたばれ涙くん ♪ 〜

 


#237 休日
 
2023.04.01up
 
島の南側

バスターミナル レストラン 土産物屋


淡い水彩画のような一日

 
 
【今日の切り絵】

氷で薄めたウィスキー 何杯も飲ませたよね
君を僕のものにするために 
あの頃何でも出来たのさ
ライバル達を出し抜き 君とキスしたこの海
濡れた砂の上抱き寄せる
涙のバージンガール

〜 恋する下心 ♪ 〜

 


#236 夕暮れのカフェ
 
2023.03.25up
 
雨を描いているのに温かい

そんな絵が好き


たぶん そこにある強さ

 
 
【今日の切り絵】

逆光線を浴びた君のカラダ
やがてひとつの線になり
触れれば柔らかい天使のような
羽根が生えているかもね

〜 みゆきのテーマ ♪ 〜

 


#235 登園バス
 
2023.03.18up
 
みーちゃんは誰のこと好きなの

ひろくん

ひろくんは誰のこと好きなの

みーちゃん

あら いいわね

気をつけていってらっしゃい

 
 
【今日の切り絵】

愛に飢えた眼をした 少年たち街に出れば
夢を失くし同じ眼をした 少女たちに出会う
無いものねだりの歌 寒い部屋で口ずさめば
名前も知らぬ同士 行きずりの恋は終わるよ

さぁ瞳を閉じて 最後の口づけだよ
大人になりたくないね それが別れの言葉
傷つきたくない僕らの気紛れ あぁ明日も続く

〜 袋小路 ♪ 〜

 


#234 時の名残り
 
2023.03.12up
 
時の名残り
映画館を出ると 
もうそこに違う季節が訪れていて

戸惑うように 時の名残りを歩く

 
 
【今日の切り絵】

I’m a fool on the roof 屋根の上でproof
愚か者にもなれるよ 
塞ぎ込んだ夜には Quarter moon
そっと君の名前を呼ぶよ

I’m a fool on the roof 屋根の上でproof
静けさの中にメロディ
聴こえるような夜は Half moon
そっと君のために歌うよ

〜 FOOL ON THE ROOF ♪ 〜

 


#233 早春賦
 
2023.03.05up
 
踏み切りの遮断機が上がる

オートバイが先に渡り
その後ろからおばさんが自転車を押して行く

もう春色の町

 
 
【今日の切り絵】

空よりも遠いあの場所へ 誰よりも早く届いた
誰よりも早く 届いた

〜 夭折 ♪ 〜

 


#232 花の静寂
 
2023.02.26up
 
水に刺した花の静寂

時折薄日が射す窓辺

時計の針の音 鳥の囀り 

何もない手のひら

 
 
【今日の切り絵】

大地と空の色が 祖国の旗を彩っても
僕の好きな街 キエフは傷ついてる

騒がしい隣人からの望まない風が吹く
今までのどの冬よりも 惨めで寒い夜を
僕たちは生きている 僕たちは生きている

廃墟の空に響く 歌はスラブの花を讃え
旅立てと促す 永訣の朝が来る

跪き 祈る明日に 不確かな風が吹く
凍てつく大地に 無言の背を向ける僕たちは
さすらいの民になる さすらいの民になる

日出づる国の君が ぎこちない手で振る舞うのは
ママを思い出す 淡く赤いボルシチ

塞ぎ込む心ほどいて 和かい風が吹く
こぼれた涙乾く頃 君の住むこの街が
僕の故郷になる 僕の故郷になる


〜  風に揺れても ♪ 〜

 


#231 異国食堂
 
2023.02.19up
 
昼下がり まだ支度を始めたばかりの食堂

テーブル下のラブラドールがときどき上目遣いで
小太りの主人の話し相手をしている

 
 
【今日の切り絵】

I’m a B side Love I’m a B side love
I’m your B side Love Just a moment

I’m a B side Love I’m a B side love
I’m your B side Love Just a moment

彼女は誰かと比べてる
ちょっと待っとくLady 待っとくLady

ポケットの中にはいつも12ダースの言い訳さ
僕の胸の中にティンパニー鳴らし続けるよ

情け無いジレンマ ヒストリックな閻魔
Day after day after day

〜 B side Love ♪ 〜

 


#230 また明日
 
2023.02.12up
 
硬い煎餅を齧る

沸かしたての熱い玄米茶を啜る

碧の中で 今日一日が終わる

 
 
【今日の切り絵】

熱い紅茶を淹れて 君は黙って見つめてる
責めようとしない分だけ 心は痛むよ
レコードに針を落とし まだ幼い君を抱いた部屋
もう一度プレイバックする 気持ちにさせるよ
あぁこの部屋に セピアの光差し込めば
あぁ色褪せて 影絵のようになるふたり

〜 Farewell to our tiny happiness ♪ 〜

 


#229 ライオンの夢
 
2023.02.04up
 
暑い暑い と言いながら
寒い寒い と言いながら
おじいちゃんはいつも笑っていた

ライオンの夢の話をしてくれた

 
 
【今日の切り絵】

Happy birthday Happy birthday
君のカレンダーには 記念日が溢れてる
それでも特別なのは 君が生まれた日だろう
その日に出会うことさえ ずっと前に決まってた
仲良く口づけをして みんなに祝ってもらおう

〜 Happy Birthday ♪ 〜

 


#228 千曲川
 
2023.01.29up
 
大きな川にかかる橋の上を

たくさんの車が忙しなく越えて行く

いつも何かに急かされるように

みんなそんなふうに過ごしてきた

 
 
【今日の切り絵】

ひとりでHoliday 過ごすのはつまらない
ポニーテール 恋をしてる あの娘に会いたい
十八歳の頃 初めて会った ときめきを忘れない
愛してるんだ 捲るカレンダー 痩せる度恋しい
Lonely dance My resistance
今日も待ちぼうけなのさ
静か過ぎる部屋 気が狂いそうさ
電話を鳴らしてくれ
Don’t let me down , Come to my town
別れるために出会うわけじゃない
Don’t break my heart , cause it’s so hard
眠れぬ夜はまだ続くのか

〜 正しい休暇の過ごし方 ♪ 〜

 


#227 新しい景色
 
2023.01.22up
 
いつもの時間 いつもの場所にバスは止まった

はじめて乗らなかった

しばらくして バスは出て行った

 
 
【今日の切り絵】

愛を運ぶ天使 空から舞い降りて
たどり着く浜辺に ふたりが居合わせたのさ
このひと夏限り 短い恋になる
切ないその予感 それでも溺れてゆくよ
Oh 結ばれぬ運命なら 尚更追いかけたくなるよ
Oh 火のついたこのからだも止まらない
涙も流さずに 別れ告げるひとは
少し翳を帯びて 誰より美しく見える

遥かな雲の上 天使を連れ戻す
秋風吹き出せば ふたりの胸に迫るよ
Oh 爪を立て抱き合えば 八月の砂よりも熱いよ
くちびるが凍るほど冷たくても
やがて空は高く 波は微かに凪ぐ
眠りから目覚めて 確かに僕は泣いている


〜  感傷海岸 ♪ 〜

 


#226 マクワウリの話
 
2023.01.14up
 
空の色が違うだけで
同じ街並みも違って見える

どんよりとした冬の小雨の朝
ラジオではマクワウリの話をしている

 
 

【今日の切り絵】

僕の友人に家のとても貧しい男がいた
僕には帰る家があり暖かい父と母がいた
彼には冬に着るセーターが1枚しかなく
僕には沢山あったけど それでもねだっていた

どうしてあの働き者の農夫がいつも貧しくて
どうしてあの道楽議員がいつも富んでいて
どうして沢山働く人の暮らしが楽にならず
どうして銀行の利子だけで暮らせる人がいるのか


〜  のろまの長距離ランナー ♪ 〜

 


#225 散歩道
 
2023.01.08up
 
緋色よりも少し淡い山吹色の実

名前はわからないけれど

その可憐な美しさだけでじゅうぶん

 
 
【今日の切り絵】

早稲田通り沿いのしけたライブハウス
狭い客席は埋まらない日もある
ギターケースの中 夢を詰め込んでさ
東京(ここ)へ来たんだ 今は帰れないよ
儚く響く 名は「いとでんわ」
来てくれてありがとう 細い糸で繋がろう
さあ歌うよ

宴 恋の終わり 風は花を散らす
激しい歌声に涙する日もある
時代遅れ それは 傷を癒す薬
少し立ち止まり 生きる意味を探す
今宵も更ける 空に三日月
いくら酔い潰れても いつかはたどり着ける
待っているよ

明日、故郷(くに)へ帰る 洒落た別れ歌を
胸に届けてよ また会える日もある
騒めく街は 今日も暮れ急ぐ
さよならを重ねても 大人になれはしない
来てくれてありがとう 細い糸で繋がろう
さあ歌うよ

早稲田通り沿いのしけたライブハウス
狭い客席は埋まらない日もある...


〜  いとでんわ (時代遅れのライブハウス) ♪〜

 


#224 星影さやかに
 
2022.12.31up
 
冬の冷たく澄んだ空気  


一番星 みーつけた

今日一日の幸  静かに思う

 
 
【今日の切り絵】

ロサンゼルスから届いたエアメイル
ワンセンテンスだけの ”I love you”
レオタード似合う青い瞳の恋人
遠い空に呼ぶ名前は Mary Lou

〜 Mary Lou ! ♪ 〜

 


#223 静かな冬の一日
 
2022.12.25up
 
葦の沼地 

水鳥と 澄んだ空の青さと

霜柱を踏んで汚れた靴の爪先あたり

ただ静かな冬の一日

 
 
【今日の切り絵】

あなたの旅立ちには間に合わせようと
作り始めた歌だったけど
ほんの少しのすれ違いで渡せなかったのです
素足で歩き続けた波打ち際に
今は西から陽が照りつけて
名もない貝の褪せた色が光っているだけです

〜 瓶詰めの優しさ ♪ 〜

 


#222 また新しい朝
 
2022.12.18up
 
瑞々しい光の束 テーブルに溢れる光の粒

お湯を沸かす 珈琲を淹れる

 
 
【今日の切り絵】

人類なんて言葉 本当はないんだよ
人間という言葉 それだけなんだよ
死ぬためだけに生まれて来たんじゃないだろう

〜 青春のトランジット ♪ 〜

 


#221 引き潮
 
2022.12.11up
 
墨で描かれた遠浅の海

季節外れの冷たい波打ち際で貝を拾う影ふたつ

 
 
【今日の切り絵】

麻雀してるあなたの横で私は太宰を読み終えた
孤独に濡れた学生たちが今日もシナ語で語り合う
立てては崩す積木のようにこれも1つの人生さ
遊びのあとのけだるさであなたは私を抱きしめる

〜 積木 ♪ 〜

 


#220 無人駅
 
2022.12.04up
 
無人駅
そこには古びた木の柵があって
風でバタバタするくらいだから
鍵らしきものは何もなかった
 
 
【今日の切り絵】

水たまりの上を流れる落葉が
そっと秋を告げる そんな朝
羽をすぼめて凍えている
小さなアブラゼミが一匹
黒塗りの電信柱にしがみついて
かすかな声で啼いてた

〜 眠れ!小さき者たち ♪ 〜

 


#219 各大さじ1
 
2022.11.27up
 
醤油 酢 胡麻油 各大さじ1
砂糖 小さじ1
辛子 少々

夕暮れ まな板と湯気の風景

 
 
今日の切り絵】

髪を切った君は涼しさそのもの
西日を背に受け君の輪郭は茜色
水を吹き上げることもない老いた噴水
その淵に腰掛け遠くを見つめた

〜 落葉前線 ♪ 〜

 


#218 いま
 
2022.11.20up
 
春のかぜ  秋のかぜ

夏のいろ  冬のいろ

生まれ育ったこの国 この時代

 
 
【今日の切り絵】

徹夜で麻雀 役満振り込んで
あ、こいつはツイてねえな
パチンコやって取り返そう

パチンコやってボロボロに負けた
ポケットには岩倉具視が淋しそうに一人

〜 当世書生気質'81 ♪ 〜

 


#217 ひとり
 
2022.11.13up
 
あの頃より狭い歩幅 
ペースもゆっくり

いつまでも  
ただいつまでも


この駅には止まらない
快速電車ばかりが行き過ぎる

 
 
【今日の切り絵】

あぁこれが60年前に
流行ったビートルズの歌だよと
軋んだ椅子に横たわりながら
君に言えたなら 
どんなに幸せだったろうか

〜 Yesterday 物語 ♪ 〜

 


#216 見果てぬ夢
 
2022.11.06up
 
置き忘れていったオレンジ色の傘

また今度って言ったっきり

あの日は結局 雨も降らずに
ちょうど今日みたいに 中途半端な空模様だった
 

 
【今日の切り絵】

羅針盤は遥か未来を指す
僕達を乗せた船は
舵をとる水夫を乗せないまま
緩やかに港を出た もう帰れない

〜 方舟 ♪ 〜

 


#215 願いごと
 
2022.10.30up
 
ひとつ ふたつ みっつ

まだ明るいうちから街灯の数をかぞえては
お濠端への坂道を下ってゆく

願いごと 

ひとつ ふたつ みっつ

 
 
【今日の切り絵】

母の母はね この学び舎に
初めて通う乙女だったの
結い上げた髪 かわいく揺れて 
駆け抜けた春の日

母はおかっぱ 短い髪に
重たい雲が影落としても
暗い時代を 明るく生きて
受け止めた夏の日

〜 乙女たちの伝言 ♪ 〜

 


#214 普段着
 
2022.10.22up
 
私たち 幸せを逃したわ
そう訳された字幕

乗船時刻
鞄を肩にかけ 振り返らずに

 
 
【今日の切り絵】

淋しがり屋のポールはいつも悩んでいたのさ
誰か僕の友達になって欲しいと願った
暗い時代に疲れて見上げたシカゴの空は
泣き出しそうだったんだよ
独りぼっちだったんだよ
温もりなしには暮らせない
そう思い知ったんだよ

〜 ポール・ハリスへの手紙 ♪〜

 


#213 知らず知らずのうちに
 
2022.10.15up
 
朝の読書  夜のシネマ

ナタリア・ギンズブルグ  不在
クラーク・ゲーブル 或る夜の出来事

知らず知らずのうちに

 
 
【今日の切り絵】

君の胸の中に顔を埋めてると
とても安らかな気持になる
僕は幼い日に帰る

〜 僕の手のひらは ♪ 〜

 


#212 There are a lot of reasons
 
2022.10.10up
 
人生の9割の時間は
自分への言い訳探しに費やされるものよ

あとの1割を私にちょうだい

 
 
【今日の切り絵】

生きてるんだね
楽しそうに笑う彼女を見ると
本当にそう思ってしまう
暖かいものが流れている
そんな気がする

〜 彼女の指 ♪〜

 


#211 経る時
 
2022.10.02up
 
庭の隅 割れた植木鉢

木漏れ日 初雪 芽吹き 日照り


遠くで幼い子の笑い声が聞こえる

 
 
【今日の切り絵】

窓に寄り添って
君は静かに眺めてる
重ねた日々の足跡たどるように
“この街は好きよ でも愛が移ろいやすい”
それだけ独りごとのように呟いて
出てゆくうしろ姿が 二人で観た
映画のラストシーンに似てる
だから胸が痛む
ああ出会った頃の
熱い胸のときめきも
ああ取り戻す術もない
時は流れた
街に流れる木枯らしのラブソング
君はどんな気持ちで聴くのだろ

〜 木枯らしのラブソング ♪〜

 


#210 作品
 
2022.09.25up
 
素敵だね

 でも所詮 創りものですから


それが唯一の真実、、


そこまで言いかけて
老人は犬と一緒に行ってしまった

 
 
【今日の切り絵】

忘れかけてた
小さな小さな卓状ごたつを
12月の南風に思い出した
後姿 小さな小さな影をまとった
去年の君の温もり少し思い出した
夏の光の中で浴衣着た君の姿が
歪んで見えたことも
君が大切にしてたコスモスが
少しずつ散り始めたことも
思い出したことはみんな心の河に
漂い流れる燈籠提燈に託そう
影がずっとずっと君の影がのびて
君の姿が隠れてしまうまで

〜 12月の影踏み ♪ 〜

 


#209 薄手の長袖
 
2022.09.18up
 
これ女ものだろ

風邪引くよりいいでしょ


23時 乗り換え待ち

 
 
【今日の切り絵】

誰もがひと夏の思い
抱えて大人になるよ
誰かを愛したときの
微かな痛みを残して

〜 帰らざる夏 ♪ 〜

 


#208 風の静黙
 
2022.09.11up
 
昨日 枝に来た小鳥が
今日は見えない

寂しく思うけれど
全てはそういうものかもしれない

 
 
【今日の切り絵】

踞る若者は鉛の靴を
履いて旅をしてたのさ
悲しい過去を捨てる場所を探して
長い旅をしてたのさ

〜 鉛の靴と銀の夢 ♪ 〜

 


#207 小雨の朝
 
2022.09.04up
 
新しいコンビニが出来た

いくつもの水溜りのできた更地
黄色い大きな工事車輌

もう 思い出せない

 
 
【今日の切り絵】

川崎・大森・蒲田・大井町
ギャンブルの町
ツキのない奴ぁ 裸にされる
馬もあるよ船もあるよ
チャリンコもあるよ
選り取り見取り 遊んでおくれ

〜 京浜賭博地帯 ♪〜

 


#206 晩夏
 
2022.08.28up
 
紙の上に残された文字 人の歴史

蝉の声が虫の音に変わり

終電車のあと暫くして
ホームの明かりが消えた

 
 
【今日の切り絵】

君があいつを見つめるだけで
せつなくて堪らない
ジェラシーだけが僕の友だち
侘びしくてやるせない
真夜中過ぎに痛むみぞおち
どの薬も効かない
恋の駆け引き苦手な僕は
君にうまく笑えない

〜 告白前夜 ♪ 〜

 


#205 ゆるやかな弧
 
2022.08.21up
 
一日の終わり

文字に起こされることのない
モノクロームの時間

目をこすり 栞紐を下にひき
枕元の灯を消す

 
 
【今日の切り絵】

君の涙 明日は渇け
希望という名の荷物だけを
抱え 船に乗ろう
行く先はまだ 決めなくていい

貼り合わせても もう戻らない
古い記憶に 縛られたまま
生きてゆくのは きっと辛いね
錨を揚げて 港を出よう

〜 希望の船出 ♪〜

 


#204 第2楽章
 
2022.08.14up
 
深煎りのコーヒー
押し麦のサラダ

オーボエ協奏曲 第2楽章


青空 少し強い午後の風

 
 
【今日の切り絵】

あの時見上げた空は
とても青かったと思いませんか
ほら、授業をサボって屋上の
柵越しに見たあの時の空ですよ

ふたりでいても淋しいくらいの
ひと気のない工場で
悪い遊びを覚えた僕等は
映画の主人公になりきっていたね

〜セブンスターの箱 空になるまで ♪〜

 


#203 パズル
 
2022.08.07up
 
完成しないパズル


どちらかといえば

完成させたくないパズル

 
 
【今日の切り絵】

荷物をほどいて ここで生きて行く
空に消えた君に
会いたくはなるけど

部屋の窓からは 木洩れ日越しに
子供たちの姿
悪くはない場所だよ

〜 ひまわり通信 ♪ 〜

 


#202 夜
 
2022.08.01up
 
信号が青に変わる

信号が黄色から赤に変わる

信号がまた青に変わる

夜の静けさの中で

 
 
【今日の切り絵】

マリー 笑えば片えくぼ
豊かな胸には夢がいっぱい
マリーおまえの歌声が
淋しい俺の心に沁みる
泣きむしマリー かわいいマリー
愛しさつのる黒い髪
もう少し早く会えたなら
せつない思いもせずに
生きてゆけたぜ かわいいマリー
おまえのそばで いつまでも
マリー短い夜だった
街の灯がなぜか歪んで見えた

〜 Marigold♪〜

 


#201 浮雲
 
2022.07.24up
 
苔むす水鉢の中で泳ぐめだか

いつの日か この小さな光さえも
もうかえらない夢となる

 
 
【今日の切り絵】

あまりジョークも言わない
君が何故だか今夜は
おしゃべりだね 胸の震え
隠そうとして 目を逸らしてる
乱れた呼吸整え
君が別れを切り出す
月は遥か 吐息深く
終りの気配 漂わせてる

〜 オフェリア ♪ 〜

 


#200 カヴァティーナ
 
2022.07.17up
 
恋とは熱き思いを寄せること

愛とは広い心で包み込むこと

 
 
【今日の切り絵】

そばかすpretty Sally
抱いてよ funny honey
美しいその髪を何故
お前は切り落としたのか

〜 そばかすサリーの物語 ♪〜

 


#199 雨の降る日に
 
2022.07.10up
 
雨の日には雨音を聞く

緑の葉を叩く雨音を聞く

ふたりで

君とふたりで 雨音を聞く

 
 

【今日の切り絵】

要らないものばかりで
溢れたこの部屋も
君がいた頃には輝いていたよね
すぐ触れられたはずの
温もりも途絶えて
思い出せぬ日々に手のひら泳ぐ

重なり合って確かめ合った
ふたりでいる
それだけで幸せだった
せつなさが駆け巡る

鏡の中に写る 間抜けズラの僕を
憐れんでおくれよ 今しばらくは

どうにか生きてるけど
その意味がわからない
僕の中の時計 止まったみたい

傷つけ合って また触れ合った
君が笑う それだけで幸せだった
せつなさが駆け巡る

要らないものばかりで
溢れたこの部屋で
それでも生きて行く...

せつなさが駆け巡る

せつなさが駆け巡る


〜 No One Else ♪ 〜

 


#198 夏の通り雨
 
2022.07.03up
 
夏の静かな通り雨

運ばれた少しばかりの涼しさと
桔梗のうす紫に立ち止まる時間

 
 
【今日の切り絵】

出会うべきじゃなかった
二人の恋はやがて
闇に紛れた部屋の
片隅に追いやられ
窓から見える街は
モノクロームに煙る
静かに降る雨音が
すべてを閉ざす

〜 HOTEL IMMORAL ♪ 〜

 


#197 待ちぼうけ
 
2022.06.26up
 
閉館された小さな美術館

もう鎖の張られた駐車場の隅に

あの日と同じ 白い紫陽花

 
 
【今日の切り絵】

涙を拭いて 髪を直して
僕の言葉に答えておくれ
情けないほどに震えているのさ
いたずらをした子供のように

〜 勇気ある船出 ♪〜

 


#196 夕焼け
 
2022.06.19up
 
She her her hers

You your you yours

We our us ours

 
 
 
【今日の切り絵】

君の時計の秒針が4回まわるうちに
僕は君に愛の歌うたってあげるよ
街には毎日雨が降らずに
水銀柱は40度越えようとしている

〜 とても短いドラマ ♪〜



#195 THE TOBACCO SHOP
 
2022.06.12up
 
I’m nothing,
I’ll always be nothing.

詩人や映画に教えてもらうことが
ずいぶん多くなった

 
 
【今日の切り絵】

横恋慕するほどあの娘が好きで
遠きお山に今日も陽は暮れる
横恋慕するほど胸狂おしく
きっと今夜もまた眠れない
眠れない

〜 あの娘に横恋慕 ♪〜

 


#194 夏の素描
 
2022.06.05up
 
手押車の野菜の下で退屈そうな犬

その向こうの曇り空

ただ夢を見ている
まだ夢を見ている

 
 
【今日の切り絵】

読みづらい右肩上がりの文字で
綴られた手紙が届く如月
誠実な人だとわかる結びで
私は会うことに決めた

〜 父娘日和 ♪ 〜

 


#193 ソラシド
 
2022.05.28up
 
ソラシド ねぇ 早く来てごらん
色とりどりの風船が晴れた空に

もう 遠い日のこと


これでよかったんだと
足元に言い聞かせて

 
 
【今日の切り絵】

故郷へ帰る汽車の窓から
見える夕焼け
もう何年も見たことがなかった色
駈けてくるあの日
駈けてくるあの娘
似合っていたリボン
今も大切にしているか
幼い日の思い出話
聞かせてくれるか

〜 砂上の楼閣 ♪〜

 


#192 ふたり
 
2022.05.22up
 
言葉を交わして過ごした時間

何も語らずに過ごした時間


ふたりの長い時間

 
 
【今日の切り絵】

淋しい時は海に来て
君に語りかけるよ
僕の育ったこの町へ
君も一度おいでと
愛を語るには
まだ若すぎるから今は
沈む夕陽を見つめ
肩寄せ合っていたい
歌をうたうよ 君のために
君のために

〜 海からのうたごえ ♪〜

 


#191 未開封
 
2022.05.15up
 
届いた手紙

懐かしい癖のある文字で記された
差出人名

それだけでじゅうぶんだった

 
 
【今日の切り絵】

若い日の僕等には
見えるはずない黄昏の
光は今ここで静かに降り積もる
影さえ溶けてゆく

何気ない日々たちが
愛を紡いでくれたこと
瞼を閉じたままポツリと君が言う
僕はただ聴いている

もっと二人で話せばよかった
もっと抱き寄せれば

〜 黄昏(僕等の日々) ♪〜

 


#190 花は咲いてる
 
2022.05.08up
 
花は咲いてる
戦争とは残酷なものだ

どうしてこんなことに


台詞のあとの 長い沈黙


青い空のもと
今日も花は咲いている

 
 
【今日の切り絵】

風の谷 眠る森 葉音静か
走る馬車 闇を裂く 空は茜
パパイヤ摘むスゥスゥは19の乙女
口ずさむ大地を称える歌
果実の色は肌に宿り 恋をしている

〜 スゥスゥ ♪ 〜

 


#189 麻薬色の空
 
2022.05.01up
 
民間人であるとかないとか


誰でも駄目

大切ないのち

 
 
【今日の切り絵】

She is knocking me,
and locking me again ...

真夜中にみぞおちが
痛むのが癖になり
今夜も眠れない
君の顔が浮かぶんだ
出会うのが早すぎて
言いそびれたままの
言葉届かない
胸のすみに残されて

〜 かわいいおんな ♪ 〜

 


#188 晴れた日のこと

2022.04.24up
 
アーケード街 宝くじ売場

駐輪場 ドラッグストアの向かい

窓際の席 週刊誌の棚

曖昧な記憶
大切な記憶

 
 
【今日の切り絵】

潮風けむる港の午後三時
赤い靴の少女の前で私は思い出す
山手の白い小さな教会を
指でさしてあなたは少し
照れたように私を見た

〜 赤い靴 ♪ 〜

 


#187 ジャカランダ
 
2022.04.17up
 
ジャカランダの紫色の花
初夏の光の下で微睡むレトリバー

優しいキスのような木々の静寂

読めない葡語の新聞が部屋に届く

 
 
【今日の切り絵】

走り続けるわけを
胸に尋ねてみても
答えはわからない

でも君の目に映るのが
輝く僕であれば
きっと走り続けられるね


〜 スタートライン♪ 〜

 


#186 大丈夫
 
2022.04.10up
 
手前のほう もうちょっと右かな

大丈夫 いまもそばにいるから


咲いたよ

 
 
【今日の切り絵】

紫色に暮れるたそがれ時は
人恋しいよね
誰も皆淋しさをかかえてるから
君に会いたい
そばに居るだけでいい
忘れないでね 僕の声
愛の歌 うたうから

〜 街角のオアシス ♪〜

 


#185 恋人同士
 
2022.04.03up
 
今一番どこに行きたい?

どこへも行きたくない

到着済み〜


子供のように笑った

 
 
【今日の切り絵】

悲しい知らせはいつも急に届く
曇りガラスが光さえぎる
一人ぼっちの部屋

〜 早春のレクイエム ♪〜

 


#184 最後の恋文
 
2022.03.27up
 
青空マーケットのいちばん外れで
紐にかけられゆらゆら揺れていた
ポストカード

文字を記せなかった
感傷的な恋文

 
 

【今日の切り絵】

無口な男とよく笑う女
巡り合う因果律 モザイクのこの町
億万ピースのジグソーパズルさ
ひび割れた世界地図
花は何処へ行った
科学の果てに手にしたものは
すべてを砕くボタンが1つ

〜 モザイクの町 ♪ 〜

 


#183 ホットミルク
 
2022.03.20up
 
ホットミルク
冬の寒い朝 部屋が暖まる前に
小さな鍋で沸かしたミルク

電子レンジの方が早いよと
眠い目を擦りながら

 
 
【今日の切り絵】

わたし綺麗でしょう
とても綺麗でしょう
あなたをこんなに好きだから
女は男の人に恋をすると
とても綺麗になれると
ママに聞いた
優しい人はその優しさで
たくさんの人を傷つける
まして冷たいあなただからと
仕方ないさと諦めてみる

〜 悲しみの舵をとれ ♪ 〜

 


#182 想い
 
2022.03.13up
 
その町には鉄道の駅がなかった

紺色に澄んだ空の下
砂地の川沿いを歩いた

掌に残る時間

あなたのほかに 何もなかった

 
 
【今日の切り絵】

あなたを抱き寄せるだけで
優しいひとを悲しませたりするね
夏に閉じこめられたまま
ふたりの恋が終りを告げるのなら
誰を傷つけても
あなたを奪うべきだね
Oh! my dear

泣ける映画のラストのように
Hold your hand
ふたつの影が寄り添う浜辺
Close your eyes
夕陽に誓う愛がせつない

鼓動も聴こえるような静けさで
夏が終りを告げても
Oh! my dear

〜 波打ち際のアルペジオ ♪〜

 


#181 消灯時間
 
2022.03.06up
 
台湾の朝市のページまで読んだところで 眼鏡を外し栞を挟む

明日目覚めたら
春を待ち侘びた花を選びに行こう

おやすみ

 
 
【今日の切り絵】

君のその胸に春の風吹く日は
若葉萌えるようにうたいたまえ
匂いほのかな恋の花を
あぁ その手に抱きたまえ

君のその胸に夏の風吹く日は
繁る青葉と情熱の花を
あぁ その手に抱きたまえ

〜 君のその胸に ♪ 〜

 


#180 紅雀
 
2022.02.27up
 
隙間という距離の大切さは
学ぶようなことじゃないよと

思い出す歌 川向こうの町

 
 

【今日の切り絵】

詩人になるよりは
絵かきになりたいと
私は何度思ったことだろう

言葉の悲しさは 他の誰よりも
わかったつもりでいたのに
何故だろう

真っ白なキャンバスに
私の淋しさを
柔らかいこの絵筆で
閉じこめられるなら

詩人になるよりは
絵かきになりたいと
私は何度思ったことだろう

〜 饒舌 ♪〜

 


#179 少し遠回り
 
2022.02.20up
 
消防署の先の角を曲がり忘れて
少し遠回りしていつものカフェに
辿りつく

時の流れという名の薬が記された
処方箋

地下鉄工事の音
汚れた窓のガラス

 
 
【今日の切り絵】

哀しみを集めた海に
浮かぶ小舟だね 泣き虫のDarlin’
傷口に甘い痛みを吹きかけるたび
古い愛の記憶に 君が縛られてる
鍵を掛けるダイアリー
もう二度と開かない
思い出ごと君を
盗みに行くよ いつか

貝がらに潮騒を聴く
可憐なイメージで
冷たさも素敵に見える
渚の黄昏なら

もし君に出会わなければ
本当の孤独 知らずにいたよ
笑うはずないフォトグラフ
今夜も抱いて眠る

〜 心象風景 ♪ 〜

 


#178 長距離電話
 
2022.02.13up
 
もうすぐ切れるから

十円玉と百円玉 コインの落ちる音

じゃあまたね

ツー という静寂で
少しずつ大人になった

 
 
【今日の切り絵】

Twenty One 新しい扉
My Lonely Lady
あなた一人で 開いてゆくんだ
One Side Love 愛されなくても
あなたのために歌い続けていたい

広げた世界地図の中
手探りでいい夢を追い
あなたは頬を赤く染めて
走り続ければいい

Twenty One
僕からあなたへのメッセージ

〜Twenty One ♪〜

 


#177 そのまま
 
2022.02.06up
 
一冊は 旅と料理のエッセイ
もう一冊は女流作家全集の第8巻

早春の信濃路だったり
イタリアの細い路地裏だったり

そのまま眠りに落ちる

 
 
【今日の切り絵】

なんてきれな髪
そんな言葉だけで幸せ
出会った頃のこと
誰よりも輝いて見えたあなた
今では少しぼやけて映る
いつか肩を寄せて
ながめた海の夕焼け空
もう思い出せない
鮮やかな色も雲の行方も
とぎれた愛の記憶の箱の中

〜 リタルダント ♪ 〜

 


#176 大阪という時間
 
2022.01.30up
 
誰かいいひと おるん?

おばちゃんはそう言って笑った

小さなアパートの窓辺
花瓶の青い花
あの日 心と体の距離

 
 
【今日の切り絵】

立ち止まりたい時 思い出すのは
僕とよく似ている単線列車

仕事へ行く人や 学生たちに
紛れて僕だけが旅人気分

〜 相模線旅情 ♪〜

 


#175 ライブハウス
 
2022.01.23up
 
ハンバーガーショップなのに
コーヒーが美味しいと評判の店

角を曲がった大通り
車と人の流れ 断続的な喧騒

緩やかに下った坂の途中に
昔 小さなライブハウスがあった

 
 
【今日の切り絵】

「愛してる」とは
言葉にしたこともない
誰より愛しい人
くちづけるたび勇気は口移しに
運ばれるけど 黙っていたのさ

夢のカタログ
掻き集めたこの部屋の
扉を君が叩く
臆病なほど 拒み続けたものを
何故君だけが 僕にくれるのさ

〜 ローゼンダール ♪ 〜

 


#174 忘れもの
 
2022.01.16up
 
砂埃の校庭に映ったジャングルジムの影

遠くの方で水が撒かれ
下足室から笑い声が聞こえ

それだけで充分だった

 
 
【今日の切り絵】

You are my musician
my lonely musician
新しい彼女に少しジェラシー
You are my musician
my lonely musician
別れた今もその歌が大好き
You are my musician

〜 You are my musician ♪〜

 


#173 星の王子さま
 
2022.01.09up
 
一番大切なものは目に見えない

青空という砂漠に不時着
そんなこともある

 
 
【今日の切り絵】

間違えだらけの歌をくちずさんで
ほめてもけなしても
お前はよく笑う
海の見下ろせる小高い丘まで
おまえは小走りに駈けてゆき
手を振って僕を呼ぶ

〜 20歳の階段 ♪〜

 


#172 いのち
 
2022.01.02up
 
時こそが神なのではないかという考えに僕は常に執着していた

水の迷宮の夢

作家や詩人が 著したかったものが
やっと少しだけわかる齢に

 
 
【今日の切り絵】

いくつかの愛が僕に
背を向けていった
裏切りにも慣れてしまい
笑っているけど

生きている人間だから
切れば血も出るよ 痛みがあれば
泣き叫びもするよ

誰かの心に影を落としていたい
死ぬためばかりに
生まれて来たわけじゃない

〜 叫び ♪ 〜

 


#171 昨日今日明日
 
2021.12.26up
 
言葉に置き換えるべきものは無く

いつも そんなふうに

喜びも 悲しみさえも

 
 
【今日の切り絵】

遅れて来た少年の名前は
B・B・ジョーン
恋をした罪におののく
Teenage boy
平和な村の暮らしを捨てても
フルーティ・ルー
愛する人と街へ出るシャイな娘

〜 賢者の贈りもの♪〜

 


#170 In other words
 
2021.12.19up
 
窓景色に整理のつかない思い

やり慣れないことはしない

春夏秋冬の町

いつもと同じ 何も変わらない

 
 
【今日の切り絵】

僕の腕時計の針が
やっぱり右へ回っていると
気がついて
作った歌をあなたに贈ります

路面電車の心地よい揺れに
肩を寄せ合いながら
北鎌倉へ行きましたね

あなたの心
包み切れなかったけれど
あの時の風はとても優しかった

〜 僕の心の腕時計 ♪〜

 


#169 時代
 
2021.12.12up
 
明治通りと早稲田通りが交わる
馬場口の交差点で信号待ち

もう5台ものバスに追い越された
と笑いながら 汗を拭きながら

 
 
【今日の切り絵】

愚か者 オロオロ 丘の上
老いらくの思い 抑えられず
堪え切れぬ声が こみ上げて
今宵 恋 焦がれ
恋したんだ
純度高い hold me tight
血圧さえ 上がりそうな moonlight
せつなさは 不条理な力学
激しさは 抗えぬ哲学
目を閉じてウララ
オゾンを吸い込めば
胸締めつけられて 涙はホロロ

〜 愚か者のバラード ♪〜

 


#168 心の旅
 
2021.12.05up
 
もう何年も読まずに忘れかけていた作家の本を本棚から引っ張り出し出しきて

まだあの頃へ戻れるかな なんて

 
 
【今日の切り絵】

桜の花が咲く頃に
僕等はここで出会ったね
少し大きな制服に
照れ笑いを浮かべて
部活帰りに飲み干すチェリオ
なぜかとてもおいしい
いくら話しても話し足りない
夕陽傾いて「明日また会おう」
そう言って いつも別れたね

〜 桜の花が咲く頃に♪ 〜

 


#167 太陽の沈んだ町
 
2021.11.28up
 
美しい花が咲き乱れ
色とりどりの万国旗がはためき
賑やかなパレードが行き過ぎた後

透明な文字だらけの午後が訪れる

 
【今日の切り絵】

Today is a day, a lonely day
明日になれば
Today will be yesterday
明日になれば

夕陽が空を桃色に染めて
君の影が遠ざかってゆく
静かに涙を落としながら
肩をすぼめて遠ざかってゆく
いつものように首を傾けて
笑っておくれ 笑っておくれ
口をとがらせ 怒っておくれ
砂浜に寝ころんで
青空の下で手をつなごう

〜明日へのリフレイン ♪〜

 


#166 Agua mineral con gas
 
2021.11.21up
 
小高い丘の黄土色の屋根は
昨日訪れた美術館

夕暮れ時に少し冷たくなった空気

緑のボトルの炭酸水とチケット

17時ちょうど 夏色のバスは
長距離専用ターミナルを離れた

 
 
【今日の切り絵】

誰かに出会うことが
まるで運命のように
めぐり逢えた春の光が
まぶしいあの日に
どこにでもいるような
だけど特別なひと
笑いかけるその仕草さえ
誰よりも輝いてた

〜 Just an only love song ♪〜

 


#165 サボテンの話

 
2021.11.14up
 
サボテンの話をしてくれた
何の役にも立たない話だと思った

知らず知らずのうちに時流の陰で
多くのものが失われた

何の役にも立たない
サボテンの話が聞きたいと思った

 
 

【今日の切り絵】

桜を散らす風が吹いて
君の恋も終わりを告げた花冷え
頑なに閉ざす君の唇
ずっと君を守りたかった
眩しい季節 君が生まれて
繋がる命 愛が溢れて
君がいたから ありふれた日も
輝いていた 輝いていた

〜 追憶 ♪〜

 


#164 白の色彩
 
2021.11.07up
 
遅れている船は遅れているだけで やがて桟橋へ辿り着く

立ち去る人 待ち続ける人

白に溶けている幾つもの色彩

 
 
【今日の切り絵】

今日のコンサートは淋しすぎた
歌い終わった僕等は
決して開かない小さな窓から
冬の晴れ渡った空を見上げた
今日のコンサートは淋しすぎた
張りつめたギターの糸は
冷たい音を奏でた
約束だったプレゼント
あの娘は自ら棄てたのさ

〜 淋しすぎたコンサート♪ 〜

 


#163 過ぎた日のこと
 

2021.10.31up
 

あの日 夜半に降り始めた
幻想的な雪の中で
路面電車の窓明かりが描いた
しなやかなカーブ

刹那の芸術へのオマージュ

取るに足らない
過ぎた日のことだけれど

 
 
【今日の切り絵】

マスクだらけの街で
息を潜めてたんだ
君と会えない日々ラッタッタ
長すぎる春休み
教室さえ恋しくなる
手のひらの中の君だけが
僕の全て もどかしい
時が過ぎていつか
笑える日が来るかな
来て欲しいな

〜 禁じられた距離(ディスタンス) ♪ 〜

 


#162 It had to be you
 
2021.10.24up
 
木枯らしが騒がしい夜

読書灯の下はまだアリューシャン列島の旅の途中

季節も時間も御構い無しの暴走

警察も取り締まれない無法地帯
警察も取り締まれない居眠り運転

 
 

【今日の切り絵】

冬の風に雲はちぎれ
悲しくもないのに涙が出て
終わるものと始まるもの
今 君の掌にゆだねられ
通り過ぎた道の向こう
立ち止まっている僕等がいて
やがて影は寄り添い ほら
ゆるやかな坂道をのぼり出した

〜 宴の前夜 ♪ 〜

 


#161 太陽のある場所
 
2021.10.17up
 
此の頃 我が儘になったと呟く

昔から 我が儘だったと笑う

遠い処まで太陽を浴びに

太陽なんて どこにでもあるのに

 
 
【今日の切り絵】

初めて会うのになぜか懐かしい
あの時の空は眩しかった
涙もろい僕を 君は受け止めて
笑ってくれたね 嬉しかった
空っぽな僕の部屋に
天使が舞い降りたんだ

〜 僕たちの船 ♪〜

 


#160 緩やかな坂道
 
2021.10.10up
 
ただずっと語り合っていた

現実のような映画

交わした言葉さえ思い出せない

映画のような現実

 
 
【今日の切り絵】

海の見える場所で僕に抱かれながら
遠くを見つめていたね
「友達でいてね」不確かな約束
呪文のように呟く
大切なものを壊さぬように
二人は生きていたね
Oh my friend, You’re my friend
いつも特別なふたり
Oh my friend, You’re my friend
君が誰よりも好きさ

〜 Oh My Friend ♪〜

 


#159 完成
 
2021.10.03up
 
しまい忘れた色鉛筆

絹糸のように硬く冷たい素描

何を描きたかったのか

もしかして

 
 
【今日の切り絵】

海の近くのホテルの
白い壁を夕焼けが
染める黄昏時
船にもたれて一人

砂浜で戯れる
子供を見つめている
吐き出す息の白さ
また悲しい季節だね

好きな色は青 嫌いなのは嘘
生まれたのは秋 それから
好きな人はあなた

〜 てんびん座の女 ♪〜

 


#158 花祭り
 
2021.09.26up
 
その川に架かる橋を渡り
せせらぎの岸辺まで降りて行き

指折り数えて待つ次の年の花祭り
の話をして

どこで暮らしているだろうか


中止と記された今年の貼り紙

 
 
【今日の切り絵】

生まれ故郷に帰るなら
この切符を持って行くがいい
今まで強い風に吹かれたから
約束通り戻って行くがいい
Windless City行きの切符を持って
バラ色の片道切符を
池に投げた石で出来た波紋の淵で
君が笑ってた
ただそれだけの仲だった
ただそれだけの仲だった

〜Windless City ♪〜

 


#156 ただの曇り空
 
2021.09.19up
 
休日の学生街

あの頃の古い壁の校舎と
その脇の食堂はもう今はなく

その方が思い出の引き出しには
ありがたいと
何日も続く曇り空が嘯く

 
 
【今日の切り絵】

振り向けばそこに何も残らない
そんな愛し方するのは嫌だね
海よりも深く空よりも広く
おまえを包んでいられたらいいね

〜 Marigold II ♪〜

 


#155 Even if time goes by
 
2021.09.12up
 
ひんやりとした山の中腹
夜の帳に溢れた窓明かりの静けさ

話し声 笑い声
いつまでも飽きもせず

あの頃を忘れない

 

【今日の切り絵】

うたた寝好きな少年の頃
夢でよく大空を翔んだよ
見下ろす街の景色はまるで
パノラマみたいで素敵さ だけど
言葉にすれば笑われるから
僕はいつも心を閉ざしてた
にきびだらけの初恋の頃も
まだ奇跡を信じてた

〜 紙飛行機のラブレター ♪〜

 


#155 さがしもの
 
2021.09.05up
 
上下巻を読み終えた背中を伸ばしに

夏の終わりの潮騒といっても
特別何かが違うはずもなく

雨の中の蜜蜂

まだ見つからない

 
 
【今日の切り絵】

壊れたガレージで僕が歌った
あの歌いまも覚えてるかい
優しいモデラート君を泣かせて
得意な顔の愚かな男
沈む夕陽見つめて約束した二人も
いつか時に振り解かれてアデュー
さよならの言葉も交わさなかった


〜 モデラート(中くらいの速さで) ♪〜

 


#154 八月の裏側
 
2021.08.28up
 
ちぎったカレンダーの裏側

うる覚えの歌詞に赤ペンで添えた
いい加減なギターコード

大きなあくびをした道の向こう側

飄々と夏を越えてきた風船葛に
透明な蜩のカナカナが降り注ぐ

 
 
【今日の切り絵】

お腹を空かせた学生が
大隈通りに吐き出され
楽しみは昼ご飯
今日は何を食べようか

都会に慣れない僕たちを
優しく迎えるレストラン
相席も構わない
僕も優しくなれる

面影橋から徒歩5分
グランド坂を横切って
飾り気のない佇まい
それが好ましい

その店の名前は
ラララ キッチン馬鈴薯

〜 キッチン馬鈴薯 ♪ 〜

 


#153 Conversation
 
2021.08.22up
 
何が見たかったの
何が聴きたかったの

何に触れたかったの


何が見えたの
何が聴こえたの

何に触れたの

 
 
【今日の切り絵】

君と二人きり長い影をたずさえ
歩いた海岸線にも いまは秋の匂い
君の柔らかい髪を小指で遊び
オデコにくちづけた時も
笑ってくれたね

でも君が大人になるという
20番目のこの秋にも
何もあげられないのです
この歌以外には

だけど だけど わかるはずだろう
僕の言いたいことは

〜 午後六時の空 ♪〜

 


#152 時の輪郭
 
2021.08.15up
 
黒で過ぎ行く時の輪郭を描き

薄緑と普通の緑
それに少しだけ橙色を重ねる

子供じみている
きっといま 一番大切な時間

 
 
【今日の切り絵】

夕陽を背に砂浜駈ける君が
海に溶けて
恋をしてたふたりはいつのまにか
大人になっていた
あぁ時は穏やかにふたりを包む

あぁときめいていたあの頃よりも
まだ君を愛してる
あぁ時の流れに褪せることなく
いまも輝いている

I love you more than you
愛の深さを君に見せられれば
I love you more than you
言葉が邪魔なくらい
ふたり分かり合えるのに

〜 僕等について ♪ 〜

 


#151 幸せについて
 
2021.08.08up
 
有楽町を過ぎると
昔は窓の外にもっとネオンサインが沢山だった

絵葉書 カセットテープ 角砂糖

どれも他愛もない話だった

 
 

【今日の切り絵】

長い間君は妹で
いてくれたけれども今日限り
明日からはあの人の腕の中
優しく抱かれて眠る

恋人を気取って砂浜で
抱きしめてくちづけしたことも
今では素敵な思い出だね
あぁ時は流れてゆく

〜古いラブソングは似合わない♪〜

 


#150 病葉
 
2021.08.01up
 
わくらば と読むのだそう

光の中では 緑葉も病葉も美しく

水を撒き 水が跳ね 水が笑う

しゃがみこみ涼む 盛夏の想い

 
 

【今日の切り絵】

拒み続けた唇に
今鮮やかに紅を引き
ごめんなさいね昨日までは
忘れられない人がいた

茅ヶ崎から横浜まで
揺れる電車を乗りつなぎ
港間近の公園で
暗くなるまで船を見た

〜 港で歌う子守唄 ♪〜

 


#149 晴れた一日
 
2021.07.25up
 
冷房の効いた部屋で
北アフリカ マグリブ諸国を旅する

ハリッサの辛いのなんの
興味津々

2021年 夏 東京
時が過ぎ行くのが見える

 
 
寒い部屋で世界地図を広げていたね
君は生まれた国を指でさし
肌の色や話す言葉違っただけで
分かり合えないことを悲しんだ
ひとりひとりは優しいくせに
なぜ戦うのだろう
平和のために争うなんて
少しおかしいね

〜 異国の友 ♪ 〜

 


#148 帆を畳む舟
 
2021.07.18up
 
東回りの航海をした旅人も
西回りの航海をした旅人も

いま光の中で帆を畳む舟が
世界一 美しいことを知っている

 
 
【今日の切り絵】

愛を遮るもの
それは昔傷ついた心だね
夢を見ても あの日には帰れない
ほんの少しでいい
勇気を出してその場所から
真っ直ぐに あぁ真っ直ぐに
走ってくればいい

〜 夏の終りに ♪〜

 


#147 夜更け
 
2021.07.11up
 
薬罐でお湯を沸かし
インスタントコーヒーの粉に注ぎ
スプーンを渡してかき混ぜ
夜更けまで語り明かした
 
 
【今日の切り絵】

長い坂道を 君が駆けてくる
髪を揺らし
肌に夏の名残りをみせて
小脇に啄木の本を抱えている
君の青春に
僕より早く勇気与えた人

〜 大いなる坂道 ♪〜

 


#146 梅雨の波紋
 
2021.07.04up
 
駐車場の車の屋根に落ちる雨音を
忙しないバス通りを濡らす雨音を

頁を閉じたまま聴く

川の淀みの静かな波紋のように
少しだけ揺らめき 消えゆく時間

 
 
【今週の切り絵】

湖の上に 舟を浮かべて
水面揺れる木の葉
二人して眺めてた
抱き竦められて 息も出来ずに
受けた熱い唇
今もなお忘れない

〜Good bye Mr.スローバラード♪〜

 


#145 約束
 
2021.06.27up
 
湿度が低いゆえの空の蒼さ
ナトリウム灯が誘う夜のしじま

床に広げた大きな地図の上に
裸で寝転び
海沿いの鉄道を指で北へなぞった
 

 
 
【今週の切り絵】

僕の歌 聴いてくれた
始まりはただそれだけ
互いの寒さ持ち寄り
温め合うこともあった
心は少し離れて
静かにその時は来る
なぜ僕の方ではなく
君が泣いているのかな
約束はいつも頼りないもので
未来など縛れない

〜 約束の歌 ♪〜

 


#144 夏の本棚
 
2021.06.20up
 

束縛のない場所と時間

大人になったのに
大人になったから

どこかで大切なものを忘れてきたことにすら無感覚に

 
 
【今週の切り絵 】

静かな川面に平たい石を投げると
幾度も飛び跳ね君は喜んだね
橋の欄干で初めて口づけをした
祭りの帰りの夜のことだった

〜片田舎のロマンス♪〜

 


#143 旅の途中
 
2021.06.13up
 
かわもとひろのぶ 作品と共に
3年近く 心の旅を続けてきました

詩の行間やメロディの向こう側に
私たちが何かを感じているならば
作品の本質はもしかすると著された文字や音符以外の部分にあるのではないでしょうか

作品は独自で完結せず
受けとめる側の 例えば原体験や
刹那の気持ちの突起 あるいは欠落と光合成され
ひとりひとりにとって少しずつ
違った形で

そんなことを改めて考えさせられました

 
 
来週からはまた違った形で
心の旅を続けましょう
 


#142 せせらぎ
 
2021.06.06up
 
宛先不明で返送された
あまりにも遠い日の恋文

未開封のまま 笹舟のように
せせらぎの光の彼方

 
 
廻る季節が街を変えても
夕陽の色はいつもせつない
届け夜空へ 乙女の祈り
待ち焦がれる明日
待ち焦がれる明日

〜かわもとひろのぶ 2020年作品『乙女たちの伝言』〜

destination destiny
何も語らない 全てを知る夏の水面

 


#141 余白
 
2021.05.30up
 
古い修道院を改装したポサーダ

通りのざわめきは消え去り

カウチに無造作に横たわる晩夏

 
 
古くなった地図を捨てよう
道しるべも必要はない
見送る人もいなくていい
僕らに相応しい朝が来て
たどり着いたこの場所から
新しい旅を始めよう

〜かわもとひろのぶ 2014年作品『第二章 好きだよ』〜

左の頬に添えた静かな掌
余白という 大切な時間

 


#140 yours
 
2021.05.23up

丘の上にある大学の坂道を
汗をかいて登り
校舎裏にある新しいカテドラルで祈りを捧げた

15時を少しまわったカフェには
入学手続きを終えた新入生たち

 
 
若き力を育みて 胸熱く
空を渡りロータリー
夢を見たりロータリー

〜かわもとひろのぶ 2004年作品『我等は二度生まれる』〜

慣れない英語で残された伝言
モノクロームの街 I’m yours

 


#139 ジューンベリー
 
2021.05.16up
 
ねぇ お姉ちゃん クイズね

目を閉じても見える景色って
なーんだ

ヒントはナシね

 
 
date under moonlight
下心 読まれないように tender kiss
date under moonlight
カラダ中 アドレナリンは駆け巡る
恋する under heart

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『恋する下心』〜

ジューンベリーの白い花 赤い実
今年も梅雨を迎えた静かな午後

 


#138 針のない時計
 
2021.05.09up
 
鉄仙の鉢植えの紫
如雨露の水に濡れた鬼灯

江戸ガラス細工の風鈴が
狭い路地の軒端に夏を運ぶ

 
 
愚かで哀しい 歴史は繰り返す
愛を失くすたびに 人はうたう

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『ゴスペル(東京編)』〜

もう考えず 感じるだけの
針のない時計

 


#137 待ち時間
 
2021.05.02up
 
向かい屋根のテラコッタ瓦の葺き替えは既に終わり

正午を告げる教会の鐘の音がけたたましく鳴り響く

あの日 栞を挟んだ頁から再び
サバの詩集を紐解く窓辺

 
 
海青く空遥か 湘南の風薫りて
この町の礎を共に創りて行かん

〜かわもとひろのぶ 1997年作品『覇気あれ我がクラブ』〜

少し 待ち時間が長かっただけ
また恋をしよう

 


#136 歳月の残照
 
2021.04.25up
 
初夏

ふたり見つめた碧
細い肩に降り注いだ翠
はにかむ頬を染めた紅

もう違う時間 もう違う場所

 
 
いまもあの橋を渡れば
優しい自転車屋のおじさんはいるかい
自転車がこわれても
君のならいつだって
ただでなおしておいてくれたのに

〜かわもとひろのぶ 1975年作品『京子に贈る歌』〜

愛されていたことを
最期まで気づかずに

 


#135 夜間飛行
 
2021.04.18up
 
搭乗時刻まであと15分

音楽を聴きながら 読み返すメール

Gate 39th

明日やっと逢える

 
 
Today is a day, a lonely day
明日になれば
Today will be yesterday
明日になれば

〜かわもとひろのぶ 1980年作品『明日へのリフレイン』〜

彼女は恋人のもとへ
ぎゅっと チケットを握りしめて

 


#134 時を経た色彩
 
2021.04.11up
 
島に渡る休日のフェリー埠頭

重油の匂いと騒がしいエンジン音

エメラルドブルー ピュアホワイト
ダークグリーン

 
 
夜中目覚めた僕は
君の髪に別れの口づけ
振り向かない君の背中が
少し震えた気がした

〜かわもとひろのぶ2013年作品『早稲田駅、午前3時』〜

時間とは不思議なもの
少し持て余した黄昏時の色彩さえ

 


#133 その駅
 
2021.04.04up
 
いつまでも 歩き続けて
いつまでも 思い続けて
いつまでも 辿りつけない

昼下がりのガランとした食堂で
黒い猫が一匹 微睡んでいる

 
 
いつも薄暗い病室で
君が一人で居る時は必ず
羊の数を百までかぞえては
僕の名を一度 呟いたんです

〜かわもとひろのぶ 1978年作品 『最後のプレゼント』〜

その駅には時計はあるが
時刻表はない

 


#132 君の友達
 
2021.03.28up
 
静かな雨音を聴いているのが好き
それは晴れた日があるからだよ

澄み渡る青空が何より好き
それは宵闇の先に訪れるからだね

 
 
笑っておくれよ Give me smile
どうして泣くの Why you cry
何処まで行くの Where you fly
何がしたいの What you try

〜かわもとひろのぶ 1986年作品『Ocean , My Child』〜

笑って過ごせるから幸せ
それは友達がいるからかな きっと

 


#131 夢見る頃を過ぎても
 

2021.03.21up
 

ハナニラの白い花が
柔らかな春の風に揺れる小径

アドバルーン セスナ機 飛行船
午後の空が賑やかだったその時代

 
 
本当に可愛いかった
でもね あんまり小さな籠に入れられてたから
お空を飛びたかったのね

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『小鳥さんが死んだ朝』〜

あの頃と言う名の温もり
夢見る頃を過ぎても

 


#130 聖なる悩み
 
2021.03.14up
 
そんなに悩むことないってば

えー だって

失敗しても また次があるさ

 
 
砂に戯れた長い海岸
その潮の香りをもう一度
それはそのまま
君の匂いだったから

〜かわもとひろのぶ 1977年作品 『私小説』〜

決めた カスタード
あっ やっぱり 生クリーム


聖なる悩み

 


#129 ラブソング
 
2021.03.07up
 
大学ノートに残された
古いラブソング 未来への手紙

ときめき いとしさ せつなさ

二本線で消された文字

 
 
心の中では君を抱きしめている
大きな一本の木の下で
心の中では君を抱きしめている
大きな一本の木の下で

〜かわもとひろのぶ 1975 年作品『大きな一本の木』〜

乾いた風 穏やかな午後の日差し
Another love song

 


#128 10年前のこと
 
2021.02.28up
 
あの日
何が起きたのかさえ
わからなかった幼い少女は
この春 もう中学生になる
 
 
マリア・マグダラ
奏でるのなら 少し淋しい歌の方が
よく眠れるかもね

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『マリア・マグダラ』〜

事実より
真実を探してはみるものの
然りとて 何を言葉に出来るだろう

 


#127 唐菖蒲
 

2021.02.21up
 

何もない下宿部屋の窓辺に
グラジオラスの鉢植え

都会で擦り減った心の穴埋め
なーんてね

肩を竦めて笑った

 
 
グランド坂下左に折れて
路面電車の線路沿い
咲く花麗し匂い漂う
僕の好きだった散歩道
涙を誘う 夕陽は落ちる
僕を残して 夕陽は落ちる

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『春には春の...』〜

いまも元気に暮らしている
届いた 風の便り

 


#126 水曜の午後
 
2021.02.14up
 
通り過ぎるもの
忘れ去られるもの

水曜の午後 国境へ向かう臨時列車

 
 
あの頃の未来は既に
過去になったけど
勇気をくれたあの人に
どうか届きますように

〜かわもとひろのぶ 2000年作品『誓いの手紙』〜

誰を想うか以外
きっと何も残らない

 


#125 昨日のことのように
 
2021.02.07up
 
町の名前も 店の名前も
それがいつのことだったのか

記憶とはかくも心許ないもの

 
 
失われたものたちを
数えれば寒くなるね
寂しさだけが涙を連れて
僕の側にいるから

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『ひとり寝のメリークリスマス』〜

赤毛のアンの話をした声の温もり
昨日のことのように

 


#124 駅前通り
 
2021.01.31up
 
特別気どった店などない駅前通り

せわしなく発着する私鉄バス
どこにでもある周波数の喧騒

ありがとう じゃあまたね

 
 
見飽きたビデオは山積みのまま
持ち主のお呼びを静かに待ってる

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『Right Hand Job』〜

天気予報はハズレ
畳んだままの傘 確かあの日と同じ

 


#123 話し相手
 
2021.01.24up
 
大西洋上のリンドバーグ
操縦席に迷い込んだ一匹の蠅

冬の凍てつく荒野
フロントガラスを叩く雨音

話し相手

 
 
笑わない君の写真
抱いて眠る夜にはHoneymoon
夢で逢えることを祈るよ

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『FOOL ON THE ROOF 』〜

時刻表にない汽車に乗る旅人同士

 


#122 春まだ遠く
 
2021.01.18up
 
赤や緑の郊外電車
鉄橋に現れては右へ左へ

サイクリングロードのあの辺り
一面菜の花の黄色に染まる日を
ただ待ち侘びて

 
 
Mari 笑えば片えくぼ
豊かな胸には夢がいっぱい
Mari オマエの歌声が
淋しい俺の心に沁みる

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『Marigold』〜

平織の栞紐を挟んだ刹那
春まだ遠く

 


#121 風の時代
 
2021.01.10up
 
クヌギの雑木林
シロツメクサとオオバコの空き地

新しい住宅地が出来る前に
転校して行ったクラスメイト

 
 
誰もがひと夏の思い
抱えて大人になるよ
誰かを愛したときの
微かな痛みを残して

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『帰らざる夏』〜

放課後を告げるチャイム
もーいいかい もーいいよ

 


#120 時の仕掛け
 
2021.01.03up
 
引き込み線の先にある海辺の町

寂れた駅舎と港以外 特別なものは何もなかったはずなのに
 
 
憎しみと同じくらい
君のことが好きだった

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『憎しみと同じくらい』〜


果たしてすべてはそこにあったと
遠い場所でしか気づかせない
悪戯な時の仕掛け
 


#119 薄曇り
 
2020.12.28up
 
地下鉄のドアが閉まり
無機質なアナウンスが聴こえ
狭い階段をのぼり

大型トラックが何台も行き過ぎる

 
 
君に会えて嬉しかった
あの日から僕たちは

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『夜明け前』〜

舗道の犬 窓辺の猫
彼らはこんな風に珈琲を飲まない

 


#118 静けさの巡礼
 
2020.12.21up
 
本の中にある静けさを巡る旅

気づかされることばかり

人は一生 学生なのだと

感じ 学び 通り過ぎる冬の日

 
 
何かの型に嵌めなきゃきっと
我慢出来ない大人はもっと
僕達のことわからなくなる

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『おしゃれ童子』〜

3月起算のローマ暦
10番目の月 December

 


#117 乗り継ぎ便
 
2020.12.13up
 
明け方近く まだ眠いエアポート
ガラスの向こう側に流れる点滅

何も考えていないのか
全てを一遍に考えているのか

他愛もない思いでもあり
何より大切な人でもあり
 
 
街に流れる木枯らしのラブソング
君はどんな気持ちで聴くのだろ

〜かわもとひろのぶ 1982年作品『木枯らしのラブソング』〜


何かと何かを繋ぎ合わせるように
 


#116 楽譜 もしくは地図
 
2020.12.06up
 
たった一言の思いを伝えるため
幾つも幾つも唄を書き

たった一秒の答えが知りたくて
遠い遠い旅に出る
 
 
幼い頃に二人で乗った
公園にある君の指定席
悲しい時も涙ちぎれた
魔法使いさ あの揺りかごは

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『揺りかご 』〜


ただ朝が来るから
また夜が訪れるから
 


#115 もうひとつの朝
 
2020.11.29up
 
朝市に積まれたオレンジの山

冗談以外は受け付けない会話

逍遥自在な野良犬

同じ地球のもうひとつの朝

 
 
白いキャンバスに
どんな絵を描こう
愛という名の色を散りばめて

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『勇気ある船出』〜

無言の おはよう と おやすみを
繰り返す

 


#114 車窓
 
2020.11.22up
 
遮断機の降りた幾つもの踏切
休工中の橋梁工事現場

淡い午後の淀み

ただ風を見ている

 
 
金も名誉もないじゃん
だけど恋してるじゃん
Another Sideの奴をぶちのめせ

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『B side love 』〜

何かに置き換えることもせず
ただ風を見ている

 


#113 空の青さだけが
 
2020.11.15up
 
時代はいつだって盲目

手遅れの年譜は歴史
置き去りになった悟りは墓標

ただ空の青さだけが

 
 
別れ形見に自慢の髪を切り
故郷へ行く汽車の中で泣いた
二人の愛を試す誰かがいる
それを神様と呼ぶの?

〜かわもとひろのぶ 1986年作品『賢者の贈りもの』〜

希釈した想いの補助線を消せば
きっと綻びも目立たない

 


#112 再会
 
2020.11.08up
 
違いを受け容れられなかった頃を
懐かしむような穏やかな眼差し

お互い若かっただけ

これでよかったのかもしれない

誰しもそんなふうに

 
 
振り返らない強さではなく
振り向いた時 揺れないように
真一文字に結んだ唇を
和らげなさい 微笑みなさい

〜かわもとひろのぶ 2005年作品 『希望の船出 』〜

暮れなずむ空
一番星みーつけた

 


#111 とりとめのない話
 
2020.11.01up
 
遠いその国の小さな町を歩いて

地図も持たず 時間も気にせず

外の強い光と石の壁の内の冷気

名もない一枚の絵画の静けさ

 
 
August 生まれのSarah姫
お前は我が家の人気者
手を広げて笑うだけで幸せ運ぶ
抱きしめずにはいられない

〜かわもとひろのぶ 1989年作品 『DEAR SARAH!』 〜

言葉の通じない守衛の翁
元気だったかい の会釈を交わしに

 


#110 小春日和
 
2020.10.25up
英和辞典 薄葉印刷紙の微かな匂い

所々の小さな挿絵の上に

木漏れ日揺れる 穏やかな秋の一日

 
 
夕焼けに染まる校庭
走るあなたを見てる
何も言わず寄り添って 私も見てる

〜かわもとひろのぶ 2014年作品『少女恋唄』〜

例え  だとしても

そんな構文が 薄紅の秋桜を揺らし静かに風に吹かれて行く

 



#109 ひかり あかり
 
2020.10.18up
 
朝の光は プロローグ
夜の灯りは エピローグ

逆よ

NYを舞台にした恋の映画は
そんな粋な脚本がたくさん

雨の日はゆっくり映画の話を

 
 
部屋の窓からのぞいてる
雪だるまをこしらえる子供たちが
いつか僕のように大切なものを
失う日が来るのでしょうか

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『年末』〜

THE END は
脚本家のお茶目なウインク

 


#108 東京にも空がある

2020.10.11up
 
新しいクラブを作ろうかな

空部

ただ空を見て感動するの
だってこんなにキレイだもん

空手部の彼氏がいたら
そりゃ手抜きだって言われるな

 
 
君はいつまでも 夢をたたえたピアニスト
通りすぎたあとに ユリの花の匂いがした

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『シンガーソングライターの悲しみ』〜

なんか言った? いや なんにも

 


#107 四畳半抄録
 
2020.10.04up
 
早稲田南町 路地裏
春夏秋冬 コタツ出しっぱなしの四畳半下宿

西早稲田 路地裏
春夏秋冬 風鈴ぶら下げっぱなしの四畳半下宿

あの頃という名の記憶

 
 
ありふれた過去と輝く未来が
交わる今こそ 旅に出よう

〜かわもとひろのぶ 2018年作品『僕たちの船』〜

コタツと風鈴
四畳半にはダイアモンドがあった

 


#106 時として
 
2020.09.27up
 
赤道直下 白亜のホテル

広々とした朝の食堂の高い天井でゆっくりと回る大きなシーリングファン

銀食器の音と 紅茶の湯気と
白いテーブルクロスをすり抜ける西アジア系の切れ長な瞳

そこで夢から覚める

 
 
恋するまでは 生まれた意味を 誰も皆わからない

〜かわもとひろのぶ 2017年作品『告白前夜〜決意のNegative Night』〜

夢は現実の対義語ではなく
不思議の同義語だよと

 


#105 時間と水と言語
 
2020.09.20up
 
時間というのはな プブリウス
灰色をしてるんだ
北国の空みたいに
それとも 北国の波みたいに

レニングラードの空を想いながら
遠い異国の地で 後世に残した一冊

時間と水と言語は同義

亡命詩人と還暦のシンガーソングライターは同じ情景を見ているのかもしれない

 
 
踞る若者は鉛の靴を履いて旅をしてたのさ
悲しい過去を捨てる場所を探して長い旅をしてたのさ

〜かわもとひろのぶ 1983年作品 『鉛の靴と銀の夢』〜

ヨシフ・ブロツキーは
時こそが神なのではないかと

 


#104 優しさについて
 
2020.09.13up
 
病棟の窓から見えたのは
コンビニエンスストアの明かりと
国道入口のさびれた信号機

遠い故郷の蒼い山の稜線と
夏の日の白い校庭を独り想い
 
 
のろまの長距離ランナーは何故走るのだろう
誰も走れと云わないし
目の前に栄光があるわけでもない

かわもとひろのぶ 1978年作品『のろまの長距離ランナー』〜

からだに気をつけるんだぞ

何言ってんだか
 


#103 思い出ばなし

2020.09.06up
 
白い四角の固形石鹸

そう言えば 随分久しぶりだね

昔は毎日一緒だったのに

忘れたわけじゃないんだけど

 
 
心で泣いて微笑んだ
とうとう君にも恋人が
祝うこの手の温もりが
不意に虚しく寒くなる

〜かわもとひろのぶ 1978年作品『泣き虫京子のかぞえ歌』〜

また会えたね またよろしく

 


#102 草枕
 
2020.08.30up
 
かつてそこにあったと思えたそれは

時の流れの中で消えてしまったのか

それとも大人になった心の眼にはもう見えないものなのか

もともとそんなものは無く幻影だったのか

 
 
昔河に流した笹の葉
今はどこを流れる
忙しいのは露天商とお祭り好きの人達ばかり
虚しさ背負って生きてる人の
情けに棹させば流される 流される

〜かわもとひろのぶ 1978年作品『つかさ』〜

草を束ねた旅路の枕で
入道雲に問いかける

 


#101 A day

2020.08.23up
 
朝のカフェ
水しぶきを上げて広い窓硝子の向こう側を何台ものバスが行き過ぎる

夜のダイナー
多国籍な異国語の会話とグラスと
食器の音が心地よいBGM

 
 
終わりのない歌を今日をまた
僕は歌い続ける

〜かわもとひろのぶ 1995年作品『未完の歌』〜

Heinzの逆さボトルのマスタード
特別なことは何もない特別な一日

 


#100 廻送列車
 
2020.08.16up
 
田舎の小さな美術館 一枚の油絵

夕日の中を走る廻送列車

誰も乗せていないのに
通り過ぎるだけなのに

 
 
September September
September September
九月の空に
雲が雲が雲が雲が ちぎれるように

September September
September September
離れてゆくよ
君が僕が夢が愛が ちぎれるように

〜かわもとひろのぶ 1983年作品『九月の空』〜

しまい忘れた時間だけ回想させる
静かな一枚の油絵 古いラブソング

 


#99 The Way We Were
 
2020.08.09up
 
洗練 完成された作品ばかりが
名作なのではないのかもしれない

現実はもっと不格好で未完成

現実に擬えることはないけれど

 
 
横恋慕するほど胸狂おしく
きっと今夜もまた眠れない
眠れない

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『あの娘に横恋慕』〜

あの頃のふたり もう懐かしい日々

 


#98 強がり
 
2020.08.02up
 
砂埃が流れてゆくグランド

昔よりずっと低い鉄棒

係だった百葉箱

時は移ろい 心は虚ろい

 
 
テニスラケットと教科書をかかえ
キャンパスを駈けてゆく姿を
幾度か見送った
青空の下で白いシャツを着て
輝くあなたを後ろから
いつも見つめてた

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『愛を伝えたい』〜

その場所で
会いたい人がいるけれど

 


#97 フランドルの海
 
2020.07.26up
 
夏の読書

といっても朝から大降りの雨

紅茶を沸かしながら
表紙の挿絵の誘いに遊ぶ時間

遠く見知らぬ フランドルの海へ

 
 
さぁ瞳を閉じて最後の口づけだよ
大人になりたくないね
それが別れの言葉
傷つきたくない僕等の気まぐれ
あぁ明日も続く

〜かわもとひろのぶ 1984年作品『袋小路』〜

毎日歩いた通学路
あの頃気づけなかった幾つもの景色

 


#96 質感の喪失
 
2020.07.19up
 
効率や便利の盲目的な追求の時代

引き換えに失ったものは
五感で得られる質感かもしれない

繋いだ手 耳元の囁き 髪の匂い 
 

 
 
黒塗りの電信柱にしがみついて
かすかな声で啼いていた
季節はずれのセミ時雨
思わず僕は立ち止まった

〜かわもとひろのぶ 1976年作品『眠れ!小さき者たち』〜

砂漠を旅する古い本
紙のページの上に 今年も夏が降る

 


#95 出会い
 
2020.07.12up
 
作品に連れて行ってもらった世界

その出会いがなかったら どんなに
味気ない旅路だっただろう

夢も憧れも切なさも
みんなそこにあった

 
 
腕立て10回 腹筋10回 腿上げ10回  3セット
おまけに空までサンセット

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『食前のトレーニング』〜

出会えたことに感謝
良い作品 大切な場所 大切な人

 


#94 国境の町
 
2020.07.05up
 
夕暮れ近くに 辿りついた国境の町

人の歴史のこちら側と向こう側
繋留されたボートの旗を揺らす風

痩せた犬を連れた異国の老人が
過ぎ去るということを語るかのように

 
 
あぁ敷きっぱなしの布団の上で
難しい本ばかり読んでいないで
光のシャワーを浴びたなら
取り戻せるだろう 優しさと夢を

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『くたばれ涙くん』〜

あの日 水遊びをしていた少女は
もう大人になったことだろう

 


#93 一輪挿しの花
 
2020.06.28up
 
すべての旅人の薬籠には

時の流れ 故郷の青空 恋人の笑顔

傷ついても くたびれても

知らず知らずのうちに

 
 
ロシア文字まじりのしゃれた手紙
読み返す瞳で女になる
日射しの色は肌に宿り思いは遥か

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『スゥスゥ』〜

一輪挿しの花の向こうに
また小さな心の旅をしている

 


#92 徂徠豆腐
 
2020.06.21up
 
江戸の儒学者 荻生徂徠と豆腐屋の
人情噺 落語

言葉を聞く 言葉を味わう

豊かな四季と連綿とした庶民文化

そんな国に暮らしている

 
 
インスタントな恋に堕ち
ソープランドで愛を買う
悩み続けるNight & Day
ナルシストになりそう

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『傷だらけの履歴書』〜

心の旅人
晴雨 昼夜 寒暖 どこ吹く風

 


#91 尊きもの
 
2020.06.14up
 
鉛の心臓と力尽きて死んだツバメ

それは19世紀 オスカー・ワイルドが幸福な王子で著したメッセージ

 
 
空よりも遠いあの場所へ
誰よりも早く届いた 誰よりも早く届いた

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『夭折』〜

人の数だけの笑顔

降り続く雨が そっと そう告げる

 


#90 What do you want?

2020.06.06up
 
悩み上手な現代人

確かなもの と 大切なもの

手探りで歩いて来た道

唯一確かなもの

 
 
それでも僕等は歌うよ
虚しさに打ちひしがれて
あの娘のいない帰り道を
もう忘れたふりをして

〜かわもとひろのぶ 1976年作品『淋しすぎたコンサート 』〜

What do you want ?
恋愛映画のシンプルな名台詞を
反芻する午後の青空

 


#89 島影
2020.05.31up
 
初夏 茫洋とした視界

連絡船の甲板の忙しない風

夕焼けを溶かし始めた水面の先に

流れて行く幾つもの蒼い島影

 
 
堕落しとるぞ退廃しとるぞ
もちょっとしっかり勉強せにゃいかん
わかっちゃいるんだお父様
だから明日までに生活費を振り込んどいて

〜かわもとひろのぶ 1981年作品 『当世書生気質’81』〜

一冊の本と着替えだけ鞄に詰めて
まるで あの頃みたいに

 


#88 色鉛筆
 
2020.05.24up
 
色鉛筆の中に
東京という気まぐれな色があって

寡黙だったり饒舌だったり
冷たかったり優しかったり

悪戯っ子の絵に仕上げる

 
 

寝苦しい夜にせつない夢を見たよ
他の男に肩を抱かれて笑う
振り向きざま刺さる突然の胸騒ぎ
心は遥かなる土地へテレポート

〜かわもとひろのぶ 1984年作品『Mary Lou !』〜

まるで新しい朝が生まれたように
昨日と違う光の粒を描く

 


#87 心潤う時間
 
2020.05.17up
 
What took you so long ?
なぜこんなに回り道をしたのか?

男と女の心を訳したような
古い映画の字幕

翻訳という芸術

 
 
叶うならもう一度だけ
君と出会ったあの頃へ
帰りたい ああ帰りたい
時は夢のように流れゆく

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『6月のピエロ』〜

まだ教わることばかり
まだまだ知らないことばかり

 


#86 漂泊の想い
 
2020.05.10up
 
白壁に被さるブーゲンビリア

朝陽の柔らかな中庭に抜ける

浅い石畳の階段に動かない時間と

閉じたページから動けない気持ち

 
 
改札口から吐き出されてくる
群衆は皆同じ疲れた顔をしてる
何かを我慢して生きるのか
何かを諦めて生きるのか

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『悲しき遊戯』〜

Never too late
そして急ぐこともない旅

 


#85 Ave Maria
 
2020.05.03up
 
シューベルトでもグノーでもなく
カッチーニのアヴェ・マリアが
遠くに聴こえる特別な皐月

願い 祈り 無垢な思いを風にのせて

 
 
逆光線を浴びた君のからだ
やがてひとつの線になり
触れれば柔らかい天使のような
羽根が生えているかもね

〜かわもとひろのぶ 1983年作品『Miyukiのテーマ』〜

店先の夏野菜の彩り
きっといいこともあるからって

 


#84 紅茶時間
 
2020.04.26up
 

本を読むことに眼が疲れ

のんびりと ゆっくりと 徒然に

幼い頃のことを思い出してみる

春の少し風の強い午後

そんな作業も悪くない

 
 
僕 君のこと本当は好きだった
でももういい もうかまわない
たくさんの人を傷つけてまで
君のこと愛そうなんてもう思わない
悲しみも歓びも みんな同じ
一つの箱の中

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『友情』〜

初恋 最後の恋
春の少し強い風の中で

 


#83 ゆく船
 
2020.04.19up
 
いつもと同じ時間

同じ通り 同じ景色の中を歩く

この船の積荷は何

この船の次の寄港地は何処

 
 
バイバイ ミセス マンデー
手を広げて 肩をすぼめて 笑いなよ
バイバイ ミセス マンデー
生き急いだ 僕を優しく 抱いたひと

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『バイバイ ミセス マンデー』〜

感ずれば足る 論ずべからず

 


#82 きっとまた
 
2020.04.12up
 
鉄橋を渡った河口近くの駅舎

花壇と客待ちの一台のタクシー

8月の終わりの祭りの日を基準に

時計の針が正しくまわっている

 
 
人間一人が生きてゆくのが
あの娘の笑顔を失くした時
そんな簡単じゃないと知った
そんな君はメロディ メーカー
嘘のつけないメロディ メロディ
メロディ メーカー

〜かわもとひろのぶ 1976年作品『メロディ メーカー』〜

Life is full of obstacles
きっとまた笑顔に逢いに行くから

 


#81 すぐ近くに思えた季節
 
2020.04.05up
 

教会の鐘の音で朝を迎える常宿

懐かし色の空 乾いた柔らかな風

読みかけのまま床に落ちた本

気になった語彙の頁の端を折る

 
 
かけがえのないものたちも
手のひらからこぼれてゆく
今、僕があなたを抱く
小さくなったあなたを抱く

〜かわもとひろのぶ 2019年作品『おかあさん』〜

その青さは恋しさを紡ぎ
さまざまな強がりを塞ぐ

 


#80 かわもとひろのぶ
 
2020.03.28up
 
確かそれは目黒のライブハウス

時代はまだ 24時間戦えますか

疲れていた心とからだ

最後列の長椅子でひとり聴いた
かわもとひろのぶの歌とピアノ

 
 
夕陽を背に砂浜駆けるきみが海に溶けて
恋をしてたふたりはいつのまにか大人になっていた

再掲 〜かわもとひろのぶ 1986年作品 『僕等について』〜

もう少し頑張ろうと思ったあの日

 


#79 Forza Italia
 
2020.03.22up
 
マルチェロ・マストロヤンニ
ソフィア・ローレン主演
1970年 かの名作映画 ひまわり

芸術 スポーツ 食文化

どれほどの元気と心の豊かさを
この国から享受しているだろう

底抜けに陽気な人々に
敬意を表して Forza Italia

 
 

互いの気持ちに気づかぬふりで
過ごしてたあの季節
いつ始まっていつ終わったのか
今ではわからない

〜かわもとひろのぶ 2015年作品『セブンスターの箱が空になるまで』〜

イタリア、フランス、ソビエトの共同製作

国境は少なくとも 心の境ではないのだと
 



#78 雨の街を
 
2020.03.15up
 
キレイな雨の街 人影のない公園

気まぐれに現れて
明日には消えてしまう水溜まり

ぼんやり見つめているだけで
懐かしい優しさを思い出す

 
 
あぁそんな素敵な大根足では
とても自転車のうしろには乗せられないねと 笑いながら僕が云うと
怒ったふりをして 君はほっぺた大きくふくらませたね

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『あれが僕の妹の京子です』〜

私も 捨てたもんじゃないでしょ
すっぴんの春の雨空が笑う

 


#77 時間と場所
 
2020.03.08up
 
旧ソ連からアメリカへ亡命後
1987年にノーベル文学賞を受賞した詩人 ヨシフ・ブロツキー

残された一冊の絵本
ちいさなタグボートのバラード

比類なき抒情性との邂逅に
しばらくのあいだ動けない

 
 
立てては崩す積木のように
これもひとつの人生さ
遊びのあとのけだるさで
あなたは私を抱きしめる

〜かわもとひろのぶ 1980年作品『積木』〜

時間と場所 曇り空の一日
その深潭に ぼんやりと腰掛ける

 


#76 解毒剤
 
2020.02.29up
 
頁を捲る時間 紅茶を淹れる時間

ひとりで居る時間と場所が

解決できることは少なくない

 
 

過ぎし日の歓びよ 懐かしき春よ
走馬燈のように回りつづける
作ろうとして出来た思い出なんか
ひとつもないだろう

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『青春のトランジット』〜

別の道もあった

宵闇の比率が 戯言を解毒する

 


#75 昔日の残響
 
2020.02.22up
 
昔日の雨音を想うように

地図のない旅を続けている

つまるところ その町の光と風が

恋しいのかもしれない

少しだけ明るさの出た海側の空

けたたましい消防車のサイレンに

現実に連れ戻される

 
 

テレビに育てられ 嘘の色を教えられ 見分ける力もなくなっちまった

〜かわもとひろのぶ 1978年作品『昭和のおとし子』〜

美しいものほど

言葉に置き換える術も必要もない

 


#74 神様の悪戯
 
2020.02.16up
 
神様の悪戯

国道沿い 遠い日の落し物

何を感じて生きてきたの

何を信じて生きてきたの


漕ぎ続けた櫂に 休息を告げる紫

 
 
淋しいからというそれだけで
求めたわけじゃない
かわいいサリー

〜かわもとひろのぶ 1983年作品『そばかすサリーの物語』〜

綺麗な眼差し

脚本は無邪気な神様の悪戯

 


#73 海辺の町
 
2020.02.09up
 
早朝の長距離バスターミナル

別れを惜しみ抱き合う若い恋人

ハンチング帽の痩せた老人

静けさ以外に何もない海辺の町

 
 
淋しい時は海に来て 君に語りかけるよ
僕の育ったこの町へ 君も一度おいでと
愛を語るにはまだ若すぎるから今は
沈む夕陽を見つめ片寄せ合っていたい
歌をうたうよ 君のために 君のために

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『海からのうたごえ』〜

あと何度 キミに会えるだろか

 


#72 あるスケッチ
 
2020.02.01up
 
広場の噴水に戯れるこども達の声

乾いた石畳の先 山肌のオリーブ畑

ナトリウム灯の橙色が洩れる食堂

 
 
君のために僕がつくった歌も
もう明日からは聴く人もない
背中を向けた時 他人になった
君の心には もう住む場所がない

〜かわもとひろのぶ1981年作品『誰も教えてくれなかった』〜

そこに在るモノは同じ
見えるモノは 人それぞれ

 


#71 遠い昔のこと
 
2020.01.26up
心静かな冬の午後

思い出す優しさは淋しさに変わり

気づけばまた 坂の多いあの町へ

ひとり旅支度

 
 
忘れたわけじゃない
あの頃の風の匂い 夕焼けの物悲しさを
忘れたわけじゃない

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『ノスタルジア』〜

それはもう遠い昔のこと

 


#70 静寂
 
2020.01.19up
 
忠実な犬と 愛し合う恋人の映画

エンドロールが流れる時間は

涙目を回復するには短過ぎる
 

 
間違えだらけの歌をくちずさんで
褒めても貶してもお前はよく笑う

〜かわもとひろのぶ 1980年作品『20歳の階段』〜

抗うことない静寂

ひとりでいるふたりの時間

 
 


#69 帰りたい場所
 
2020.01.12up
 
ニューヨークの少し沖合い
マサチューセッツ州マーサズヴィンヤード島スクイブノケット岬

一番心安らぐその場所で
ジェームステイラーは最高の時間を過ごした

 
 
ひとりでホリディ 過ごすのはつまらない
ポニーテール 恋をしてる あの娘に会いたい
十七歳の頃 初めて会ったときめきを忘れない

〜かわもとひろのぶ1986年作品『正しい休暇の過ごし方』〜

酸素呼吸 散歩呼吸
心安らぐ 心優しい 帰りたい場所

 


#68 春までのあいだ
 
2020.01.05up
 
行き交う車の ヘッドライト
テールライト

咀嚼しきれず持てあます夜の余情幽玄

 
 
“優しさだけで生きてゆけたら”
とても淋しそうに
君は僕にいつか云った

〜かわもとひろのぶ 1978年作品『とても短いドラマ』〜

星のかわりに夜ごと ことばに灯りがともる

イタリアの詩人 ウンベルト・サバ

春までのあいだ 古い詩集を鞄に

 


#67 思いの丈
 
2019.12.29up
 
言葉は思いを伝える術ではなく

思いは言葉を超えて伝わる

それは単なる幻想だろうか
 

 
屋根のない駅に足を踏み降ろした時 都会で覚えた歌が口をついた

〜かわもとひろのぶ1978年作品『砂上の楼閣』〜

不器用な生き方を

懐かしむ時がやがて来る

 


#66 冬空の手紙
  
2019.12.22up
 
薬罐からの湯気

セイロン茶葉の綺麗な琥珀色

下書き保存のまま 削除された手紙

 
 
明日になれば何かいいことあるかもしれない
なければそのまた明日に心を託して 生きてゆけばいいと

〜かわもとひろのぶ 1980年作品『So Long』〜

現実が真実とは限らない
文字の無い冬空の手紙

 


#65 弾き語り
 
2019.12.15up
 
花瓶に水を注ぐように
時間に命を与えていた

あの人がうたうあの歌が好きだった

 
 
あなたの影を見てると
遠い昔を思い出す
あれは恋の話 あれは恋の話
この世はサーカスさ
道化師の生きる道なんざ
ピエロ以外に何がある

〜かわもとひろのぶ 1976年作品『僕は道化師』〜

東京という異国に
あの人が残していった優しい歌

 


#64 旅の記憶
 
2019.12.08up
 
旅の記録はなく
あるのは旅の記憶だけ

通り過ぎたこと
思い起こせば 旅は楽しかった

 
 

暗い時代に疲れて見上げたシカゴの空は
泣き出しそうだったんだよ
独りぼっちだったんだよ
温もりなしには暮らせない
そう思い知ったんだよ

〜かわもとひろのぶ2016年作品『ポール・ハリスへの手紙』〜

そこから先は
一番簡単な問いに答えの出ない旅

 


#63 ある日の夕暮れ
 
2019.12.01up
 
At your own pace
At my own pace

たぶん もうわがままでいい
自分の思う通り 感じるままに

次の交差点を曲がろうか
それとも

 
 
生きてるんだね
楽しそうに笑う彼女を見ると
本当にそう思ってしまう
暖かいものが流れている
そんな気がする

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『彼女の指』〜

好きなことをやりなさい

いつもそんなふうに

 


特別寄稿「かわもとひろのぶワンマンライブ#12プチレポート」
 
2019.11.24up
 
自称ファンクラブ会長でありながらここ1年ほど足を運べておらず、

久しぶりの今日のライブ、とても楽しみにしていました。

全16曲中、7曲が1970、80年代の楽曲。それ以外は2曲の新曲も含めここ最近5年間で発表された楽曲でした。

ティーンエイジの頃に見えた景色、二十歳の頃に見えた景色、

59歳の今見えている景色。

当然そのときどきで 違った景色が見えていて それを大人になるとか

年老いるとか いろんなふうに言うのかもしれないけれど、、

いずれにせよ変わらないことは、そこで感じたことを言葉に置き換えてメロディに乗せるという作業をあの頃もいまも かわもとひろのぶというシンガーソングライターは ただひたすら、あまりにも愚直に続けているということかもしれない、と。

その愚直に言葉に置き換えられた情感を誰かの心に届けたい、突き刺されと、これまた本人は愚直に心から願っているわけですが、 その誰かが特定ではなく不特定であるという条件のもとであれば 、もう十分に届いているし、突き刺さっています。

本編の一曲目、てんびん座の女 。

なーんだ、いつものあの歌か、と退屈して聴いた人はいなかったと思います。
来場者の方々も 少なからず迫り来るものを感じて心を 動かされた、つまり図らずも突き刺ささってしまっていたのだと思います。 ばきゅーん、うっ、やられた、、、と。

好きな色は青

嫌いなのは嘘

生まれたのは秋

それから好きな人はあなた


二十歳の頃に見えた景色はどんな景色でしたか?

いま見える景色はどんな景色ですか?

そんな問いかけを投げかけながら

ひとつひとつの楽曲、コンサートは終わりを告げました。

かわもとさん、ご出演の皆様、

心に残る素敵な時間をありがとうございました。また次のライブを楽しみにしています。

 
 
「てんびん座の女」動画はこちら
 


#62 冬の読書
 
2019.11.24up
 
北風の冷たい季節
寒い北国を気ままに旅する

雨が物静かに降る夜
一冊の本は優しい恋人のよう

 
 
あぁこの部屋に
セピアの光射し込めば
あぁ色褪せて
影絵のようになるふたり

〜かわもとひろのぶ 1984年作品『Farewell to our tiny happiness』〜

心の旅
どこでどんなふうにしていても

 


#61 香港という時間
 
2019.11.17up
 
東京の空き地 工事現場

連続する景色の中の確かな一コマ

きらめく水面を半島から島へ

かって暮らした香港の移り変わりを想う茫洋とした時間

眼に映るもの 心に映るもの

 
 
君の祈ることが僕の祈ることと
同じであればと思いながら
横須賀線で帰る東京
君は淋しくないだろうか

〜かわもとひろのぶ 1978年作品『駅前伝言』〜

背中越しに渋谷駅行きのバスが
通り過ぎる

 


#60 愛について
 
2019.11.10up
 
定義すら曖昧な不思議な言葉

世界は I love you で溢れている

一知半解

感情はそもそも輪郭を持たない

 
 
寡黙な季節 紅挿す君が
大人になれば 少しせつなく
激しい雨に立ち向かう日も
いじらしかった いじらしかった

〜かわもとひろのぶ 2019年作品『追憶』〜

1971年アメリカは歌った

I need you

 


#59 白い花
 
2019.11.03up
 
何も特別じゃない時間

どこにでもあるビルと空の影絵

共鳴する街のざわめき

 
 
ひとりひとりは優しいくせに何故戦うのだろう
平和のために争うなんて少しおかしいね

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『異国の友』〜

白い花はいつか散り
そして いつも想うだろう

午後の風に吹かれて

 


#58 天平の甍
 
2019.10.27up
 
晴れた週末の朝

新聞に懐かしい展覧会の知らせ

悠久の歴史

雲がゆっくり空を流れて行く

 
 
傷つき易さを売り物にしないで
腕を組み考えてばかりいないで
自分の生き方に誰の許しも請わない 決して上手く笑おうと思わない

〜かわもとひろのぶ1986年作品『東京通信其の壱』〜

あの日と同じ場所 あの日と同じ掌あの日とは別の時間

 


#57 夜行列車
 
2019.10.20up
 
深夜のプラットフォーム
時計の明かり 人影のないベンチ

窓の外に流れて行く
時刻表に記載のない時間

 
 
心のままに生きていた時
たくさんの人を傷つけた
心を抑えて生きてみた時
どうしようもなく自分を傷つけた

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『悲しみの舵をとれ』〜

これでいい
そう言いきかせて 眠りに落ちる

 


#56 大切なひと
 
2019.10.13up
 
恋人 夫婦 愛人 友達

男女の関係に辞書にある言葉は
さして意味を持たないことを映画は教えてくれる

 
 
紫色に暮れるたそがれ時は
人恋しいよね 誰も皆
淋しさをかかえてるから
君に会いたい そばに居るだけでいい
忘れないでね 僕の声
愛の歌 うたうから

〜かわもとひろのぶ 1981年作品 『街角のオアシス』〜

大切なひと

エンドロールの中でいつも映画は そのことだけを教えてくれる

 


#55 表現力との邂逅
 
2019.10.06up
 
親指に力をこめて踏みしめると
足の下で密度が生まれる音がした

写真家 鈴木理策さんの雪原の朝のこの描写と表現力に心が洗われる

 
 
恥ずかしくなるようなセリフだけど 誠実で そして太陽みたいで

光差す梅雨の晴れ間 謹んで
あなたの娘になります

〜かわもとひろのぶ 2017年作品『父娘日和』〜

表現力との邂逅

今日も随分歩いたなと 独りごつ

 


#54 昼下がりの呟き

 
2019.09.28up
 
花びらを透かして見上げた春の空
車窓に海がきらめいていた碧き夏

早いもんだな

誰もがそう呟きながら
子供の悪戯書きのような絹雲の下
同じ時代 同じ時間を過ごしている

不思議なもんだな

 
 
影も見えない港はたそがれる
半ソデには少し寒いふ頭を渡る風
あと15分 もうあと15分
待ち疲れて赤い靴は奇蹟を起こさないみたい

〜かわもとひろのぶ 1982年作品『赤い靴』〜

薪木を集めるように 冬に読む本を

早いもんだな 不思議なもんだな

 


#53 がんばろう
 
2019.09.22up
 
疲れたとき
気持ちに余裕がなくなって
視界が狭くなり

そうわかってさえいればきっと大丈夫

被災の悲しみに 病との戦いに
泣かないと決めた人がいる

負けないよう

 
 
向上心とか愛とか恋とかまどろっこしくて とうの昔に捨ててきたのさ

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『京浜賭博地帯』〜

いろんな道 いろんな生き方

 


#52 As you are
 
2019.09.15up
 
まとめない

何も否定しない

想い出も いまも この先も

ありのまま 感じるまま

 
 
面影橋から徒歩5分
グランド坂を横切って
飾り気のない佇まい
それが好ましい
その店の名前は
ラララ キッチン馬鈴薯

〜かわもとひろのぶ 2015年作品『キッチン馬鈴薯』〜

そうやって 過ごしてきたのだから

 


#51 百年 一日
 
2019.09.08up
 
格子窓の向こうで過ぎてゆく夏

ただそれだけの時間

吉祥寺の 百年 に久しぶりに出かけ

一日 で美味しそうな本漁り

 
 

好きだったはずのBeatlesの歌さえも忘れかけた秋の午後
Rainy Concert 秋の淋しさの中で
Rainy Concert 雨の音はお前の歌
コンサートが終わった誰もいない部屋で歌を書いた

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『Rainy Concert 』〜

いま瞼に映っているものは
何だろう

 


#50 午後3時 蝉時雨
 
2019.09.01up
 
眩しく見えたり 寂しく見えたり

優しく聴こえたり 悲しく聴こえたり

 
 
失った愛を数えて泣いてばかりいないで
時が消してゆく傷跡なら振り返らずにゆこう

〜かわもとひろのぶ 1982年作品『遅れて来た恋人』〜

あらゆる詩はいつも翌日に書かれる

そんなペソアの断章が重なる晩夏の蝉時雨

 


#49 遠い朝の本たち
 
2019.08.25up
 
ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアを紹介する作家としてイタリアの作家アントニオ・タブッキに出会い タブッキの作品の翻訳者として須賀敦子さんと出会った

ペソアもタブッキも須賀さんも
既に他界

 
 
あぁ君の髪の匂い つないだ手を
あぁ愛して時は過ぎてゆく
サイレントペダルを踏まないで
もう少しの間だけ
くちづけの時間だけ

〜かわもとひろのぶ1981年作品『サイレントペダルを踏まないで』〜

文学 絵画 音楽 映画

作品は時間を遡行する力を持った
作者からの幸せな贈り物

 


#48 かくも長き不在
 
2019.08.18up
 
この古いフランス映画で描かれたのは最愛の人の存在

人の存在とは 人の不在とは

身体の在り処と心の在り処

 
 
無口な男とよく笑う女
巡り合う因果律 モザイクのこの町
億万ピースのジグソーパズルさ
ひび割れた世界地図
花は何処へ行った

〜かわもとひろのぶ 2018年作品『モザイクの町』〜

それはきっと
自身の中の自身の不在でもあり

 


#47 美しく優しく
 
2019.08.11up
 
閉まりかけた地下鉄のドア
滑り込むようにたどり着いた場所

偶然 運命 どちらでも構わない

 

 
素足で歩き続けた波打ち際に
今は西から陽が照りつけて
名もない貝の褪せた色が
光っているだけです

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『瓶詰めの優しさ』〜

欲しかった時間 欲しかった場所

 


#46 訳者あとがき
 
2019.08.04up
 
真夏日の太陽の光に
長かった梅雨はもう忘れさられ

通り過ぎたものが全てそうかといえば よい作品に出会えた後の余韻のような小さなしあわせもあり

 
 

終わりだね もう終わりだね
結んだ指も離れてゆく
凍てつく雨はいつか僕たちの肌を刺す
二人に相応しすぎる旅立ちだった

〜かわもとひろのぶ 2018年作品 『HOTEL IMMORAL』〜

本編以上に訳者あとがきに
心を打たれることもある

 


#45 風の行方
 
2019.07.28up

いまこうして歩くまちを

転がってゆく風の行方は

探し物の在り処のようで

夢まぼろしと知っていながら
 
 
同じ時代に生まれて
繋がりはただそれだけ
それでもきらめいていた
ありふれたくちづけさえも

〜かわもとひろのぶ 2017年作品 『約束の歌』〜


もう少し歩こう
 


#44 ゆらゆら
 
2019.07.21up
 
今年ももうすぐ夏祭り

梅雨明けを待つ宵闇 提灯ゆらゆら

灯の向こうに見つめていた未来
灯に重ねて思い起こされる過去

 
 
少女達はみんなその白い網に
数々の青春を投げてきた
君も投げておゆき
悲しみという名のフリースローを
涙が渇れるまで

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『背番号13』〜

人は知らず知らず
時と会話することを 覚えてしまう

 


#43 濡れた心
 
2019.07.15up
 
濡れた心を持たないと砂を噛むような味気ない人生を送る羽目になる

淀川長治さんの言葉
 

 
教室の窓際のあの美しい景色を
君はいつ思い出すのだろう
青い山も白い雲も忘れられない
散りばめた春の日射しに
君を思う僕の背中
もう二度とあの頃には帰れない
もう帰れない

〜かわもとひろのぶ 1975年作品『背中』〜

ただ映画が好き ただあの人が好き

理由など要らないのねって
きっと淀川さんなら解説してくれる

 


#41 海ガラスの夏
 
2019.07.07up
小さな子供もいないのに
ときどき覗く絵本の棚

小さな子供でもないのに
心救われることがあるから

海ガラスの夏 という素敵な外国の絵本に出会いました
 

 
泳ぎ疲れたあとの眠りを楽しめば
いつかまたたく星空
今日は帰りたくないよね

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『太平洋の片隅で』〜

想い 眠り 夢見て また目覚める

きっとそれも幸せな時の輪廻

 
 


#41 空
 
2019.06.30up
 
空が高過ぎる

そう歌った小田和正

空がとっても低い

そう歌った荒井由実
 

 

でも君に明日の幸せを 約束する力も無いから
何もあげられないのです この歌以外には
だけどだけどわかるはずだろう
僕の云いたいことは
君ともう一度早稲田キャンパスの中 歩けたらいいなと思う
午後六時の空

〜かわもとひろのぶ1980年作品『午後六時の空』〜

今頃 何をしているだろうか

 


#40 旅
 
2019.06.23up
 
西へ東へ

見知らぬ町 初めて歩く道

時間を旅していることに気づく
 

 
羅針盤は遥か未来を指す
僕たちを乗せた船は
舵をとる水夫を乗せないまま
緩やかに港を出た
もう帰れない

〜かわもとひろのぶ 1983年作品『方舟』〜

いないはずの君が
いつもそこにいてくれる

 


#39 後悔なき航海
 
2019.06.16up
 
I have never regretted what I did.
I regret things I didn’t do.

Ingrid Bergman
 

 
あの時の風はとても優しかった
僕が貴方の名前を呼べないように
僕の名前を呼べない貴方
愛していたのです

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『僕の心の腕時計』〜

晩年故国スウェーデンの静かな海に 何を見つめていたのでしょう

 


#38 シェルブールの雨傘
 
2019.06.09up
 
ラストシーン
北フランス 雪のガソリンスタンド

それ以上語らないふたり
語らずとも存在した言葉の数
 

 
別れを選んで背を向けた人なのに
誰よりも懐かしい Wowwow
離れてみてわかる

〜かわもとひろのぶ 1989年作品 『You are my musician 』〜

わかり過ぎていたのか
何もわかりあえていなかったのか

 


#37 小さな子供のように
 
2019.06.03up
目盛りのない時間の中でまどろみ
境界のない色彩の中でたわむれる

電子の時代にイヤイヤをする
小さな子供のように  
 

 
静けさと闘う夜は 息苦しいよね
愛する人の 優しさが欲しいよね
小さな声でもいい 歌っていよう
誰かの心に 何かを運ぶように

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『叫び』〜

広い海の地図 いま船はどこにいるのだろう

 


#36 夏は来ぬ
 
2019.05.26up
 
そう思いそれを選ぶも

ああ思いあれを選ぶも

選んでいるのは自分

 
 
どんな時でも忘れずにいて
ときめいていた出会いを
飾らないおまえがいい
だからそのままでいて

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『Marigold II』〜

思い込みは自分との会話

人生は 思い込みで作られて行く

 


#35 錯覚の中で
 
2019.05.19up
 
統計では一番良い値と一番悪い値は除外してから平均値を出したり

特別に幸せなとき
落ち込んで最悪なときは
判断基準にならない 

 
せつなさは不条理な力学
激しさは抗えぬ哲学
目を閉じてウララ
オゾンを吸い込めば
胸締めつけられて 涙はホロロ

〜かわもとひろのぶ 2016年作品『愚か者のバラード』〜

けれどいまが永遠に続くという
錯覚の中で人は生きている

 


特別寄稿「かわもとひろのぶワンマンライブ#11プチレポート」
 
2019.05.12up
 
今回のライブ#11には残念ながら足を運べませんでした。
(編集・注 日本にいなかったので)

セットリストを見ると、この日演奏された全16曲の内ちょうど半分が21世紀に入ってから作られた楽曲、あとの半分が1980年代に作られた作品でした。

紙飛行機のラブレター1983年
Oh my friend 1986年
賢者の贈り物1986年
ローゼンダール1987年
スゥスゥ1987年
あの子に横恋慕 1988年
京浜賭博地帯1988年
You are my musician 1989年

かわもとさんの音楽の活動期を勝手に分けてみると

第一期:1970年代

高校生 フォークデュオ「在日日本人」活動時代

第二期: 1980年代

大学生 いとでんわ 、早稲田大学 抒情フォーク研究会、その後の都内ライブハウス ソロ活動時代

第三期: 1990年〜2000年代

ほぼ活動空白期間

第四期: 2010年代〜

現在に至る 再活動期

 
 
1983年抒情フォーク研究会入会の私はやはり紙飛行機のラブレターやOh my friend などのイントロを聴いただけでいとも簡単にあの頃へタイムトラベル。

この第二期にはCD化も近年ライブ演奏もされていない名曲がまだまだたくさんあり、今後のライブでの登場を楽しみにしています。

今回のライブ#11のセットリストには入っていませんでしたが、いままで何度もこの湘南ライブで演奏され私も大好きな一曲 『Yesterday 物語』は第一期、かわもとさんがなんと16歳の時の作品です。

作詞かわもとさん、作曲は大竹まことさんこと岩佐敏哉さん。

「時間のレールを過去から走る列車に乗って終着駅まで行くはずだったのに 誰かが乗っては降りて行く 悲しいYesterday物語」

そして 同じ線路シリーズ? 2017年作品 『相模線旅情』を聴いてみる

「相模線は走る 無人駅 わだかまる気持ちを許すように 相模線は走る 雨上がり 門沢橋の空 虹が架かる」

この歌詞の間になんと40年の歳月が挟まっているわけです。ワォ!

相模線旅情のテンポがあまりにもゆっくりなので、

”Yesterday 物語で誰かが乗っては降りて行ったのはもしかして 門沢橋駅だったのか?”

と 思い巡らす時間も十分にある一曲です。(だから?)

第三期は いわゆる空白の、、消えた?年間。

音楽活動から離れていた(と思われる)この時期には基本的に楽曲が作られていませんが、ごく僅かに作品が残されています。。

そんなレアな第三期作品との遭遇も今後のライブで期待してます。

実はかわもとさんに無理をお願いしてライブ#11の音源聴かせてもらいました。

音源を聴きながら 乗ったこともない相模線、行ったこともない 門沢橋 の虹が見えた、、ような、、

ガタゴトゆっくり走る電車のリズムに、、そのまま心地よい眠りに。。

とりとめもないことを書いたついでにせっかくなので次回以降のライブに向けリクエスト!

第一期作品より・・・『背番号13』

第二期作品より・・・『心象風景』、 『夏の終わりに』

第三期作品より・・・『未完の歌』

第四期作品より・・・『好きだよ』

ひとつひとつの歌詞がきちんと届くようにと工夫された今回のライブ (歌詞忘れたりしてましたが!)

一方で ひとつひとつ丁寧に音が紡がれたように心地よく脳裏に届く演奏、音色も大好きです。

かわもとさん、ご出演メンバーのみなさま、今回も 心温まる歌と演奏をありがとうございました。

是非リクエスト曲、ご検討くださ〜い!

 

【かわもと本人よりメッセージ】
 
さすがファンクラブ会長...

リクエストが相当マニアックです(^^ゞ

真摯に検討させて頂きます(笑)
 
 


#34 何もしない時間

2019.05.12up
 
何もしない時間

寝転んで 何もしない時間

そのとき 心に浮かぶことは
きっと一番大切なこと

 
 
初恋の痛みさえ
ふと遠く思えるわ
きっと誰も愛せないと
あの日泣いた

〜かわもとひろのぶ 1988年作品『SA・YA・KA』〜

そのとき 心に浮かぶひとは
きっと一番大切なひと

 


#33 いつも手遅れ
 
2019.05.05up
 
人が時間に遅れるのか
時間が人を追い越すのか

そう紹介されたアントニオ・タブッキの書簡集「いつも手遅れ」を読み終えたとき 読書の順番も 大切な物事の順番も様々間違えていたことに気づく

タブッキはインド夜想曲から入るのがやはり正しかったのか

果たして いつも手遅れ

 
 
明日 故郷へ帰る 洒落た別れ歌を
胸に届けてよ また会える日もある

騒めく街は 今日も暮れ急ぐ
さよならを重ねても 大人になれはしない

来てくれてありがとう
細い糸で繋がろう さあ歌うよ

〜かわもとひろのぶ 2016年作品『いとでんわ』〜


考える時間はあまり欲しくない
感じる時間がたくさん欲しい

ただ話している時間ならもっと欲しい

 
 


#32 実現しない夢の価値
 
2019.04.28up
実現しない夢や憧れも
それはそれで価値があるもの

ずっと気持ちを引っ張って行ってくれる

 
 
夢のカタログ掻き集めたこの部屋の扉を君が叩く
臆病なほど拒み続けたものを
何故君だけが僕にくれるのさ

〜かわもとひろのぶ 1987年作品『ローゼンダール』〜

心の充足は到達することでのみ
得られるのではないのだと

 
 


#31 Nothing but everything
 
2019.04.21up
 
何もないところに全てがある

悟りではないけれど

外国作品のあとがきのように

曇り空が解説をしてくれる

 
 
l love you more than you
愛の深さを君に見せられれば
I love you more than you
言葉が邪魔なくらい
ふたり分かり合えるのに

〜かわもとひろのぶ 1986年作品『僕等について』〜

そこにある全てとは

たぶん サウダーデ

 
 


#30 For a moment
 
2019.04.14up
 
図画の時間が終わると
勢いよく捻った蛇口の下で
パレットの絵の具を筆先で洗った

春夏秋冬 波打ち際は
不思議な思い出の切り取り方をする

 
 
暗くなるまで何も言わずに  Walk around
吐息を少し吹きかけるだけで Crying out
諦め上手な大人にはならない

〜かわもとひろのぶ 1985年作品『波打ち際のアルペジオ』〜

茅ヶ崎ライブ 少し早く出かければ 潮騒はいつでもFree service

 
 


#29 春の歩道
 
2019.04.07up
 
名残り桜の春の歩道で出会った寄せ植え

貴女の名前はノースポール? マーガレット ? デイジー?

己の浅学に苦笑い

 
 
力なくこぼれる砂が君なら
この掌はきっと僕だね
痛みはオブラートやがてせつなく
心の中に染み込んでいる

〜かわもとひろのぶ 1986年作品『モデラート』〜

いつでも明るい花
道端に寄せ植えをしてくれた方
ありがとう
 
 



#28 遠い旅人
 
2019.03.31up
 
古い書店の前を通り過ぎ

夕暮れの街角で信号が変わり

バスのエンジン音が走り去り
 

 
変えられない過去を悔むことより

変えられる未来を変えてゆこう

〜かわもとひろのぶ 2017年作品『相模線旅情』〜

あの日の これからの
 
遠い景色に想いを遊ばせて

 


#27 東京という時間
 
2019.03.24up
 
ゆっくり とてもゆっくりと歩く

いつも話せない自分と話せる

Fin

映画のエンドロールのように

気づけばいつも

街のネオンに笑われる
 

 
幸せな暮らしに慣れた頃

一度は手紙を書いて欲しい

僕の愛し方を変えるため

のろけている方がいい

〜かわもとひろのぶ 1982年作品  『古いラブソングは似合わない』〜


無口になったり饒舌になったり

不思議な街 東京

 


#26 エンジェルアイズ
 

2019.03.16up
 
花屋の店先に
ビオラ(エンジェルアイズ)

ジェニファー・ロペス主演の映画を思い出す

映画に教えられることは殊のほか多い

否定しない強さ
それもこの映画に教わったこと

 
 
いつか肩を寄せて

眺めた海の夕焼け空

もう思い出せない

鮮やかな色も雲の行方も

途切れた愛の記憶の箱の中

優しく裏切ることが出来るかしら

〜かわもとひろのぶ 1982年作品『リタルダント』〜

春を待つ週末の都会の青空
心のテンポも次第にゆっくりと

 


#25 ひだまり
 
2019.03.10up
 
もうすぐ春 Take it easy

気づけばいつも

足元のひだまりが笑っている

 
 
訪ね人もない 静かな午後は
手紙書いてみるよ
出す宛てはないけど

〜かわもとひろのぶ 2017年作品 『ひまわり通信』〜

スクリーンのない映画の様な作品

映像は心の中でセルフサービス

 


#24 費やした時間
 
2019.03.03up
 
エミリー・ディキンソンの詩の一節

Water is taught by thirst
水は渇きによって教えられる

大切さの気づきは普段の生活の中でもしばしば

もちろん水はたとえ

 
 
池に投げた石で出来た波紋の淵で
君が笑ってた
ただそれだけの仲だった
ただそれだけの仲だった

〜かわもとひろのぶ 1977年作品『Windless City』〜

どうして 何もかも こんなに 気づくのに時間がかかったのだろう

 


#23 ありがとう
 
2019.02.24up
 
ビルの谷間の静かな公園

日向ぼっこには まだ少し頼りなさげな冬の陽射し

空の青さに独り感じているもの

言葉には置き換えられない

 
 
いくら話しても話し足りない  夕陽傾いて

「明日また会おう」そう言って いつも別れたね

〜かわもとひろのぶ 2016年作品 『桜の花が咲く頃に』〜

今日も楽しかった一日が終わる

ありがとう

 


#22 巡る季節
 
2019.02.17up
 
宇宙には方位点 円には中心点が
無限もしくは存在しないこと

イタリアの作家アントニオ・タブッキは小説「イザベルにある曼荼羅」の中でそこに真理と心理を
うまく重ね合わせています
 

 
優しさなんて形のないもの
愛情なんて姿のないもの
男と女はそれでも生きている
人間なんて仕方のないもの

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『赤銅色の季節』〜

待つこと 追い求めること
何ごとも残るはわずか

 


#21 雪の朝
 
2019.02.10up
 
かわもとひろのぶがさだまさしのコンサートに足を運んだ

表は雪が降ってる 一面の薄化粧

グレープのデビュー曲 「雪の朝」

折しも東京はこの冬一番の寒さで朝から雪

抒情フォークという言葉があってもなくても さだまさしが かわもとひろのぶが 描き続ける春夏秋冬の心の景色が美しい


 
 
人間の歴史はいつの時も繰り返し
川の流れを見つめる人がただ違うだけ

〜かわもとひろのぶ 1979年作品『片田舎のロマンス』〜

ひとり旅をする人はいない
きっと心に想う人がいる

 


#20 空っぽ
 
2019.02.03up
 
空っぽ

ただ街を歩く

時間を忘れて ゆっくりと歩く

どんな薬より心と身体に効き目あり

空っぽになれる
 

 
願いごとはいつもひとつ
君が君であり続けること
君のために出来ることは
僕が僕であり続けること

〜かわもとひろのぶ 1986年作品『宴の前夜』〜

ひとりでいたいとき
ふたりでいたいとき

 


#19 待つということ
 
2019.01.27up
 
臨床哲学の視点から鷲田清一さんが著された本の題名でもある 待つということ

思えば生まれてからずっと何かを待ち続けて生きていて

かわもとひろのぶCDに同封されている歌詞カード

そこには鷲田さんが現代社会に欠落しはじめたと指摘する 待つということ だけが記されていることに気づきます

 
 
流れる時を止めたい
出逢いの日に戻したい
比べる人のない安らかなあの頃へ

〜かわもとひろのぶ 1982年作品『てんびん座の女』〜

当時 単語の多寡によらず隙間の多い作品を多く残した かわもとひろのぶ

次世代に伝えたい名曲です

 
 


#18 ずっと後になって
 
2019.01.20up
 

読書感想文はすぐには書けない

ずっと後になって気づく

全てはそんなことの繰り返し

感動 愛情 感謝 後悔

いまは少しだけわかる
 

 
大切なものを壊さぬように

二人は生きていたね、、

二人によく似合う言葉がなくて

探し続けていたね

Oh my friend You’re my friend

いつも特別な二人

Oh my friend You’re my friend

君が誰よりも好きさ

〜かわもとひろのぶ 1986年作品『Oh My Friend 』〜

今日が暮れて行く

明日もまた朝が来る
 



#17 青い花
 
2019.01.12up
 
帰り道
季節によらず青い花を買って

探すと見つからない
探すのをやめると気づく心の妙薬
 

 
まだ遅くない間に合うはずさ

心縛るヒモを解き放せば

自由になれる身軽になれる

もう一度奇跡は起こる

〜かわもとひろのぶ1983年作品 『紙飛行機のラブレター』〜

頑張らなくていい
もう充分頑張っているから

青い花のメッセージ

 


#16 リメイク 
 
2019.01.06up
 
映画の話

1939年作Love Affair(邦題 邂逅)、1957年作An Affair to Remember(邦題 めぐり逢い)、1994年作Love Affair (邦題 めぐり逢い)

時が流れてもリメイクが重ねられる作品があります
 

 
いちばん大切なひとは

離れてみればよくわかる

君の涙の向こうには、、

〜かわもとひろのぶ 1981年作品『港で唄う子守唄』〜

懐かしむという心の作業
きっとそれも経た時間の静かなリメイク

 


#15 祈り
 
2018.12.30up
 
クリスマス お正月
春の桜が近づけば 卒業 入学

せめてすべての子供たちが
笑顔でその時間を迎えられるよう

 
 

残された者は

立ちどまるしかない 時を止めて

やがて遡る愛は いつも優しい

〜かわもとひろのぶ1983年作品  『早春のレクイエム』〜

I pray for your happiness .

 


#14 冬の午後3時
 
2018.12.24up
 
右上を小さく三角形に折ってあった短編小説の一頁

「ずっと いつもおんなじように続いていたのに いきなり何もかも変わってしまう年がくる」
 

 
本を読み 眠り
歌を聴き 街を歩く

君のその胸に冬の風吹く日は

心安らかにうたいたまえ

かけがえのない愛の花を

あぁ その手に抱きたまえ

〜かわもとひろのぶ1984年作品  『君のその胸に』〜

なんて無口で饒舌な冬の午後3時
 



#13 変わらないもの
 
2018.12.16up
 
水気のない枯葉がカラカラと
舗道を転がる少し風の強い午後

昨夜読み終えた何冊もの読みかけの一冊の余韻
 

 
幾度抱きしめた君のその身体

誰より愛しくて

僕を少年のときに連れ戻す

その柔らかさ

少しずつ空が高くなる

〜かわもとひろのぶ1982年作品  『大いなる坂道』〜

昭和、平成、つぎの時代

移ろい行くもの 変わらないもの

 


#12 それぞれの時間
 
2018.12.09up
 
夏の灼熱 冬の力のない陽射し

都会には都会の季節の色

人影少ない休日のアスファルトには 光の粒が悪戯な顔をして散らばっています

心をリセットする時間と空間

 
 
思い出したことは みんな心に流れるメロディが

とても遠くへ運んでくれた

影がずっとずっと 静かに僕を包んで

もう影踏みが出来なくなった

〜かわもとひろのぶ1977年作品『12月の影踏み』〜

今年ももうすぐ年の瀬

それぞれの師走 それぞれの時間

 


#11 見上げてごらん
 
2018.12.02up
 
夜の星もいいけれど
見上げてごらん
朝の空を 午後の空も


誰しも忙しい師走
気持ちの余裕がなくなって
寒さに筋肉もこわばって
視界も狭くなって

転んで骨折したりしたらタイヘン
 

 

あぁ 暮れゆく空高く

一番星見つけたと

無邪気に指さす君の

素直さを失くしちゃいけないよ


〜かわもとひろのぶ 1979年作品 『薄暮の街』〜


縮こまった身体と気持ちに気づいたら 深呼吸をしてみよう

あの日と同じ冬の空を見上げて



#10 心のバランス
 
2018.11.25up
新しいCDオールドルーキーに嬉しい選曲がありました

あなたらしさを失くさずに

いつも笑顔を忘れずに

愛を囁く言葉なんて

ありふれていてもいい

〜かわもとひろのぶ 1982年作品 『Twenty One』〜
 

 
片想い すれ違い
それも心のバランスのひとつ

副題のあるこの作品が僅か4曲の選の一曲となっていたことが
何故かとても嬉しかったです
 



#9 美術館
 
2018.11.21up
 

たぶん年齢相応に見える景色も
見たい景色も異なるのでしょう

美術館で過ごす静かな時間

瞳に映っているのは絵画そのものなのか その向こう側なのか  
 

 
やがて空は高く波は微かに凪ぐ

眠りから目覚めて

確かに僕は泣いている

〜かわもとひろのぶ1984年作品 『感傷海岸』〜

歌も絵画も純度の高い作品は
ダイヤモンドの如く
無責任に心を彷徨いに誘います
 



特別編 かわもとひろのぶライブ#10 ライブレポート
 
2018.11.12up
 
早いもので 「加齢なる復帰ライブ第一弾 かわもとひろのぶ 53歳の抵抗」が春の江の島虎丸座で催されたのが5年前のこと。

着地点未定のまま時は流れ、今日もかわもとライブ史上2番目の大入り、空席以外はすべて満席(本人解説^^)の中、楽しいライブが開催されました。

いつも通り来場された方々がそれぞれの聴き方でかわもと作品と接し、様々な感情移入をして時間を過ごしたのだと思います。 

直木賞作家であり早稲田大学で教鞭を執る重松清氏の楽しく懐かしい話、そして心温まるエールも手伝ってか、今日改めて思ったのは あの頃早稲田で同じ時間を過ごせて幸せだったこと、そして今日もこうして同じ時間を共有できて嬉しかったこと。

21世紀になってから作られた楽曲のリメイク盤として会場で販売されたCD『着地点未定』

かわもとさん本人のみならず、私も含めた会場の皆さん全員もきっと 着地点未定のまま人生を楽しみたいと思っていて 今日の楽しいライブ&トークショーも その道のりに素敵な彩りを添えてくれたように思います。

早稲田に行って良かったなと、アンコールも含め全16曲の今日のライブの間ずっと繰り返し繰り返しそう感じていました。

こうして今日も充実した気持ちにさせてくれた かわもとさん、出演者の皆様、心よりありがとうございました。

また半年後、素敵な演奏を聴かせてください、楽しみにしています。
 


ライブ#10 「オールドルーキー」 セットリスト

 

 
【第一部】
ひまわり通信/Goodbye Mr.スローバラード/セブンスターの箱が空になるまで
桜の花が咲く頃に/勇気ある船出/Hotel Immoral

【第二部】
スタートライン/てんびん座の女/約束の歌/相模線旅情
京浜賭博地帯/キッチン馬鈴薯/父娘日和/モデラート

【アンコール】
紙飛行機のラブレター/You are my musician
 


 
 


#8 メダル オブ ドリーム

2018.11.05up
 
いまはもう秋 誰もいない海

さまざま懐かしさを感じながら歩く 穏やかな秋の一日

水彩画家 アンドリュー ワイエス

はじめて目にしても
どこか懐かしさを感じさせる作風

リアリズム 何より弱者の味方という点で不思議なくらいかわもと作品との共通点を感じます
 

 
詩人になるよりは絵描きになりたいと

私は何度思ったことだろう

〜かわもとひろのぶ1981年作品  『饒舌』〜

1963年
JFケネディ大統領の決定によってメダル オブ ドリーム(自由勲章)がアンドリューワイエスに授与されました
 


  
#7 中森明菜
 
2018.10.27up
 
中森明菜の歌声を聴きながら

都内を散歩するのが好きです

駅周辺の雑踏を少し離れれば

そこにはもうひとつの素顔の

都会の景色があって 春夏秋冬

まるで森林浴のように深呼吸ができます

 

湖の上に舟を浮かべて

水面揺れる木の葉

ふたりして眺めてた

抱き竦められて息も出来ずに

受けた熱い唇 いまもなお忘れない



〜かわもとひろのぶ 1982年作品  『Goodbye Mr.スローバラード』〜

いつの日かと思いながら

人はいつの日も いつまでも

 


#6 ただ海を見に行く
 
2018.10.22up
 
ポルトガルの詩人 フェルナンド・ペソアは全く人格の異なる数名の異名でも作品を残しました

その異名のひとり、自然派詩人 アルベルト・カエイロ の詩(抜粋)

大切なことは 自然で穏やかでいること 幸せのときも 不幸のときも

見るように感じ 歩くように考えること そして死が迫ったら一日にも終わりがあることを思い出すこと 


記憶のヒダに眠る蒼い影は黄昏

遠くを見るあなたの瞳が泣いているようで

〜かわもとひろのぶ 1985年作品  『Just an only love song』〜


ただ海を見に行く

時には そんな週末も
 



#5 フォトグラフ
  
2018.10.14up
 
薄紅の秋桜

そういうだけである歌を思い出す

アルバムの幼い頃の写真

そこに映る懐かしい小さな自転車はとっくにもうないけれど

干からびて割れたハンドルのゴム

雨晒しで錆びついた金属部分のザラザラ

そこに触れたあの日と同じ指先が まだそのままここにある不思議さ

そう幼い初恋の日 繋いだ手

 

もし君に出会わなければ

本当の孤独知らずにいたよ

笑うはずもないフォトグラフ

今夜も抱いて眠る

〜かわもとひろのぶ 1986年作品  『心象風景』〜
 


 
#4 心の距離
  
2018.10.08up
 
今年の春 ハンガリー、ブタペスト郊外の食肉処理場を舞台にした「心と体と」という印象的な映画を古い映画館で見ました

例えば 電話のベル 、電話ボックス

少なくとも流行歌の歌詞としては時代の役割を終えた言葉たち

インターネット夜明け前の あの頃と いま

男女の心の距離はどう変わったのでしょう

 

 
水を噴き上げることもない老いた噴水

背もたれの壊れたベンチ

もう文字の読み取れなくなった古い時刻表

〜かわもとひろのぶ 1978年作品  『落葉前線』〜


近いようで遠い 遠いようで近い

男と女の心の距離

 


#3 秋の訪れ

 
2018.09.29up
 
晩年を茅ヶ崎で過ごされた開高健さん、愛すべき不良番長椎名誠さん、早稲田の大先輩 野田知佑さん

忙しい頃、そのキャンプや川下りの愉快な紀行文でよく束の間の心の旅をさせてもらいました

晴遊雨読が正しいと言わんばかりのお歴々

時が経ち、図らずもまだ忙しい

いま鞄の中には
「冬の犬」
アリステア・マクラウド著
中野恵津子訳

 
いくつもの季節が頼りなく過ぎても

記憶の糸を辿ればいつも貴女の笑顔がある

〜かわもとひろのぶ1984年作品 『Yes , I will』 〜

好きなひとを想うこと、
本を読むこと、音楽を聴くこと

青空と雨空が日毎に入れ替わり

今年も秋の訪れ

 

 
#2 ブラタメリ
 
2018.09.21up
 
都内を散歩していると時々思いがけない景色に出会います。

新国立競技場

もうこんなに出来ているのですね。なんだか少し感動。



その日のために準備を怠らず
歓喜の輪の中で熱く燃え
静寂に戻り自己を見つめ返し

スポーツも音楽も

待つ 訪れる 過ぎ去る

幸せな時間の輪廻に気づきます。
 
半世紀ぶりの東京オリンピック

「目の前にはいま僕を試す静けさ湛えた道が開く

走り続ける理由を胸に尋ねてみても答えはわからない」


〜 かわもとひろのぶ 2016年作品 『スタートライン』〜


その日 東京の街と空は
どんな表情を見せるのでしょうか
 


#1 祝 かわもとひろのぶ.com スタート
 
2018.09.12up
表情と表現

街の表情 空の表情 風の表情
海、そして愛するひとの表情

かわもとひろのぶの表現

日々の暮らしの中で出会った様々な表情を 言葉とメロディーに替えて表現する作業

誰よりも素敵な貴方のため
胸を熱くさせる歌を唄うよ


〜 1983年作品 「夏の終わりに」〜

群馬県の秘湯老神温泉の老舗旅館の壁に「夏の終わりに」という同名タイトルの油絵が掛けられています。

窓辺の女性の静かな後ろ姿。

この曲の存在を知っていたかのように絵画が存在し、その一枚に邂逅する奇遇、夏の終わりに。

 

 
かわもとひろのぶ作品と共に

ゆっくり、のんびり、

心の旅を続けましょう